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2015年5月1日より最低賃金は時給32.5香港ドル
法定の最低賃金が2015年5月1日より改定されました。
今号では改定内容および条例のポイントをご案内します。
2015年5月1日の改定ポイント
2011年5月1日に施行された最低賃金条例では最低賃金レートを2年ごとに見直すとしており、レート引き上げについて14年5月から各界の意見聴取や審議が展開されていました。今回の改定により、最低賃金レートが「時給32.5香港ドル」に引き上げられました。
最低賃金レートの引き上げにともない、雇用条例で規定されている総労働時間の記録保存義務の条項も改定されました。本条項に基づき、算定期間において賃金が「特定の賃金」に満たない労働者の総労働時間を使用者は記録・保存する義務があります。この「特定の賃金」が「13300香港ドル」に改定されました。
《最低賃金条例》のポイント
《最低賃金条例》は、賃金の低い労働者の保護を目的として施行された条例です。香港において雇用契約の下で雇用されている労働者(家庭における家事手伝い、学生インターンなどを除く)すべてに適用されます。また、賃金の算定は次の算式を用いて計算します。
総労働時間×時給32.5香港ドル
最低賃金に満たない場合、不足分を「追加報酬」として支給する必要があります。
労働者の賃金が最低賃金の水準を満たしているか否かは、(A)前述の算式で算出した賃金算定期間における労働者の最低賃金と、(B)ある賃金算定期間に対して労働者に支払われる賃金とを比較することになります。なお、「賃金」には基本給だけでなく固定額で支給している手当(役付手当、食事手当など)、コミッションやチップなども含まれます。ダブルペイや裁量による年次賞与などは含まれません。
違反と罰則
最低賃金の支払いについては、有罪となった場合35万香港ドルの罰金および3年の拘禁刑、記録保存義務の違反については、有罪となった場合1万香港ドルの罰金が科せられます。
今後の動向
最低賃金レートの引き上げにより下位職層の賃金が底上げされることになります。これまでの傾向を見ますと、一部の業種・職種によっては下位職層の賃金の底上げが上位職層へも影響し、全体的に賃金が上がっていく傾向も伺えます。現時点ですでに時給32.5香港ドル以上を支給している場合でも、人件費などのコスト上昇には引き続き注目していく必要があります。
その他、標準労働時間立法化に向けての動きも注目すべき事項です。メディアでは2016年末までには政策案が提出される見込みであると報道されています。政府は、標準労働時間が導入されれば雇用主側に追加で552億香港ドルの人件費がかかることになるだろうと予測しています。一方で専門家は、労働時間の短縮によるワークライフバランスの改善が生産性を高め、更なる雇用を生むのではという意見も出ており、引き続き動向に留意が必要です。
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