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vol175:海外投資に係る税務

契約書の締結において、外部の税務専門家による契約内容の確認、その条項あるいは解釈に対する潜在的な税務リスクの有無の確認が疎かにされがちです。


商務部の統計によると、2013年において中国企業は全世界156の国と地域で5090社の国外企業に対して直接投資を行い、非金融直接投資額は901.7億元に達しており、前年比で16.8%の伸び率となりました。13年度末までに中国からの非金融対外直接投資は累計で5257億ドルに達しており、世界で第三番目の対外投資国になっています。UNCTAD(国連貿易開発会議)の予想では2〜3年以内に中国の対外投資規模は国外からの中国への投資を上回ると予想しています。租税条約および中国税法の枠組み、中国企業が対外投資を考える場合、どのような投資形態を選択するか、どのように税務リスクを回避するか考慮する必要があります。


組織形態の考慮


対外投資では、まず投資先の国/地域での設立形式、ビジネスモデル、支店または子会社を設立するかを検討します。経営および税務の観点から考えると、支店は独立法人ではなく、投資先の国では恒久的施設(PE)となり、支店が赤字になった場合、中国本部の課税所得から控除することができます。一方子会社は独立法人であるため、発生した赤字は中国本社の課税所得からは控除できません。支店で利益を計上した場合は、利益額に対して適用税率を掛けて所在地において納税を行い、税引後利益を中国に送金した時に中国で企業所得税の計算を行い納付します。ただし、海外で納税した企業所得税は一定限度額を中国本部の企業所得税から控除することが可能です。海外子会社の税引後利益は配当として中国に送金します。中国本社および子会社の所在地国とで締結された租税条約に基づき子会社は配当に対する源泉税を支払い、中国本社では一定の限度額が控除可能となります。


投資形式の検討


国外投資が成熟するにつれ、国を跨いだ税務上の問題が次第に顕在化しています。例えば企業の税負担を軽減することを考慮し、タックスヘイブンの英国領ヴァージン諸島に中間持株会社を設立し、国外投資を行うことがあります。しかしながら、タックスヘイブンと呼ばれるそれらの地区は他の国と租税条約を締結していないことが多く、当該地区へ送金する際に高額の源泉税が課税されるリスクがあります。そのため直接投資または間接投資を行う時は、租税条約の締結、キャピタルゲイン、配当、持分譲渡、特許使用料などの取扱いを総合的に考慮する必要があります。
例えば、中国企業で欧州、ラテンアメリカなどの地域に投資を計画している場合、個別に各地域へ直接会社を設立するか、中間持株会社を一つの国に設立し、そこから間接的に投資するほうが良いのかを考慮する必要があります。また、中国と優遇的な租税条約を締結している国家(地区)を中間持株会社の設立場所として選択することも一つの方法です。最終投資者(中国)は中間持株会社を通じて得た配当等が一定の税務優遇を享受または免税となる可能性があります。
現在中国企業の国外投資は主に直接投資であり、主要な利益獲得方法は配当および持分譲渡となっています。上述のように中国と優遇的な租税条約を締結している国に投資し、投資収益をそこに集中させることで、合法的に税負担の軽減することが可能となります。今後の中国から海外投資では国を跨いだ包括的な税務の理解が重要です。

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