キーマンインタビュー

セルフ税関などの幅広い
機能を持つEC総合
プラットフォームを構築

軍人からビジネスの世界へ

　私は1974年、黒龍江省牡丹江市で生まれました。幼い頃から戦争映画などの影響を受けたせいか、戦争ごっこをしたり、相撲をとったりするのが好きで、ずいぶん両親を困らせました。高校卒業後は念願の軍人となり、一般の方には想像できないほどの酷寒・酷暑下での猛特訓を通じて、強い意志と精神力を養うことができました。今でも難局に直面した際には、その時のことを思い出すと元気が湧いてきます。退役後、様々な仕事に携わってきました。2007年、一旗揚げようと決心して新天地の大連へやって来ました。友人などの紹介を通じて、建設工事や、企業向けのサービス業に主に従事していました。
　大連での仕事を通じて人脈の輪が広がり、日本商品との関わりも多くなってきました。大連では多くの日本の優れた商品を様々なルートを経て入手できますが、当時は貿易障壁が高く、購入には多くの時間とコストが必要でした。そのため、多くの優れた海外商品が直接中国の消費者に認識され、使用されるには至りませんでした。しかし、インターネットの発展とグローバル化に伴い、国境を越えた電子商取引は新たな国際貿易モデル・トレンドとなったことに気づきました。中国人の所得水準の向上、及びスマホが急速に普及したことで、今後外国商品への関心がより向上し、越境EC市場も年々急拡大していくことは間違いないと見込み、地道に開業に向けた下準備を行いました。2016年、中国（大連）越境電子商取引総合試験区が承認され、大連は東北初の越境電子商取引総合試験区となりました。同年、万衆雲倉科技孵化園有限公司を設立し、社員を率いて越境電子商取引業務を正式に展開しました。大連自由貿易区と越境電子商取引総合試験区の政策優位性と、保税区の機能優位性を十分に発揮し、国際貿易利便化のためのプラットフォームを活用して、クロスボーダー商品の購入販売、融資、倉庫保管運送、通関申告など一連の取引でのシームレスなマッチングを実現しました。現在は日本、韓国、ロシアなど多くの国の商品を取り扱い、物流などの貿易サービスも提供しています。消費者からは、「一部の海外商品は海外小売店の価格よりも低くて驚いた」、「中国にいながら世界各国の商品を購入できるとは、今まで想像もつかなかったことが現実になった」などの好評を頂きました。

オフラインとオンラインが融合した新しいプラットフォーム

　2023年2月、日本外務省在中国日本国大使館と山口フィナンシャルグループが共催した「万衆雲倉越境商品O2O体験イベント」は、大連保税区域内に新たに建設される万衆雲倉プロジェクトの運営基盤が整ったことを示しました。今年の５月に正式に開業する予定です。万衆雲倉は、大連自由貿易試験区の核心エリアである大連保税区に位置し、港まで9キロと利便性が非常に高いです。万衆雲倉は、越境EC総合サービスプラットフォームと、特色ある「前店後倉（店舗・倉庫一体型）」モデルを通じて、「保税、オリジナル商品保証、品質保証」ブランドを構築しました。多様でハイクオリティーな商品と、海外の小売店よりも廉価な価格と利便性の高いショッピング環境のもと、「海外に出かけずに世界中から買いあさる」という新たな体験を消費者へ提供し、国際商品購入の体験センター＆取引集散地となっています。
　万衆雲倉が開業することで、セルフ税関などの幅広い機能を持つEC総合サービスプラットフォームと展示販売の2つの販路を確保でき、外国の製造・販売業者と消費者双方のメリットを最大限に活かせるようになりました。万衆城展示センター“前店後倉”プロジェクトは、各海外企業へより良いサービスを提供するべく、第二期投資として、万衆城国際展示販売センターを建設しました。現在、大連万衆雲倉は東北地方最大の越境商品を展示、販売するセンターとなっています。3.3万平方メートルの「前店後倉」の越境EC産業園区を有しています。前方の店舗は輸入商品の展示購買センターで、国家館、企業展示エリア、展示会エリアと会議交流センターが設けられています。後方の倉庫は、0℃～-60℃までの恒温、冷凍、超低温冷凍機能を備えた保税コールド・チェーン倉庫となっています。勿論、物流倉庫業務に留まらず、越境ECに関する最適なソリューション（集客・販促）も提供しています。つまり、年中無休の国際商品展示会が可能となり、海外の製造業者・販売会社へ低コスト＆高効率のワンストップ越境ECサービスを提供できるようになりました。

より多くの企業の販路開拓を後押し

　外国企業が万衆雲倉に通年常設展示ブースを設置する大きなメリットとしては、次の5つが挙げられます。1、顧客へのサポートを万衆雲倉が担当することで、中国国内に営業部門を設けるコストを節約できます。２、輸入審査や登録、事前申請などの手続きが不要です。３、中国に輸入された越境商品の関税が免除となる上、増値税と消費税が、一般小売価格の７割の税率で賦課されます。４、オンラインと商品展示のコラボを通じて、より効率良く自社商品の中国市場への普及を実現できます。５、化粧品や健康食品など、これまで中国への輸出が難しかった商品でも、越境ECを通じて販売できる可能性があります。今後、弊社はデジタル・スキームをさらに強化し、オン・オフライン連動イベントを積極的に展開し、試飲・体験、インフルエンサーによる動画配信などの施策を通じて魅力的な商品を発信し、バイヤーとの継続的な関係構築を図っていきます。
　将来的には、RCEP（地域的な包括的経済連携）の施行に伴い、弊社は大連RCEP貿易センターの建設とサービス機能の向上に積極的に投資し、日韓などのRCEP加盟国を中心とする世界の様々な経済貿易企業との協力を一層強化していく予定です。日本、韓国などの各界の企業が万衆雲倉へとやって来て、協力関係を築いていけることを心から願っています。

一人でできることには限界があるため、会社を大きくしていくには、自分に足りない力を補ってくれる仲間が必要です。今、創設時のメンバー達（右図）は私の仕事をしっかりと支えてくれる、非常に頼もしい存在へと成長してくれました。

PROFILE
Dai xiangqian

1974年、黒龍江省牡丹江市生まれ。2007年に大連にて起業し、2016年に大連万衆雲倉科技孵化園有限公司を設立し、越境ECビジネスを始める。2019年、同社が開発した越境EC総合プラットホームがオンライン上で運営開始。2020年、万衆城（大連）国際会展センターを投資建設。2022年7月より同センターが正式運営を開始。

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万巻の書を読み

小さい時から読書が好きで、特に歴史関連の本が好きです。仕事柄、経済・経営関連の本も読んでいます。本から得た知識で価値を創造してはじめて、価値ある学びとなることを心得ています。

万衆益生大健康有限公司

近年来、中国では健康志向が高まりつつあり、今後も健康食品には旺盛な需要があると見込み、2020年に当該業界へ進出しました。弊社製の美容・健康サプリも徐々に認可され、今後より注力したい産業です。

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