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標準労働時間について

今号では前号に続き、現段階において標準労働時間委員会で議論されているポイントを見ていきます。


背景と目的

標準労働時間については、すでに2010〜2011年および2011〜2012年の香港施政報告で取り上げられ、2012年11月に労工処(Labour Department)が報告書を発表しています。報告書では、国際労働機関(ILO)の調査によると107カ国中101カ国が労働時間に関する法的な制限を設けており、1週間の労働時間を40〜48時間の間で設定している国が多い結果となっていることを挙げています。一方香港では、現時点で雇用条例(日本の労働基準法に相当)において法定労働時間について規定がなく、労働者の安全と健康の保護を目的とし、法定労働時間の立法化の必要性を述べています。


標準労働時間委員会の活動
報告書発表後、政府は2013年4月に標準労働時間委員会を発足させました。委員会では、世界各国の労働時間に関する統計や制度に関するデータの収集・各界の意見聴取と共通の認識の確立・標準労働時間が与える影響の分析・民間の理解を促進するための広告宣伝活動などを基本活動とし、立法化に向けて政策研究を行っています。2015年9月時点ですでに第15回目の会合を重ねています。


議論されている主な内容
標準労働時間委員会で議論されている主な内容は次の通りです。
⑴法定労働時間の設定
法定労働時間とは法律で定められた労働時間の上限のことを指します。1日あるいは1週間における労働時間の上限の設定、超過勤務時の扱い(時間外労働手当の支給など)が検討されています。また、超過勤務時の補償の有無に関わらず、それ以上労働させてはならない上限時間を設定すべきか否かについても検討されています。
⑵超過勤務の労働時間上限および補償
1日、1週間、1カ月などの期間内における時間外労働の上限の設定が検討されています。また、時間外労働の補償として割増での手当支給あるいは代休での補償が検討されています。
⑶免除対象
職務内容や職責・賃金水準・業界(医療・消防・警察といった公共服務等)・企業規模あるいは売上額の規模・その他特殊状況などの多方面から法定労働時間の免除対象が検討されています。
⑷弾力運用
1日、1週間という単位ではなく、1カ月などの一定期間の範囲内における法定労働時間の遵守について検討されています。つまり、一定期間内の平均労働時間が法定労働時間を超えていなければ超過勤務時の補償(手当支給など)が免除されるといった内容です。
⑸休憩時間
1日における休憩時間や、例えば2日間連続就業した場合の休憩時間、1週間における休息日の設定などについて検討されています。
法定労働時間の設定は労働者の権益保護を目的としているものの、香港にとって大きなインパクトを与えます。委員会では、労働時間の定義(労働時間とは何を指すのか)や免除対象の内容によっては労働争議の増加を引き起こすことも懸念しています。また、パートタイム雇用や機械化促進による人件費低減の動き、今後の就業人口減少・高齢化社会への対応など、香港経済および労働市場に与える影響を考慮しながら慎重な検討を行っていくと述べています。



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