キーマンインタビュー

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在上海日本国総領事館
総領事・大使 岡田 勝 氏 2025年1/2月号
在留邦人の安全確保と
日系企業支援に尽力
在留邦人の安全確保、日本企業のビジネス支援、広報文化活動などの業務で、上海はじめ華東地域にて生活する日本人を支えている「在上海日本国総領事館」。2025年の最初の巻頭インタビューは、昨年着任された岡田勝総領事・大使。一市四省を管轄される総領事・大使の意気込みを伺った。
外務省生活初めての上海勤務
在上海日本国総領事・大使の岡田勝です。私は、1990年に外務省に入って34年半あまりとなりますが、これまでに北京の大使館に4回勤務し、北京大学での2年間の在外研修を含め、合計しますと約17年間、外務省生活の約半分を北京で過ごしておりました。今回、初めての上海勤務です。また、今回は初めての公館長であり、その責任の重さに改めて身が引き締まる思いですが、引き続き緊張感とスピード感をもって業務に取り組んでまいりますので、皆さまからの御支援、御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
在留邦人の安全確保と日系企業支援
在外公館の最も重要な任務は、在留邦人の方々の安全な生活環境を確保することと、日系企業の円滑な事業活動に対する御支援です。在上海日本国総領事館は、上海市、江蘇省、浙江省、安徽省、江西省の1市4省を管轄地域とする、日本の在外公館の中で最大規模の総領事館です。これらの地域におられる在留邦人の方々は、上海市に約3万7千人、管轄地域の4省を合わせますと約5万人になります。
在留邦人の安全確保について、在留届をご提出いただいている邦人の方々に対し、治安や安全に関するさまざまな情報をメールで随時提供しています。また、当館ホームページに「安全の手引き」のQRコードを掲載し、海外で安全に生活するにあたって心がけていただきたいことや注意すべきことなどをまとめています。在留届は、日本のパスポートを保持し、国外に3カ月以上滞在する際には現地の大使館や総領事館に提出することが義務づけられています。災害や事故が発生した際には、総領事館から在留邦人の方々に安否確認のための連絡をさせていただくことがありますが、在留届はそのための唯一の手段として非常に重要です。総領事館又は外務省のホームページからオンラインでの提出が可能ですので、お引越しや御帰国の際の変更届・帰国届とあわせて是非御協力をお願いいたします。
日系企業支援について、当館は、日系企業が華東地域において円滑な企業活動を展開できるよう、特に、「医療・介護・ヘルスケア」、「グリーンエネルギー」、「デジタル化推進」、「インバウンド促進」及び「日本産食品」の5本柱を中心とする分野で積極的な御支援を行っています。その一環として、農産品やお酒を含む日本の製品、技術、サービスなどのPR活動の御支援もしています。日系企業がビジネス展開上、具体的にお困りのことがあれば、お話を伺い、関係当局に改善の要望を伝えています。上海では、上海日本商工クラブ及びJETRO上海事務所とともに毎年「建議書」を上海市政府に対して提出しており、また、その他華東地域の日本商工クラブとも連携しながら、日系企業の事業環境改善のためのさまざまな取り組みを行っています。地方出張の際には、地方指導者との会見を行い、寄せられた日系企業の方々の相談事項や御要望を伝えています。企業によって事業展開の状況はさまざまであることを念頭に、今後も引き続き、維持すべき点、改善すべき点を明確にし、より良い事業環境構築に向けた御支援を行っていきたいと思っています。
共通課題での協力と地方交流促進
日中両国は、共通課題であるグリーン経済、ヘルスケアや青少年交流の分野において具体的な協力を推進していくことで一致をみております。私が着任して間もなくの昨年9月には、第7回目となる当館と上海交通大学共催の『「創新・共創」日中企業イノベーション協力フォーラム』を実施し、日中あわせて75の企業が参加して、イノベーション促進を目的とした生成AIのビジネスにおける活用についての意見交換を行いました。私自身も出席しましたが、日中双方の関心が高い有意義なイベントであったと思います。また、青少年交流の分野においては、日本からの学生代表団の上海訪問や中国の学生を日本に招へいするなど、相互的な青少年交流も推進しています。時に、日本と中国では考え方が異なったり、見方が異なったりすることもありますが、共通課題に向き合うことにより、ともに解決に向け協力し合うことができると信じています。
上海を中心とする華東地域は、地理的に日本から近い上に交流の歴史も長く、また、今では在留邦人や日本企業の多さを背景に、日本留学経験や訪日観光経験がある層が厚くなっています。こうした日本と繋がりを持つ中国人の方々とのご縁も大切にし、より多くの中国人の方々に日本を好きになってもらうべく、日本文化関連イベントの実施とともに、日々微信や微博などのSNSを通じた当館の活動などの広報も行っております。経済と文化の両輪で日中交流の輪を広げていきたいと考えています。また、上海を中心とする華東地域は日本各地との地方間交流も活発で、昨年の大阪市と上海市との友好都市締結50周年に続き、本年は、大阪府と上海市の友好都市締結45周年にあたります。本年4月13日から10月13日まで、大阪・関西万博が開催されます。2010年に上海万博を経験した上海市の皆さまの関心も高いことと思います。こうした各節目の機会もとらえ、経済、文化、青少年交流など、あらゆる分野における日中間の地方交流をより一層強化していきたいと考えています。その観点から、管轄地域の各地方を多く訪問し、各地方の特性、日本企業の皆さまの状況及びニーズを的確に把握した上で、日中間の地方交流を一層促進したいと考えています。
皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
外務省生活で初めての上海での公館長となり、改めて身が引き締まる思いですが、引き続き緊張感とスピード感をもって業務に取り組んでまいります。皆さまからの御支援、御協力をどうぞよろしくお願いいたします
在留邦人の皆さまの安全な生活環境の確保及び日系企業の円滑な事業活動への御支援に全力を尽すとともに管轄地域内の地方政府との関係をさらに強化します
PROFILE
プロフィールMasaru Okada
1966年9月、奈良県奈良市生まれ。1990年3月に神戸市外国語大学外国語学部中国学科を卒業し、同年4月に外務省入省。北京大学における研修を経て、4次にわたり在中国日本国大使館で勤務。本省では、外務省報道課首席事務官、総合外交政策局外交政策調整官などを務め、2024年9月、在上海日本国総領事・大使に着任、現在に至る。

綺麗な夜景には心が癒やされます。上海に着任後、蘇州の拙政園や杭州の虎跑公園へ撮影に行きました。おすすめの撮影スポットがあれば、ぜひ教えてください。
特に、芋焼酎が大好きです。焼酎を通じて、さまざまな方々と語り合っています。焼酎はじめお酒には、人と人の絆を深める特別な力があると感じています。
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