キーマンインタビュー

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大連愛斯克産品様本有限公司
大連愛斯克産品様本有限公司 董事 山川 一興氏 2025年7月号
見本帳一筋25年!
「一冊入魂!」の精神で
世界の見本帳業界席巻を目指す

一冊入魂
お客様と会食をしていたある日のこと。弊社の複数の社員がお客様に、長年に渡り発注頂けていることに対する感謝の気持ちをお伝えしたところ、お客様がこう仰りました。「あなたたちは間違っている。感謝しているのは私たちの方だ。愛斯克さんが見本帳を作ってくれなければ、当社は1mの壁紙も売ることができないのですから」と。あるお客様は、私たちが作った最初の1冊の見本帳が手元に届いた日、その見本帳を自宅に持ち帰り、見本帳を抱きながら眠りに就かれたと仰っていました。弊社が製作している見本帳とは、このようにお客様の売上に直結する重要な販促物であり、納期遅れやミスは絶対に許されません。しかし、良い見本帳を短納期で納めることができれば、お客様に心の底から喜んで頂ける、そういうやりがいに満ちた製品です。
我々が製作しているカーテンや壁紙、カーペットといったインテリア商品の見本帳は、2~3年周期で発刊されます。その見本帳に収録される新商品は1年以上もの時間をかけて開発されていきます。デザイン、組成、機能と、商品開発には沢山の人たちが関わっています。売るための戦略も多くの人たちが参画して練られていきます。商品名、商品コピー、施工例写真の空間デザインと撮影、価格設定。当然見本帳での見せ方における企画、デザインにも多くの時間が費やされます。新商品を製造する際にはトラブルも頻繁に発生します。製造現場においても新商品の製造を軌道に乗せるのは容易ではありません。そして、新見本帳の発刊を営業の人たちや販売代理店の方々は首を長くして待っておられます。こんな魂の集合体のような本に最後に命を吹き込むのが私達の役目です。
「売上増」は当然のことながら、「そこにいる人みんなが笑顔になれる、そんな空間づくりに貢献する」という共通ゴールの下、ベクトルを一つにしてみんなで作り上げる子供のようなものです。ここに辿り着くまでに流されたであろう多くの方々の汗と涙の量を十分に分かった上でバトンを受け取り、1冊1冊に私たちは魂を込めて作っています。
25年を振り返って
弊社は京都の「株式会社さら」の大連法人として1999年に設立、2000年に操業を開始しました。昨年設立25周年を迎え、協力先との謝恩会や社内の25周年式典を開催しました。普段、過去を振り返ることはあまりないのですが、各種式典を開催するに際して会社の歴史を振り返りました。
管理経験もない、中国語も分からない、そんな若造が管理する会社がよくぞ25年間成長し続けてこられたなと改めてそう感じました。私を信頼し粘り強く指導してくださった董事長や、常に必死に弊社の要求に応えようと支え続けてくれた協力先の方々、そして超繁忙期の連続で混乱ばかりの工場でも耐えて働き続けてくれた社員たち、本当にみんなのおかげで今の愛斯克があると感謝の気持ちでいっぱいです。
あっという間の25年でしたが、振り返れば様々なことがありました。従業員の大脱走、幹部によるクーデター、大クレーム、政府当局による厳しい査察…。社員全員、最長38時間連続で仕事をしたこともありました。現在の従業員は約300名ですが、最大1,200名近くいたこともあります。決して仕事量が多かったのではなく、それだけ混乱していました。みんなに迷惑をかけ続けてきた、みんなに心身共に苦しい思いをさせ続けてきた25年だったと心から反省しています。それでも自分を信じて付いてきてくれた、長年に渡り苦楽を共にしてくれた社員たちは家族同然です。これまでは迷惑をかけてばかりでしたが、これからは恩返しタイムです。
「愛斯克に入社してよかった」 みんなが自分の人生を振り返った時、そう感じてもらうこと。それが今の私の目標です。
見本帳業界で世界のTOPへ
弊社が製作している見本帳は90%以上が日本向けになります。日本の見本帳市場は、EC市場規模の成長、販促ツールのIT化等の影響を受け、小幅ながら縮小傾向にあります。これまで通り日本市場向けに限った仕事をしていては、この先の成長は望めないということもあり、今年に入り、中国国内のインテリア関連の展示会への出展を開始しました。
現状は市場調査をしながら種蒔きをしている状況ではありますが、長年にわたって品質要求の厳しい日本のクライアント様に鍛えられてきたことで品質面では高い評価を受けることが多く、人件費の高騰や為替によるコストUPに負けないだけの改善を積み重ねてきた結果、価格面でも十分に競争できるレベルにあると手応えを感じています。先週も中国のインテリアメーカー2社、アメリカのインテリアメーカー1社の訪問があり、弊社との取引に対し前向きな意向を示して頂くことができました。25年間の実績を持つ見本帳専門工場として見本帳加工に特化する形で発展してきましたので、その利点を活かし、日本以外の国の見本帳市場の開拓に注力していく予定です。
また、これまでは見本帳加工の前工程となるCG制作や印刷は外注先への委託で対応していましたが、CG制作会社、印刷会社を買収する計画も進めており、内製化に切り替えることによる更なる品質の向上、コストダウン、生産能力の拡大を進め、競争力の向上を実現できると考えています。
既に25年の月日が経過しましたが、まだまだ通過点であり、社員みんなに「愛斯克に入社してよかった」と感じてもらうには、より会社を発展させていかなければなりません。そのためには、見本帳+α として使える見本帳以外の販促ツール商品の開発が必要不可欠です。単なる見本帳製造会社ではなく、紙媒体のカタログとITツールの両面から、クライアントに対し販促のための武器の提案、供給ができる唯一無二の会社へと成長していく必要があります。少し長かったですが、これまでの25年間は飛躍のためのプロローグであったと捉えています。25年の歴史の中で培われた技術力を駆使し、家族同然の社員たちと共にグローバル市場で戦う時が到来したと感じています。私たちの本当の挑戦は、今まさに始まったばかりです。

昨年設立25周年を迎え、今年1月に盛大に周年式典を開催しました。自身にとっても、董事長、社員、協力先に対して、改めて感謝の思いを伝えられる良い機会となりました。
プロフィール
やまかわ かずおき
1974年生まれ。兵庫県尼崎市出身。神戸大学経済学部卒業後、株式会社さらへ入社。1998年海外工場立上げプロジェクトに参画し大連へ。2000年より、自社工場の操業に伴い赴任し、今年で海外駐在26年目となる。現在、董事を務める。趣味は野球とボクシングの観戦、水曜日のダウンタウンの観賞。

「中国のモデルには大連出身者が多い」とはよく耳にする言葉ですが、まさにその通り! スタイル抜群の義妹達と日々仕事に励んでいます。弊社で働くことで、彼女達に成長してもらい、大きな幸福感を感じてもらうことが私の使命です。


夢が叶ってよかった!

大学野球部で主務を務めスポーツをこよなく愛する娘は、念願の通信社に運動記者としての就職が決まり、来年春からは社会人。沢山の人に多くの感動を与えられる記者としての活躍を楽しみにしています。
悔いのないように暴れたれ!

甲子園出場を目指す息子は今年3年生。最後の夏です。主将として皆を引っ張り、闘志むき出しで戦う息子の勇姿を目に焼き付けるため、全試合日本に帰国し、声が枯れるまで応援するつもりです。
充電できたかな?

勤続20年の幹部社員たちと、長年の疲れを癒して今後に向けて充電するため、冬の北陸へ雪景色の露天風呂&蟹尽くしの旅へ。青春と年齢は関係ない。いつまでも若い心を持って、共に頑張っていこう!
大連愛斯克産品様本有限公司(ESCO)
大連市開発区鉄山中路2号
℡(0411)8731-0155
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