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みずほ銀行（中国）有限公司

キーマンインタビュー

みずほ銀行（中国）有限公司

副董事長・行長／みずほ銀行執行役員　岡豊樹氏

中国進出35年の歴史

世界規模での未来志向による
日中「双贏Win-Win」関係へ

外国銀行として初めて人民元の取り扱いが認められたみずほ銀行（中国）有限公司。その理由と、事業の根底にある同銀行の日中交流の理念を伺った

先輩から教わった「3つの言葉」

当行は中国に進出して今年で35年になります。1981年に北京駐在員事務所を開設、87年には深セン支店化、91年に上海を支店化するなど、中国における外国銀行進出の第1陣として歩んでまいりました。私は93年から中国での駐在生活をスタートしましたが、一番大きな出来事は97年に外国銀行として初めて人民元の取り扱いを認められたことです。官民一体で取り組んだこのプロジェクトが現在の邦銀のステータスの維持に繋がっていると思います。

　中国駐在を始めたとき、当時の先輩から教えてもらった「3つの言葉」があります。それは「喫水不忘掘井人」「雪中送炭」「『さんま』の精神」です。1つ目の「喫水不忘掘井人」は、日中国交正常化の際、周恩来首相（当時）が伝えた言葉です。「水を飲むときは、井戸を掘った人のことを忘れない」。恩恵を受けたとき、その基礎を作った人のことを忘れない、と言う意味ですが、当行では1979年から中国企業や政府の次世代リーダーを対象に、日本で研修を行うMFSセミナーを開催しています。また、日本のバブル経済がはじけた当時の経験や教訓をデータ化して翻訳。中国政府へ参考事例としてご紹介、これらが中国の金融制度構築の基礎研究に繋がり、勉強会や交流会で中国の皆様に「喫水不忘掘井人」と言葉をかけられた事例が少なくありません。

　2つ目の「雪中送炭」は「大雪の中でも炭を相手に送る」。転じて、困ったときこそ一番必要なサービスを提供する、と言う意味です。中国におけるビジネスは同じ課題で躓くことが多く、転ばぬ先の杖と言う視点でお客様から「まずみずほに相談してみよう」と思っていただけるようになりたいと思います。そして3つ目の「『さんま』の精神」は、「『ま』じめで」「『ま』めで」「が『ま』んづよい」の「ま」の字を取った言葉です。中国で常に邦人派遣行員が心がける気持ちを表しています。当行もこの３つの「ま」を大切に後輩に伝承していきたいです。

国際化する人民元網を世界へ

中国は日本の金融・円の国際化をモデルにしています。今の中国のGDPは日本の2倍以上に膨れ上がり、経済成長も依然6パーセントを維持していますが、現在でも日本の金融制度や海外ネットワーク、これまでの日本の経験や教訓が役に立っていると感じます。これからはオンショア・オフショア人民元のネットワーク拡充、人民元のクロスボーダー取引や為替レート改革において、日本円がたどった円高、バブル経験をモデルにして、中国の金融市場が世界に羽ばたくお手伝いをしたいと思います。中国においてもお客様にご評価いただけるよう力を発揮していきたいです。

　また、みずほＦＧでは2016年から新中期経営計画を策定し、「お客様第一」と「オペレーショナルエクセレンス（卓越した業務遂行力、スピード・品質・正確性・コスト及び持続力）」を土台とした「総合コンサルティンググループ」を目指していきます。加えて20年の東京五輪では「東京２０２０ゴールドパートナー」としてスポーツ振興、金融ビジネスの面でサポートを行います。また18年から22年まで、韓国、日本、中国で相次いで五輪が開催されることもあり、スポーツ、文化、ビジネスでの交流が深まると期待しています。

知中、知日派の育成に力を

　現在、日本企業が中国に進出する形態が、製造業からサービス業へと変化し、市場も海外から中国国内へと向かい、海外進出する中国企業や旅行する中国人のお客様が今後も増えると思います。その流れの中で、新しいビジネスモデルを構築するステージで活躍する次世代の人材育成・交流の大切さを感じています。当行では20～30代の若手行員に対して、中国でのビジネスについての勉強会「匠の会」を組織し、全国に展開していこうと画策中です。個人的にも中国人留学生を日本の自宅に招いてホームステイしてもらうなど「知中派、知日派」の育成を進めています。

　また、当行は1987年にスタートした上海日本人学校を支援。私自身も94年から99年まで学校運営委員会、校舎増設･募金委員会で関与しており、寄付金や募金のお願いに奔走しました。当時は上海で働く日本人社会のため、という使命感で行動していました。児童数61名から始まった学校は現在では２４００名を超えており、11月には30周年記念式典も開催される予定です。ここまで、学校の発展を支えてくださった日中両国政府や地域社会・学校関係者の皆様に感謝申し上げます。

　今後も「みずほ銀行」の枠にとどまらず、社会の公器としての立場を意識して中国社会、上海の日本人社会が「双贏」Win－Winの関係になるよう貢献していきたいと考えています。ともに頑張りましょう。す。

中国駐在スタート時に先輩から受け継いだ「3つの言葉」を、銀行という枠組みにとらわれず、日本人、中国人に伝えたいです。日中がＷｉｎ－Ｗｉｎの関係になれるよう、これからも貢献していきます。

PROFILE

みずほ銀行（中国）有限公司

副董事長・行長／みずほ銀行執行役員

岡豊樹氏

　1962年生まれ、大分県出身。神戸大学経済学部卒業後、86年入行。経営コンサルティング会社出向を経て、93年から中国へ語学留学（1年間）。上海・中国香港・北京にて勤務後、2015年よりみずほ銀行執行役員、みずほ銀行（中国）行長を務める。上海商工クラブ、上海日本人学校副運営委員長を兼任。海外駐在は18年に及ぶ。

岡さんを知るキーワード

上海日本人学校・30周年へ