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vol186:国税、地税の協力体制規範化とその影響

税務総局は「国家税務局 地方税務局協力規範(1.0)版」(以下、「協力規範」と略称)を公布しました。


2012年1月1日より営業税の対象業務・取引の増値税への変更の試みが開始され、現在は変更が全国展開されたため、地方税務局の第一の税収である営業税収入が急速に縮小しています。その結果、地方が中央を巻き込む形で、地方税収の構造的な変化が起こっています。


協力規範の項目

協力規範には主に大きく分けて5つの方面、32の具体的な項目が記載されています。
①納税サービスの協力(12項目)
②徴収管理の協力(11項目)
③税務調査の協力(4項目)
④情報共有の協力(2項目)
⑤その他事項の協力(3項目)
協力規範では各項目に対して具体的な協力の目的、協力の目標、協力方式、方法方式の要求が記載されています。協力規範は7月1日から実施され、国税と地税の協力を規範化および制度化することの重要性を挙げています。例えば項目の内容として「納税サービスの協力」があり、合同設立登記、合同登記変更、合同税務サービスの処理等12項目の納税サービスの最適化が挙げられています。国税と地税が協力することで、納税手続きの負担軽減、納税サービスを最適化、法の執行の透明性および公正性の向上を図るとしています。
「徴税管理の協力」では、「非居住者企業の恒久的施設の判定を共同で行う」との記載があり、その目的は非居住者企業の企業所得税および外国人の個人所得税徴収管理を強化し、税収流出の削減となります。協力規範では、さらに国税と地税が協力することでより公平、公正な法律の執行がなされると明確に記載しています。また、納税者の資料の重複提出、組織の分散による税収管理情報の滞留、情報の欠落などの実際の問題を解決できるとしています。


具体的なアクション

協力規範の実施を確実にするために、税務総局は電話会議を開催し、以下の項目を提起しました。
・指導グループを設置し、主要な責任者および担当責任者、各責任者の職務を明確にする。
・関連するシステムの健全化、業績評価の強化を実施する。
・情報を統括し、情報システムを完備する。情報プラットフォームを通じて、各国税、地税が税務情報を共有し処理する。
・協力事項および作業プロセスを細分化する。税収徴収管理を規範化し、継目のないものとする。
・実施の状況をフォローし、国税と地税の協力関係の向上を促す。


納税者の注意事項

納税者にとっては、国税と地税が協力することで税務手続きの負担が軽減される一方、現行の分離管理体制下において見逃されていた税務問題が、国税と地税が協力し、内部の情報プラットフォームを共有することで顕在化する可能性があります。例えば、国税と地税が合同で調査を行なった場合、国税が企業所得税の調査後、個人所得税などの地方税に関する問題は地税へと引き継がれ、継続して調査を実施することなどが考えられます。
従って、納税者の調査に対する対応コストは上昇し、対応においても難易度が大幅に増す可能性があります。特に、恒久的施設課税、移転価格調査、対外支払い、持分譲渡、源泉徴収等に対する税務リスクが高まることが考えられるため注意が必要です。


田 雲
Tian Yun  
上海衆逸企業管理諮詢有限公司 コンサルタント
info@u-achievement.com

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