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vol179:個人所得税における「華僑」の取扱い

日本の永住権を持つ中国人は個人所得税上「華僑」と認定されるのでしょうか。税務上「華僑」と認定される条件について解説します。


中国人の派遣


 中国業務の現地化推進の一環として日本に長期滞在している中国人の採用が増加しており、日本から中国に派遣される中国人の数が年々増えています。たとえば某日系企業では、中国子会社へ中国籍の従業員王さんを派遣しました。王さんは中国に派遣された後も日本の親会社と雇用契約を継続しており、派遣状況は一般の日本人駐在員と同じです。王さんは日本滞在中に日本の永住権を取得しました。王さんが派遣されている上海の子会社では、中国個人所得税法の関連規定に基づき王さんを「華僑」として(外国人と同様)個人所得税を申告するか、日本人と同じ費用の免税規定が適用されるかどうかが問題となります。


華僑の定義


 日本から派遣される中国人に対しては、会社によって一般の中国人として申告するか、あるいは華僑として申告する選択があると考えられます。「中華人民共和国から帰国した華僑および親族の権益保護法」によると、「華僑とは国外に定住する中国国民(中国国籍保持者)である」と規定しています。ちなみに「華人」とは外国籍を取得した中国系の人たちを指します。中国国家税務総局が公布した「個人所得税の政策執行問題に関する通知」﹇国税発(121号)﹈の第三条においても華僑を同様に定義しています。具体的な華僑の定義は以下の通りとなります。

 (1)定住とは中国国民が外国で長期間滞在する権利あるいは永住権を取得し、かつ当該国に連続で2年間の滞在許可があり、当該2年間で最低18カ月間滞在している

 (2)中国国民が外国で長期間滞在する権利あるいは永住権を取得していないが、すでに5年以上(5年を含む)合法的に居留する資格を持ち、5年以内に累計で少なくとも30カ月以上滞在した場合は、華僑とみなす。

 (3)中国国民が国外留学(公費および私費を含む)した就学期間、あるいは公務により出国(外国への駐在員の派遣を含む)した場合は、華僑とはみなされない。

 上述の規定に基づくと、日本での永住権を取得した王さんは税務上においても華僑と判断されます。中国での就業期間中取得した給与所得に対して、華僑に関する関連書類を税務局に提供することで華僑として個人所得税を計算することが可能です。従って「中華人民共和国個人所得税条例」に基づき、華僑と認定された場合は給与所得から一般の中国人に適用される3500元の基礎控除額ではなく、4800元が控除可能となります。


費用の免税規定が適用されるか


 しかしながら、現行の規定では華僑が外国国籍保有者と同様に国家税務総局の公布した「外国籍個人が取得する手当について個人所得税の徴収を免除することを執行することに関する問題の通知」﹇国税発(1997)54号﹈の適用対象であるか明確な規定はありません。つまり、上述の王さんの住宅手当、帰省費用(日本)、医療費、子女教育費用、赴任・帰任引越費用などが免税の対象となるかは明確ではありません。

 実務上は各地の税務局が保守的な態度を取っており、外国の永住権を取得し、華僑と認定された場合であっても、4800元の基礎控除は認めるものの、上述の免税規定はあくまでも外国人が対象であるとし、中国人には認められないことが多く見受けられます。


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