キーマンインタビュー

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三井物産(中国)有限公司東北分公司
三井物産(中国)有限公司東北分公司 東北地区総監・東北分公司総経理 中村 大智郎氏 2025年5月号
「必要なモノやコトを必要としている人々に届ける」
という使命を果たす
三井物産の事業と中国への進出現状
1959年創立の三井物産株式会社(以下、三井物産)は、世界中の人を、情報を、アイデアを、技術を、国・地域をつなぎ、新たなビジネスを創造するグローバルグループです。金属資源、エネルギー、プロジェクト、モビリティ、化学品、鉄鋼製品、食料、流通事業、ウェルネス事業、ICT事業、コーポレートディベロップメントの各分野において、全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力などを活かし、多種多様な商品販売とそれを支えるロジスティクス、ファイナンス、さらには国際的なプロジェクト案件の構築など、各種事業を多角的に展開しております。現在、世界の62カ国・地域に 124拠点の事業を持っています。 三井物産は、世界中のお客さまやパートナーの皆さまと、多様な領域で事業を生み育てます。当社は、グローバルかつ幅広い産業にわたる事業知見を基に、新たな事業を創り、育て、周辺事業に広げることで新たな事業群を形成し、事業ポートフォリオを絶え間なく変革しています。それぞれの事業群で蓄積された知見に、さまざまな機能とグローバルなネットワークを掛け合わせ、複数の産業にまたがる新たな価値を創出し、複雑な社会課題の解決に貢献しています。
中国では1980年12月に、北京に初めて事務所を設立して以来、上海、大連、天津、青島、広州等に拠点を開設してきました。日本と中国間のビジネスはもちろん、当社が世界に展開する拠点とも連携して、中国発のグローバルビジネスの創造や、総合力を発揮した多面的な事業展開を行っています。また、東アジアブロックと連携した社会貢献活動にも取り組み、主に国際的な視野を持った人材の育成や民間交流を通じて、日中の相互理解を深め、地域社会の課題解決から国造りへの貢献に取り組んでいます。東アジアは、新しいビジネスや市場が急速に拡大するフロンティアであり、成功と失敗を繰り返しながら成長を続けています。特に中国では、本店や他地域からは見えにくいビジネスチャンスやパートナー候補が多く存在し、複数の事業本部が協力することで、当社だからこそ発揮できる価値が求められる場面が数多くあります。そのため、当社では、これらの機会を「見える化」し、社内外の関係者に理解してもらいながら、一体となって取り組むことを重視しています。その一環として、まず現地で十分に議論し、具体的な提案を作成した上で、本店に提案するプロセスを推進しています。
現在、中国で当社は以下の3つの重点領域(攻め筋)ごとに本部横断的な取り組みを進めており、各テーマにリーダーを配置し、ブロック内の各事業部が連携して案件を開拓しています。①IBS(Industrial Business Solutions):電池リサイクルや金属・プラスチックリサイクルなどのサーキュラーエコノミーの構築。②GET(Global Energy Transition):低コストのRE電力を活かしたグリーン水素・アンモニア、UCOなどバイオ燃料の供給確保、排出権の取引 。③WEC(Wellness Ecosystem Creation):健康志向、嗜好性の多様化などをテーマに、生活産業セグメントが一体となった事業作り 。
中国の3都市4回目駐在の感想
プロフィールにある通り、2005年からの上海、北京の駐在に続く、4回目の中国駐在地がこの大連です。様々な感想がある中で、以下の3点に纏めます。
①3都市への印象。上海は中国で最も発展しており、流行の最先端で、外国人にとっても住みやすい都市です。北京は中国の歴史的文化遺産が数多く残り、5000年の歴史と文化が凝縮された都市です。大連は日本との関係が深く歴史的な建造物も多く残り、日本人にとって住みやすい都市です。
②規則の柔軟性。中国のスピード感や経営層の決断の早さに驚かされました。中国では、まずは進めてみて、うまく行かないところは続けながら修正することを柔軟に対応しているので、見習うところもあります。当社は社内ルールに従って事業を進める必要があり時間がかかることもありますが、取引先やパートナーとの各階層でのコミュニケーションや信頼関係が重要だと実感しています。
③現場百回。日本から見る中国と、実際に中国で生活することに差があることを実感しました。また中国のダイナミズムやビジネスチャンスを日本に正しく伝えることは難しいと感じました。特にコロナ禍では出張で来ることも難しく、オンラインでは伝わりづらく苦労しました。今はビザも免除され、多くの方に直接中国に来て頂いて魅力を直接伝えたいです。現場100回です。
新しいビジネスの開拓に注力
東アジアでは地域や事業領域によって好不調の差が大きいです。近年の中国では、特に住宅関連産業の低迷、個人消費の伸び悩みが続いています。一方、EV、RE、新エネ、Eコマース等の新しい産業が勢いよく成長しており、また、全般的にグローバルサウスを中心とする海外への輸出や投資の動きが強まっています。当ブロックでは新興産業や海外向けのビジネス開拓に注力しています。最近は特に経済回復の重要要素として、中国政府は外資企業の誘致に積極的で、外資企業との交流を内外で増やしており、訪日ミッションも盛んです。このような動きも上手く取り込んでいきたいと思います。
当社は、より強い物流ビジネス、環境・エネルギー・消費者起点を軸とした新たな収益基盤を構築するために強い個の現地職員が核となり、地場パートナーと共に事業・地域間連携によるビジネス創出を加速することを目指します。このあるべき姿を達成するために、以下2つを基本方針として推進していきます。①既存事業の徹底強化として、物流商内基盤の再強化・機能高度化、出資先良質化と資産リサイクルを進めます。②新たな収益基盤の構築として、事業領域・地域横断的取組みを推進しPDCAを徹底。地場長によるトップ人脈活用やトップとの直接対話、東アジア企業との海外展開も推進します。その他、地場発のビジネス開拓及び更なる発展において、現地職員の成長と活用なしには地場発の取組は進められません。
昨年度の2024年より大連日本商工会の理事として活動しています。会員企業の皆様との交流の他、大連市政府との交流を通じて少しでも地域に貢献できればと考えています。写真は、2025年大連市外国友人新春招待会でエンタテーメントの演出をしている様子です。
プロフィール
なかむら だいぢろう
1972年生まれ。大阪府出身、大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部中国語学科卒。1997年、三井物産(株)へ入社し、主に食料・流通分野の業務に就く。2005年8月~2007年8月、三井物産(上海)貿易有限公司。2007年8月~2019年3月、東京。2019年4月より、再び上海へ。2021年4月より、北京の三井物産(中国)有限公司。2023年8月より、三井物産(中国)有限公司東北分公司の総経理に就任。
大連日本商工会の会長を拝命しました。①会員企業の皆様からの要望を聞くこと、②頂いた要望を整理して現地政府に伝え改善すること、③会員間の交流を更に促進すること、④日中友好と地域社会に貢献することに注力します。在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所、JETRO大連事務所と三位一体となり、「One大連」で取り組んでいきます。
中村さんをさらに知る
休日の過ごし方
中国では長期休暇があるので、家族と一緒に海外旅行に行くことが多いです。日本に帰ってからでは行けないようなところに行くようにしています。写真は娘が七五三の時に北京で撮った古装姿です。
学生時代からのクラブ活動
高校時代からラグビーを始めて、大学、会社でも続けており、現在も大連のELKSラグビークラブで活動しています。中国でのラグビー歴は2000年の上海から開始し、もう25年間を超えました。写真は2003年頃です。
会社の展示会
写真は2024年11月に上海で開催された第7回中国国際輸入博覧会での当社ブースの写真です。期間中は大連や瀋陽からもたくさんの取引先に来場頂き、新しいビジネスに繋がっています。
三井物産(中国)有限公司東北分公司
大連市西崗区中山路147号申貿大厦19階
℡(0411)8368-8425