キーマンインタビュー

在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所
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在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所

所長 等々力研 氏 2021年5月号

中国での長い経験を活かし
関連者と綿密に連携を取り
協力・支援を推進していく


中国圏勤務18年貴重な思い出が多数正しい情報を見極めることが重要


 私は1989年に外務省に入省してから、一貫して中国関係の仕事に携わってきました。在外勤務合計18年間を、全て中国圏で過ごしてきました。
 1990年に山東省の済南市にある山東大学に2年間留学させて頂きました。当時の山東大学には留学生が少なく、合計で40名ほどしかいませんでしたが、そのうち半分は日本人でした。
 1992年8月に在上海総領事館での勤務となったのですが、当時の上海はまだ高架橋もなく、バンドから唯一の空港である虹橋空港まで行くのに大変な渋滞で、3時間ほどかかることもありました。現在はビルが林立して発展著しい浦東新区は、当時はほとんど何もない農地でした。同年10月に当時の天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后両陛下)が上海を訪問され、その受け入れの仕事に携わりました。私にとっては非常に貴重な思い出です。
 その後、日本に戻り、対中円借款の仕事などに携わりました。2003年から在香港総領事館、2005年から在中国日本国大使館にて勤務しました。2008年の北京五輪の際に、邦人保護の一環で柔道の会場に居合わせた時、日本人第一号金メダル獲得の瞬間に立ち会えたことは非常に貴重な思い出です。
 その後再び帰国し、2017年に再度在中国日本国大使館での勤務となりましたが、2009年から2017年の間に、日本でのニュースを通じて得ていた中国のイメージと実際との違いに驚きました。世論調査では、中国人の日本に対する好感度は日本人の中国に対する好感度より高いことが報道されています。多くの中国人観光客が日本に赴き、日本の実情を自分の目で確かめて、日本でも使用できるWeChatで中国国内に発信している一方、中国を訪れる日本人観光客は少なく、日本人の多くが使っているSNSは中国では使用できないため、中国人のように発信できず、実情が伝わりにくいということも影響しているのだと思います。やはり、自分の目で確かめないと実際の状況は分からないものだとつくづく思いました。


日系企業のビジネス環境改善と日中文化交流事業の促進に尽力する


 当事務所は在瀋陽日本国総領事館の在大連領事事務所です。邦人援護と日系企業の支援が業務の重要な内容です。大連に着任してからまだ日が浅いため、現在は大連の状況を勉強中ですが、これまでお会いした人たちからは、大連は非常に親日的な土地柄で、大変生活しやすい都市であるというお話を伺っています。
 大連では毎年5月に大連アカシア祭りと中日文化観光交流大会が開催されると聞いています。今年はコロナの影響で日本との往来が難しいかもしれませんが、当事務所としては盛り上がるように支援させて頂きたいと考えています。
 また、毎年9月には日本商品に特化した大連日本商品展が行われており、昨年は中日(大連)博覧会と名称を変更し、各種の対日交流イベントが行われたと聞いています。コロナの状況を見ながら、こちらについても協力していきたいです。
 また、大連には、市長が出席する在大連日系企業のビジネス環境や日中交流の深化について議論するプラットフォームである「大連日中アカシア懇談会」があります。日系企業が直接大連市の幹部に要望を伝えることができる重要な場と聞いていますので、双方にとって有意義な意見交換の場となるよう支援させて頂きたいと考えています。
 そのほか、大連には岩手県、宮城県、神奈川県、新潟県、富山県、北九州市の自治体事務所が設けられていますので、各自治体との交流がさらに促進されるよう尽力したいと思っています。更に、日本語教育や文化交流事業なども推進していく予定です。2022年は日中国交正常化50周年の節目という日中関係にとって重要な時期ですので、盛り上がるように準備を進めていきたいです。


大連の付加優位性に注目しつつ日中新時代のさらなる発展を期す


 大連市には現在約1900社の企業が進出しており、製造業をはじめIT・BPOなど業種の分野は多岐にわたります。米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の影響などにより、日系企業が中国から東南アジア等の地域へと生産移管を進める動きがありますが、大連の日系企業に大きな撤退の動きがあるとは聞いていません。このことは、日本語人材を含む優秀な人材が多く、定着率も高いとされる大連が日系企業にとって活動しやすい環境であるということと関連しているのかもしれません。また、日中(大連)地方発展合作モデル区といった、日本を念頭とした新たな投資誘致プロジェクトも推進されており、大連がほかの都市と比べて、どのような優位性を付加できるのかに注目しています。
 製造業について言えば、従来の輸出加工型から付加価値のある製品製造へと転換し、新たなビジネスを生み出そうとされている企業もあると聞いています。日系企業にとって大連がより良い活動拠点となるように、当事務所としても日系企業の皆さまと綿密に連携を取り、公平・公正かつ安定的なビジネス環境の構築に寄与できるよう、大連市政府とも交流していきたいと思います。 
 4月5日には日中外相電話会談が行われ、来年の日中国交正常化50周年に向けて幅広い分野で交流・対話が進むことへの期待を表明しました。日中関係の更なる発展が期待されています。大連市にとって日本は第一の貿易投資のパートナーであり、日本との地方交流、文化交流が盛んな都市です。当事務所としては、アカシア祭りや中日(大連)博覧会等の機会を利用し、文化・スポーツ交流、青少年交流等を推進していくとともに、日系企業や在留邦人が安全・安心に大連で活動、生活できるよう支援していく所存です。



旅順桜祭りへの参加
4月20日に旅順で行われた桜祭りに参加しました。これから、大連で開催される様々なイベントに積極的に参加し、大連に対する理解を深めたいと思います。



PROFILE
とどりき けん

1962年4月3日生まれ、東京都の出身。東京外国語大学で中国語を専攻。1989年外務省入省、2003年在香港総領事館、2005年在中国日本国大使館勤務、2017年在中国日本国大使館 参事官(領事部長)、2019年在上海日本国総領事館 首席領事、2021年在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所 所長


<等々力さんをさらに知る>


下手の横好きのゴルフ


初めての在外勤務の時に先輩に誘われて始めたゴルフですが、一向にうまくなりません。しかしながら、「友誼第一,比賽第二」で気軽に、楽しくプレイすることを心がけています。


時間制限の詰め将棋


最近、ネット詰め将棋にはまっています。持ち時間30秒で、1手指すと手持ち時間が数秒増えますが、持ち時間内に詰めないと敗北となり、ランクが下がってしまうという大変スリリングな詰め将棋です。


旅順を訪ねて感無量


旅順桜祭りに参加する時、桜花園の中に2010年に日中児童の友好交流後援会が建立した碑を見つけ、日本との関係の深さをあたらめて感じました。


在瀋陽日本国総領事館 在大連領事事務所

西崗区中山路147号森茂大厦3階
℡(0411)8370-4077

在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所

住所 辽宁省大连市西岗区中山路147号森茂大厦3楼 MAP
電話 0411-8370-4077

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