キーマンインタビュー

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富士ゼロックス(中国)
富士ゼロックス(株)取締役 常務執行役員 中国事業総代表 董事長 徐 正剛氏
中国から世界へ!
創業から20周年となる今年。中国市場を見極め、ニーズに合ったビジネスを展開する富士ゼロックスのこれからについて、中国事業総代表を務める徐董事長に伺った。
ゼロックスグループと中国との関わり
今年で設立から53年になる富士ゼロックス株式会社は、アメリカのゼロックス・コーポレーションと富士フイルムが合弁で設立したドキュメントに関連するソリューションやサービスを通じて、お客様の業務効率化のための価値創造を提供する会社です。日本・中国などアジア・パシフィック地域における販売・サービス担当を富士ゼロックスが、アメリカ大陸をゼロックスコーポレーション、そしてヨーロッパ・アフリカ・中東・西アジアの国々をゼロックスヨーロッパが担当しており、トライアドのようにグループを分けています。ただ、技術開発と生産に関しては、多くを富士ゼロックスが担っており、アジアから諸外国へ輸出する形を取っています。
中国へは、1987年にまずゼロックスが初めて進出し、事業展開のために幾つかの会社を形成。富士ゼロックス中国は、そのうちの1社として95年に設立されました。ゼロックスは中国初のコピー機の生産、販売会社として展開していましたが、01年に彼らのテリトリーと現在のマザー工場でもある富士ゼロックス深センを、富士ゼロックスに移管し、富士ゼロックスが中国での事業をスタートしました。様々な困難を乗り越えながら、今年で設立からちょうど20周年となります。
最初の5、6年は販売力の強化やお客様目線で価値を提供すること、そして、工場の製造技術や開発などに力を入れました。06年頃からは、お客様の使用した機器を回収し、再資源化する工場を蘇州に開設するなどの事業も行いました。
顧客のニーズに合わせたビジネスを
中国でビジネスを展開するようになって、分かってきたことがあります。それは、従来の日本人の考え方であった「コストはともかく、最高の技術で最高の品質とあらゆる機能を有する最高のものを作る」とは違った、「ある程度必要なものが、適正な品質で保たれている方が良い」という中国ならではの思考です。結果、日本で日本人が考え企画開発したものは、中国のお客様が求めるものとマッチしないことも多いです。適正品質で、実用的合理的なものを求める中国市場にミートし、かつタイムリーに提供するために、日本やアメリカで行っていた中国向け製品の開発を、ここ5年間ほどは中国に一部移管しています。
また我々は、中国の市場構造が“画びょう”のような底辺が非常に大きい極端な逆三角形の状態になっていることにも気がつきました。中国にある日系や欧米企業は、自国で使っていたような大変高機能で多くの付加価値を持った商品を求める傾向にあります。我々はそのどちらのお客様のニーズをも満たすリソースを用意しなければならないですが、一方で、底辺層はとてつもなく広いことも感じています。底辺市場向けの小型機械の企画開発を中国で着実に強化するためには、中国人の目線でニーズを捉えることが重要です。今まで我々は、どちらかというと直販の部隊で、大手や中手のお客様に様々な価値を提供するのが得意でしたが、2010年以降は、中国向けに中国人が開発した製品を提供し始めました。結果、それまでのシェアは、台数では6%以下と低かったのですが、着実に販売を伸ばし18%ほどに好転。そして昨年にはA3複合機のシェア台数ナンバーワンとなりました。
中国を拠点に世界規模の事業を
通常、日本ではあまりローエンド向けの小型商品は提供していませんが、中国で開発した小型機器は日本でも意外にも販売を伸ばしています。中国で適正品質で売れる商品は、中国と似たニーズを持つ国(ロシアなどのエマージングマーケット)はもちろん、日本でも売れるのではないかという仮説に繋がります。そういう意味で、中国は市場の幅が広くマーケットが大きい、まるで「ビジネスの実験場」だと考えます。その実験室で、日本やアメリカでは薄利多売で手掛けたくないローエンド小型商品も、我々は積極的に展開していきます。いずれはローエンドのお客様も発展し、上へと上がっていく……我々は大手や中手のお客様だけを相手にするのではなく、全方位を対象にしなければならない。それが中国ビジネスの難しさです。後で気付いても遅い。今からきちんとお客様と接していかなければならないと感じています。
我々は品質、信頼性、サービスに最重点を置いて、大手や中手のお客様には、より良いソリューションを提供し、ローエンド向けにはよりニーズに見合った「適正価値」の商品を提案していきます。今後の壮大な計画として、中国で圧倒的シェアをキープし、さらには中国を拠点に、中国で開発した商品ソリューションを世界へ提供する事業を展開することを目指しています。
富士ゼロックスはグレイターチャイナオペレーション本社を上海に置く。「中国は我々にとって、開発、生産そして販売と、これからも非常に大きなビジネスチャンスがある国だと考えています」
PROFILE
富士ゼロックス(株)取締役 常務執行役員 中国事業総代表
富士ゼロックス(中国)董事長
徐 正剛氏
1954年横浜生まれ。慶応大学商学部卒業後、78年に富士ゼロックスへ入社。国際セールス、社長秘書などを経て、1996年より現在までシンガポール、香港、上海に駐在。2008年より中国事業本部長。
現在は富士ゼロックス(株)取締役、常務執行役員、中国事業総代表。2012年に中国の有力経済誌「週刊第一財経(CBN Weekly)」が主催する「CBN革新50人」で、「CSR革新者賞」を受賞した。
徐さんを知る3つのキーワード
時間があれば石垣島で釣り
東京に行きつけの寿司屋を持つほど、食べることが好きだという徐さん。年に何度か日本へ帰った際に、弟さん家族が移住している石垣島へ釣りに行くそう。「大物を釣るのが好きで、マグロなどを釣っては、さばいてもらって食べるのが格別なんですよ」
志を持ち、できると信じる!
座右の銘は、富士ゼロックスの社長であった小林陽太郎氏の言葉。「常に何かをする時に志を持ち、できると信じ、計画を立てる。A(Aspire)B(Believe)C(Commit)D(Do)E(Enjoy)という言葉を、新しいことを始める時に常に念頭に置いています」
ものを大切に使い続ける
今、愛用している腕時計は全て30、50年ものだとか。20歳の時に譲り受けたものや、取材時は、お父様が50年前に使っていたという時計を身に付けていた。「そういうものを懲りずに使っています。新品を買うより逆にお金が掛かるんですけどね(笑)
淮海中路300号香港新世界大厦
29階/30階/32階/51階
2302-2288
www.fujixerox.com.cn
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