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  • カテゴリ:中国的法律講座
  • エリア:尖沙咀

時間外労働について

今号では時間外労働についてご案内します。


 香港では時間外労働を労働者に要求したとしても、使用者が時間外労働手当を支払わなければならない法的義務はありません。多少驚かれるかもしれませんが、これは香港の雇用条例(日本の労働基準法に相当)で「法定労働時間」が規定されていないことによります。


法定労働時間


 法定労働時間とは、「法律で定められた労働時間の上限」のことです。

日本の場合、法定労働時間は「1日8時間、1週40時間」と規定されています。法定労働時間を超えて労働してもらうためには、労働組合あるいは労働者の代表と書面で労使協定(36協定)を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。また使用者は、その分の割増賃金を支払う必要があります。
 一方香港では、前述の通り法定労働時間が条例で規定されていないため、割増賃金の支払義務や割増率などについても規定がありません。


所定労働時間


 所定労働時間とは、法定労働時間の枠内で「各企業の就業規則あるいは労使間の雇用契約などで定めた労働時間」を言います。
 香港では法定労働時間の規定がないため、使用者が制限なく自由に所定労働時間を決めることができます。つまり極端な話、「弊社の労働時間は午前9時から午後9時までの1日12時間労働」としても雇用条例上は問題ありません。取り決めは口頭でも構いませんが、やはり雇用契約書あるいは就業規則等で規定することをお勧めいたします。


時間外労働


 前述の通り、雇用条例では法定労働時間の規定がないため、時間外労働に関する規定や制限もありません。よって、香港では雇用契約書や就業規則等で時間外労働に対して「割増賃金の支給なし」と定めても違法ではありません。
 一方、実際の運用面では、時間外労働に対して割増賃金を支給するという日系企業様も多くお見かけします。割増率としては、20~50%としているようです。また、支給の有無を業務内容やポジション(管理職者は支給なし等)によって決めている場合も多いようです。法律で規定されていない事項については雇用契約書や就業規則等で規定されたことが優先されますので、ルールを整備するとともに周知徹底しておくことが肝要です。


※休日勤務については、一部休日について法的に代休付与の規定があります。ただし、割増での休日勤務手当の支給は法的に規定がありません。


昨今の動向


 昨今、香港でも「標準労働時間(Standard Working Hours)」を設定し立法化しようという動きがあります。2012年10月に立法会でいったん立法化は否決されましたが、13年4月には標準労働時間委員会が発足し、14年1月には労働者側組合組織や雇用主団体等との意見交換が実施されています。労働者側組合は労働者保護の観点で標準労働時間導入に前向きの姿勢を示している一方、雇用主団体は香港の競争力等を懸念し導入に反対しています。
 すぐに立法化という動きにはならないのではと想定されますが、今後も引き続き動向を注視していく必要があります。

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