キーマンインタビュー

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世達志不動産投資顧問(上海)有限公司
上海・北京・武漢地区統括 董事長・総経理 小金井 英生 氏 2024年12月号
住まい提供と働き心地の良い
オフィス環境作りに注力
「世達志不動産投資顧問(上海)有限公司」は日本のスターツコーポレーション株式会社の100%出資で2003年に設立。駐在員向けの住宅仲介及び生活サポート、オフィス等事業用不動産の仲介、不動産売買などを手掛けている。昨今の中国在住日本人の減少や不動産業界の変化などのあおりを受けながらも、近年の顧客ニーズに応える手厚い対応や新たなサービスについて、お話を伺った。
世界にネットワークを有する「スターツ」
点ではなく面で企業様をサポート
「世達志不動産投資顧問(上海)有限公司(以下、スターツ)」は、駐在員向けの住宅仲介と生活サポート、オフィスや店舗などの事業用不動産の仲介、中国国内に所有する不動産資産の売却・管理を主な事業とし、その他には日本をはじめ海外での不動産購入サポートのほか、オフィスプロジェクトマネジメント、ワークスタイルコンサルティング、社宅規定作成のアドバイザリー業務など各種コンサルティングサービスを提供しております。取り扱い件数としては賃貸住宅仲介が最も多いのですが、売上高では住宅とオフィス・売買が大よそ半分ずつの割合を占めています。さらに、近年は中国の方で日本の不動産にご興味がある方も増えてきており、日本の不動産紹介や不動産管理業務など、中国人向けのニーズも広がっていると感じています。
現在は21カ国、34拠点に進出しているスターツの海外進出は1986年にハワイから始まりました。海外で活躍されている日系企業様へ不動産サービスの提供をしていくため、海外展開を広げていき、2000年代から急速に企業進出が増えてきた中国を重要なマーケットと位置づけ、企業進出時のサポートから駐在員社宅の斡旋、飲食などのサービス業の進出と多くのニーズに応えていくべく、海外6番目の拠点として2003年に進出しました。2008年には徐家匯にてサービスオフィスをオープンしました。これは中国に進出していた日系企業としても、スターツグループとしても初めての試みでした。これまで多くの企業様にご利用いただきましたが、ビルオーナーがサービスオフィス運営区画を自己使用されることになり、残念ながら今年4月に運営終了となりましたが、ここで得られた運営ノウハウは今後の事業展開をしていくうえで貴重な経験となりました。
中国において私が管轄している北京、上海、武漢以外に、広州、香港、台湾に拠点があり、中華圏全体を視野に入れた新たな営業戦略として「スターツチャイナリレーション」を開始しております。拠点間連携を強化し、中国内の複数地域で展開されている企業様や中華圏で移動される駐在員の方がシームレスにスターツのサービスをご利用いただける取組みです。本部機能が上海や北京であっても社宅やオフィスの戦略的な相談まで幅広く対応することができ、各拠点で企業様と築いたご縁や人脈を切らすことなく大切に繋ぐことで企業との中長期的な信頼関係を構築していきます。
中国生活の不安を払拭
安全と安心を提供する新サービス
初めて中国へ赴任される方は中国での生活に不安を抱えていることも少なくありません。こうした状況で赴任されてくる駐在員様に向け、当社の営業担当者が専用の動画や資料を使いながら中国の生活環境の説明させていただく「新規赴任ガイダンス」を実施させていただいております。生活環境・住居エリアの説明から住居の選び方、必要アプリの設定、食材や生活用品の購入方法など、細かくご案内させていただいております。こうしたオリエンテーションは「渡航前に知っておいてよかった!」とご利用者様に非常に好評いただいており当社の特徴となっております。
また、日本では仲介業務と管理業務が分かれていることが一般的ですが、中国では言葉の壁や物件管理会社との意思疎通がスムーズに行えないケースも多く、外国人にとって困る場面が多くございます。スターツでは仲介した後も、ワンストップで入居中の修繕などさまざまなご相談の受付・サポートをさせていただいており、お客様に安心且つ快適な生活を送っていただけるよう注力しています。
最近は中国の各地で特に家族帯同者には不安になるようなニュースが続いており、中国で暮らす駐在員はご家族やご自身の身を守るための自衛意識が高まってきています。また赴任者やそのご家族の安全をより一層配慮するという企業が増えてきております。こうした背景から、当社は日本警備大手のセコムグループ様と協力し、「ピタットお守りサービス」の提供を開始しました。
リモコン型またはホームコントローラーパネルの緊急ボタンから発信された異常信号をセコムが受信し、セコムの警備員が素早く駆けつけるサービスです。ご主人の出張が多いご家庭、単身女性の方、持病を持っているなど健康面で不安のある方など、もしもの時に備えておくことは大切です、企業の福利厚生・安全管理のひとつとしてもニーズが高まっており、ご相談いただく機会も増えてきました。
不動産サービスで両国の架け橋に
近年の不動産市場の冷え込みから住宅、商業用不動産ともに下落が続き、引き続き厳しい環境に置かれています。特に商業用不動産は大都市で需給バランスが崩れ、上海や北京ではオフィス空室率が20%以上に、地方都市ではそれ以上となっており、かつてないほど高い空室率となり、今後の見通しも厳しい状況です。住宅は、今年に入り矢継ぎ早に政府から緩和政策が出され、9月以降も住宅ローン金利の引き下げ、住宅ローンの頭金比率の引き下げなど、1級都市では購入制限の緩和や撤廃が発表されています。こうした矢継ぎ早の支援策により一時的な回復が見られてはいますが、中長期的には不透明な状況だと感じています。不動産業界のみならず、同様に厳しい状況下にある業界も多いかと思います。会社運営コストを抑えるひとつとして、オフィスの見直しは有効です。空室の多い今のタイミングだからこそ効果的だと考えております。そういった面からも日系企業様のご支援ができれば嬉しいです。
スターツは、今後も日本人が安全で安心して生活できる住まい環境の提供と日系企業で働く皆様が心地よく働けるオフィス作りに注力して参ります。また、中国企業の日本進出や不動産購入など近年のニーズにも応えていき、日中の架け橋になれるような不動産サービスの提供に尽力してまいります。
2005年に駐在と同時に初めて中国大陸の足を踏み入れてから、20年目になりました。その間の中国不動産の変化は凄まじく、間近で都市の発展を感じられました。日本ではできない貴重な経験をさせていただいております
今年7月に上海で北京上海武漢広州の4拠点が集まり、スターツ中国決起集会を行いました。優秀者の表彰から始まり、各拠点の方針発表を行い、新しいビジネス分野についてのディスカッションでは時間が足りないほど意見が飛び交いました
PROFILE
プロフィールHideo Koganei
1979年生まれ、千葉県出身。日本大学理工学部を卒業後、スターツコーポレーション株式会社へ入社。社内の公募制度を利用し、2005年~2012年に上海へ1回目の駐在を経験。2013年~2019年に世達志不動産投資顧問(上海)有限公司北京分公司の総経理を務める。2019年より世達志不動産投資顧問(上海)有限公司へ異動し、董事長・総経理に就任。

本社から表彰をいただき、社員旅行に行きました。蘇州西山の民宿型ホテルでカラオケやゲームで盛り上がり、楽しいチームビルディングとなりました。
休日は息子と空手で汗をかきリフレッシュ。2022年から家族帯同になり始めた空手も3年目に。身体を鍛えるだけでなく武道の精神も学べ今では私の方が熱心です。
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