キーマンインタビュー

中国華録・松下電子信息有限公司
  • ビジネス記事
  • キーマンインタビュー

中国華録・松下電子信息有限公司

総経理 董事 金子 幸弘氏 2021年9月号

独自の「強み」を磨き
グループの総合力を発揮
さらなる飛躍を遂げる


現地に根差した事業を展開


 1980年代、中国ではテレビ産業が成功を収め、次に続くビデオ産業では投資を分散させることなく、キーパーツから完成品まで一気通貫で生産することを狙いとして、中国国家プロジェクトである「一条龍プロジェクト」が発足し、パナソニックと中国華録集団との合弁で、1994年に中国華録・松下録像機有限公司として設立されました。
 当社の事業内容は主に五つあります。一、ビジュアル事業:創業時からの柱事業で、パナソニックブランドのブルーレイディスク(以下BD)レコーダ、BDプレーヤー、ポータブルTV等の開発(日本の事業部と共同開発)と製造を進めています。現在は、日本向け輸出が中心になっています。二、ストレージ事業:BDを用いて主にアーカイブデータ等のコールドデータを蓄積するシステムの製造と販売です。現在は、主にデータレイク構想として、中国各地に設置されたデータセンター向けに納入しています。この一と二が現在、当社のメイン事業となっています。三、創業時から保有する源泉工程(実装、成型、プレス、板金、金型)の強みを活かして、中国域内のパナソニック内外向けに、ユニットやデバイスの製造・販売を行っています。四、パナソニック中国・北東アジア社が注力している健康養老事業において、当社も今年から開発・製造面で協力をしています。三と四が当社成長のために、現在注力している事業です。五、上記の4事業(2既存+2新規)の他、自社企画商品(リアプロジェクション等)や植物工場(野菜)等も展開しています。
 創業者・松下幸之助の定めた綱領に謳われている通り、「社会生活の改善と向上」に基づいて、優れた商品やサービスを、より早く、より多くのお客様にお届けし社会の課題解決と発展に貢献し続け、新しい未来を切り拓いていきます。


共感できる経営スタイルへの転換


 私は1993年パナソニック(当時の松下電器産業株式会社)に入社し、システムエンジニアとしてキャリアをスタート、その後様々な職種を経験した後、マレーシアの製造会社社長や事業部門の事業責任者を経て、2019年から現職に就きました。
 歴史がある会社なので良い点も沢山ありますが、古い部分、変えなくてはならない所も沢山あります。当社は合弁企業ですので、平たく言うと中国と日本との国際結婚です。国の文化や習慣も違えば、育ってきた家庭環境も違うので、まずはお互いを良く知り、良く理解することが一番重要と考えています。したがって、会議体を変更する等、コミュニケーションの場を多く設け、私からの情報はできる限りオープンに発信しています。
 『一条龍プロジェクト』にて、1回目の合弁契約は20年(1994~2014年)で、2回目の更新契約を2014年に実施しました。1回目の合弁契約は、会社設立主旨の通り、ビジュアル事業を中心としたB2Cでしたが、2回目の更新契約時は、今後の会社の発展を期して、B2Cに加え、B2B・B2Gへと業容を拡大しました。
 業容拡大にともない完成品から部品まで幅広い商材の提供を目指す中、私としては、多くのお客様に来社いただき、製造工程や品質管理の現場を直接見ていただくことで、この会社の商品であれば是非買いたいと思っていただけるような、当社のファンづくりをしたいと思っていました。しかし、赴任してみるとショールームの展示はいまひとつ、製造工程は見学者にとって分かりづらい掲示、廊下の照明は薄暗い等の問題が多々ありました。そこで、会社を「見える化/魅せる化」するために、ショールームの改造、製造工程の改善、居室のリノベーション等を行うとともに、何より社員がおもてなしの心を持つべく意識改革に努めました。その甲斐もあり昨年度パナソニックグループで実施されたモノづくり表彰にて社長賞を受賞することができました。社員のモチベーションアップにも繋がったと思います。
 かつて中国は「世界の工場」と言われていましたが、現在は「世界の市場」と言われるまでに大きく変わりました。人口の多さや国土の広さに加え、ダイナミックに変化する姿を見ていると、中国はあらゆる可能性を秘めた市場だと再認識します。その中で、製造を中心とした当社が中国に身を置きながらも生き残り成長するためには、中国市場に突き刺さる会社でなければならないと考えています。そのため、従来からの開発・製造部門の強みだけではなく、営業部門や販売した後もお客様と繋がり続けるCS部門を強化し、お客様に寄り添う親しみやすい会社づくりを目指しています。


10年事業倍増計画


 当社は、中国国家プロジェクトで誕生した中央企業との合弁会社ですので、中国の発展に寄与するとともに、当社も成長する姿を見せることが宿命づけられていると思います。中国では、特に今後ビッグデータの活用・デジタルデータの長期保管ニーズが増すと予測され、データセンターへのデータアーカイバー納入を通じて、ビッグデータ産業の育成に貢献したいと思います。また、現在推進している人工光水耕栽培方式の植物工場野菜が消費大国である中国で安心・安全な食文化を築くことに寄与できると考えています。 
 当社のミッションは、「スマイルカーブの全領域で自社の強みを活かした自主・自律のモノづくりイノベーション企業」と運営方針で発信しました。目標として10年後に今の事業規模の倍を目指します(年率7%の成長で10年後に倍の事業規模)。そのためには、BCPにも備え、現在はバランス経営を進めています。ここでいうバランスとは、ビジネスモデル(B2C、B2B+B2G)のバランス化、販売地域のバランス化(中国域内販売の強化)などです。
 松下幸之助の言葉に、「日に新た」があります。日進月歩の今の社会で発展していくには、企業も社会の変化に適応し、現状を常に良しとせず変える事、変わる事を実践し続けていきたい所存です。



春頃に中方部長以上と日本人出向者の交流イベントを行いました。休日の午前中にテニス、バドミントン、卓球等、各自好きなスポーツに参加した後、昼食懇親会ではビールと白酒で大いに盛り上がりました!



PROFILE
かねこ ゆきひろ

1968年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学・理工学部(修士)卒業後、エンジニアとして1993年パナソニック(当時の松下電器産業株式会社)に入社。2010~2014年製造企画部 部長、2015~2016年 Panasonic System Networks Malaysia社 社長、2017-2018年ビジネスコミュニケーション事業部 事業部長。2019年より現職。


<金子さんをさらに知る>


家族に支えられて


九州の福岡に転勤していた頃は、よく週末に家内と酒蔵開きや利き酒に出かけ、エネルギーチャージしていました。今では東京にいる家内ともっぱらリモート飲み会を開いてリフレッシュしています。


駐在場所を起点に旅行


駐在の場所から旅行に行くのが好きです。日本からは行きづらい、マイナーな所が好きです。マレーシアジョホールに駐在していた時に行ったTanjung Piaiというユーラシア大陸最南端の場所。


趣味のテニス


会社にテニスコートが2面あります。日本人は私1人ですが、会社のテニスクラブに所属し、週末は社員と一緒に汗をかいています。時々ですが、汗をかいた後にメンバーと一緒に飲むビールも、また格別です(笑)。


中国華録・松下電子信息有限公司

高新技術産業園区七賢嶺華録一号
℡(0411)8479-0921

中国華録・松下電子信息有限公司

住所 121.52482,38.852211 MAP
電話 0411-8479-0921

ピックアップ

Concierge
コンシェルジュ公式App

CCG Concierge

上海・大連への
便利な街案内&生活情報アプリ!

ダウンロードはこちら
  • App Store からダウンロード
  • Android からダウンロード
  • App Store からダウンロード
  • Android からダウンロード

ピックアップ

Concierge 公式SNSアカウント
Concierge 公式SNSアカウント
最新の情報を
タイムリーにお届け!
QR

公式WeChat公众号:ConciergeDL