キーマンインタビュー
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佐川グローバルロジスティクス/上海虹迪物流科技有限公司
董事 松尾 友正 氏
中日双方のノウハウを融合し
中国で愛される物流企業へ
宅配便にとどまらず、あらゆる物流ニーズに応えるため、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業、物流機能を支えるその他の事業と、幅広い事業領域で活動しているSGホールディングスグループ。ロジスティクス事業を担当する「佐川グローバルロジスティクス株式会社」が資本投資及び子会社化した「上海虹迪物流科技有限公司」の董事である松尾氏に話を伺った。
SAGAWAの品質を中国で
提供する「上海虹迪」
日本で青と白と赤の縞シャツを着た配達員がお荷物を届ける姿と、車体に「SAGAWA」と書かれたトラックを見かけたことはあるでしょうか。1957年に、創業した佐川急便は京都ー大阪間輸送を主体とした運送業を開始しました。高度経済成長、バブル経済と崩壊、ITバブル、そんな日本社会の歴史的場面を目撃しながら会社は成長を続け、現在では日本全国に拠点ネットワークを有し、ユニフォームを見れば「佐川」だと分かっていただけるほど皆様に広く認知され、愛される総合物流企業となりました。
「上海虹迪物流科技有限公司(RUNBOW社)」はSGホールディングスグループでロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクス株式会社が、2020年に資本投資、及び子会社化した現地物流会社です。アパレルやケミカル業界の世界的大手企業に対して高度な物流サービスを提供し、上海を中心に、広州、成都や武漢、西安、天津、瀋陽など中国の主要都市に物流拠点を構えています。SGホールディングスグループは、アジアを中心に、欧米、アフリカにまで広がる34カ国・地域のネットワークを活用し、国際フォワーディング、国際宅配便、倉庫の在庫管理、3PL、国内輸送などの事業を展開しており、中国における3PLビジネスを上海虹迪への資本投資によって強化しています。
私は資本投資の検討段階から上海虹迪に携わってきました。2021年に赴任して以降は、日系企業様への営業、中国での事業拡大に必要なリソースやネットワークの拡充が私の主な仕事となります。
大きく変貌を遂げるこの地で
我々が目指すもの
これを読んでおられる方のなかには「佐川」が上海で事業展開していることをご存じでない方もいるかもしれません。実は中国に進出したのは約30年も前で、国際事業として宅配便、引っ越し、フォワーディングなど、中国内事業においては輸配送、倉庫事業などを試行錯誤しながら展開していました。先述の通り、佐川急便というのは京都で生まれた日本企業です。日本の高度経済成長とともに会社は成長し、日本で培った技術や、ノウハウを持って中国へ進出してきました。この地でビジネスをされている方はご存知の通りで、中国は世界の工場から、トレンドの発信地・巨大な消費地へと変貌しました。マーケットの大きさや、消費意欲の強さから、「中国に行けば日本製品は売れるだろう」と考え、進出された日系企業様も多くいらっしゃったかと思います。しかし、魅力的である一方、独特な文化と、広大な地域に及ぶ中国において、多くの企業との熾烈な競争を勝ち抜くことは容易ではありません。それは当社も同じです。この度「上海虹迪」への資本投資、及び子会社化したのは、お客様へ最適なサービスを提供するために、SGホールディングスグループのノウハウと、中国現地におけるローカル企業の良さを最大限に活かした体制を構築するという意図があります。我々が物流事業を展開し、永年にわたって得たノウハウやリソースを、中国人スタッフに、中国に適したスタイルで最大限活用してもらう。それでこそ本当の意味でのシナジー効果が発揮され、お客様に中国における最適なサービスを提供できると思っています。
現地を知ること
現地に教えてもらうこと
中国ビジネスの面白いところは、スピード感と柔軟性です。日本であれば、長期間にわたって検討を繰り返し、決定されるような事柄が、こちらでは数日と経たないうちに決定され、実行されます。日本はプロセスに重きを置く傾向がありますが、中国は結果を重視。さらには決定した事項に対して、急な方向転換をすることも全く厭わない柔軟性も兼ね備えています。ビジネスの世界で生き残り、発展していくためにダイナミックに変貌していくその姿は、ビジネスをゲームのように楽しんでいるようにも見えます。記憶に新しいところで昨年発生した上海ロックダウンのような、世界的にも起こり得ないような予測不可能なことが中国では起きます。非常事態といってもいいロックダウン中でも、住民は色々な仮装をしてPCR検査を受けたり、高層マンションのベランダを通じてご近所同士で大声で井戸端会議をしたり、困難な中でも楽しみを見つける人々の姿や、隔離区画のなかで散髪屋を開いたり、古着屋を始めてみたり、商売を始める逞しい姿を見ると、なんて面白い国なのだろうと感じます。そういったアイデアを次々に実行し、彼らがピンチをチャンスに変える場面に遭遇することも、現地で暮らす人々の考え方を知る良い機会であり、それはビジネスの思想に色濃く出ていると思います。
また私は、中国ビジネスの多くは人と人との「信用」で成り立っていると考えています。SGホールディングスグループは成功・失敗を繰り返しながら日本でお客様の信用を得てビジネスを拡大させてきたと自負しています。信用を得るために仕事の仕方を工夫し、品質を高め、サービスの向上に努めてきました。中国の地においても我々は、「郷に入っては郷に従え」の精神で、現地の文化、ニーズ、やり方を学びながら、現地の皆様に信用・信頼をしていただけるビジネスをしていきます。その過程で得る経験は、我々が更なる成長をするために絶対に必要なエッセンスだと思っています。
中国で愛される会社へ
第一の目標は上海虹迪の成長を促進させることです。ここ数年間は新型コロナの影響で満足のいく活動ができていませんので、これからエンジン全開にしてこの会社の事業を拡大してきます。並行して良いサービスを提供するために、必要なリソースをもつパートナーとの連携を進め、この国の方々に愛される会社、愛されるサービスを提供していく所存です。
中国で「佐川」がビジネスをしていること、我々が皆様のお役に立てるサービスを提供できる事をアピールするとともに、現地での人脈作りに注力しています。少しでもご興味をもっていただき、お会いいただける方には、24時間・365日いつでもどこでも会いに行きますので、是非お声かけいただけると嬉しいです
PROFILE
プロフィールTomomasa Matsuo
1976年生まれ、神奈川県出身。2001年佐川グローバルロジスティクス株式会社に入社。2014年東東京支店店長、2019年本社経営企画部部長、2021年に来海し、上海虹迪物流科技有限公司の董事を兼務。2022年中国事業担当バイスプレジデントを務める。
ビジネスに関する書籍はトレンドをチェックする一方で、『孫子の兵法』と『燃える闘魂』の2冊はずっと手元にあり、いつの時代にも共通する要素があると思っています。孫子に冷静さを、稲盛さんに情熱をもらいます。
まとまった時間ができると、フラっと一人で旅行に出ます。普段見ることができないものを見て、現地の食べ物を食べて、旅先での人と出会いはとても楽しく、人生の醍醐味です。
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