キーマンインタビュー

在上海日本国総領事館
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在上海日本国総領事館

  • エリア:虹橋・古北

総領事・大使 赤松 秀一 氏

日中国交正常化50周年
両国の未来のために
揺るぎない礎を築く

在留邦人の安全確保、日本企業のビジネス支援、広報文化活動などの業務で、上海はじめ華東地域にて生活する日本人を支えている「在上海日本国総領事館」。2022年最初のインタビューは、昨年10月に上海に着任された赤松総領事・大使。日中国交正常化50周年という節目の今年、一市四省を管轄される大使としての意気込みを伺った。



15年ぶり、3回目の中国勤務

 このたび、在上海日本国総領事・大使に着任した赤松秀一と申します。私は、1989年に外務省へ入省し、外務省派遣の研修で1990年に中国人民大学へ留学以降、中国に関係する仕事を多く手がけてきました。海外では、中国・北京、アメリカ・ニューヨーク、インドネシア・ジャカルタ、イギリス・ロンドンにて勤務経験があります。当地赴任前は約2年間日本で勤め、今回15年ぶり3回目となる中国勤務となりました。

在上海日本国総領事館の3本柱の業務

 当館が所管している地域は、上海市と江蘇省、浙江省、安徽省、江西省の一市四省であり、いずれも魅力に富んだ地域です。現在この地域には、2万社以上の日系企業の拠点が所在し、在留邦人5万人以上が暮らしています。
 総領事館の非常に重要な仕事は、まず在留邦人の安全の確保です。在留届を出している邦人の皆様には、治安や安全に関わる様々な情報をメールで随時提供しています。特に新型コロナウイルス感染症発生以降は、管内の感染状況・各種規制情報などを注視し、当館に寄せられる在留邦人の皆様からの情報などを参考に、広く領事メールで発信したり、ホームページに重要な情報を掲載しています。日本のパスポートを保持し、国外に3カ月以上滞在する際に現地の大使館や総領事館へ提出することが義務づけられている在留届は、災害や事故があった際、連絡をとる唯一の手段であり、非常に重要です。当館ホームページ、または外務省ホームページよりオンラインにて提出できますので、引越しやご帰国の際の変更届・帰国届と併せまして、ぜひともご協力頂けますと大変助かります。
 次に、日系企業支援です。日本から進出している企業が、円滑な活動ができるようサポートをしています。農産物やお酒を含む日本の製品、技術、サービスなどのPR活動の支援を行うほか、日系企業がビジネス展開上、困っている問題などについて話を伺い、関係当局に改善の要望を伝えるなどの支援をしています。また、華東地域の日本商工クラブやJETRO上海事務所等と連携をとり、日系企業の事業環境を改善するために様々な取り組みを行っています。例えば、当館が提案し、上海における税関行政の質的改善に向けて上海税関と日系企業との間で定期的な協議を4回に亘り実施しました。また、全国共通の介護保険制度が未だ確立されていない中国において、日系企業が各地方政府の介護政策などを理解し、地元当局や関連企業との人脈形成を促進するため、当館と管内各地方政府の共催により、不定期で交流座談会として、介護産業座談会を実施しています。これまでに8回開催し、日本企業と当地政府・関係者との間における対話・交流の機会を設けました。
 この他、近年では、ここ華東地域における中高生の日本語学習者が急増し、日本留学を希望する学生数も増加傾向にあります。当館では、従来の日本留学支援業務に加え、初めて総領事館主催で専門学校の留学フェアを開催するなど、変化するニーズに合わせ留学支援を展開中です。更に、最近では、「日本を知る」シリーズとして、日本の演劇や伝統工芸、絵本など様々なテーマで日本文化を紹介するシリーズ講座を開催しています。日中の往来が制限されている状況下においても、当地で活躍する在留邦人や日本文化に精通した人物を講師に招き、様々な切り口で日本文化の魅力を紹介し、新たな日本文化ファン獲得を目指しています。

未来のためにできること

 中国の中でも最も日本との関係が深い当館所管地域は、まさに日本の対外経済活動の最前線であり、文化面その他を含む日中交流の主要な舞台です。この活力に富む長江デルタ地区の各種資源を最大限に活用して協力を進め、持続的・恒常的な交流プラットフォームを構築するための様々な取り組みを推進しています。代表的な取り組みの一つは、当館と蘇州市政府が合同で2021年4月に立ち上げた、日中経済交流の最前線としての長江デルタ地区を舞台にした企業間交流プラットフォーム「蘇州官民対話」です。昨年は、介護や医療・医薬品を含む健康産業を中心テーマとしたところ、大変ご好評を頂きました。今後は四半期ごとにこの対話を開催していくことで同意し、長江デルタ地区を日中双方の幅広いプレイヤーを包摂する形でプラットフォームにすることを目指しています。もう一つは、2019年から当館と上海交通大学との共催で実施している「“創新&共創”日中企業イノベーション協力フォーラム」です。年2回の頻度で実施している当フォーラムは、産学の連携で、介護・医療、新エネルギー、低炭素化社会などをテーマに、イノベーションを取り込んだ事業や協力などについて議論が多岐に及び、日中双方の関係者から互いに対し高い関心が示される有意義な機会となりました。
 今現在の日中関係は、非常に太い流れにはなっていますが、互いに相手のことを正確に知っている状況とは言い難いようにも思います。正しく理解するためには、等身大の中国なり日本なりを国民の目線で理解していただくことが必要であり、自分もそのために貢献できたらと考えています。長期安定的な両国関係の構築を目指し、「次の50年」を見据えた交流の礎を築くため、先述したような持続的な交流プラットフォームを日中交流の最前線である華東地域や長江デルタ地区で構築・整備していく予定です。
 2022年は日中国交正常化50周年という節目の年です。今年は管轄地域の各都市をこまめに訪問し、日本集中交流事業を展開していくことに加え、当館のSNS(微博・微信)アカウントも活用し、多くの当地市民の日本に対する親近感・信頼感を増大できるような発信を積極的に行う所存です。


15年ぶりの中国ですが、街の近代化のスピードや日本に対する関心の高さには大変驚かされます。様々な国で生活をしましたが、日本の開発モデルを積極的且つ違和感なく素直に取り入れるのは中国ならではのことだと思います


日中国交正常化50周年を契機に、管轄地域のより多くの皆様との交流を深め、経済・国民交流を更に太い流れにし、日本をより豊かな国にしていくことに貢献していきたいと思います。写真は恵建林・江蘇省副省長(当時)との会見の様子。


PROFILE

プロフィール 
Shuichi Akamatsu

1963年生まれ、長野県出身。東京大学法学部を卒業後、外務省に入省。2014年に在インドネシア日本国大使館にて総括公使、2017年在英国日本国大使館にて経済公使を務める。2020年経済外交担当大使(G7/G20 サブシェルパ)、外務省大臣官房審議官として中南米局、経済局、報道・広報・文化交流担当などを併任。2021年9月より在上海日本国総領事館総領事・大使に着任、現在に至る。



赤松さんをさらに知る

趣味はゴルフ

写真は、ゴルフの聖地と呼ばれる英国スコットランドにあるRoyal and Ancient Golf Club of St. Andrewsのキャプテンの招待で、そのオールド・コースでプレーした時のもの。上海でも多くの皆様との「以球会友」を楽しみにしています。


ペットのブロッサムちゃん


3月には14歳になるミニチュア・シュナウザーのブロッサムちゃんは、総領事公邸では犬猫などの飼育が許されないため、日本で留守番中。

中国のすべての直轄市・省・自治区を訪問


32年前に中国に赴任して以降、これまでに中国のすべての直轄市・省・自治区のほか、著名な観光地を訪問したものの、敦煌だけは訪れる機会がないまま。写真は、1991年夏にウルムチからタシュクルカンまでバスで旅行した際の一コマ(写真中心に立っているのが本人)。

在上海日本国総領事館

住所 長寧区万山路8号 MAP
電話 021-5257-4766
営業時間 9:00~12:30、13:30~17:45

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