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vol.171:職務分掌の徹底と財務リスク予防の関係



職務分掌とは、ある業務を1人の職員だけが行うことで業務がブラックボックス化することを防止するための内部統制上の基本事項です。

職務分掌

職務分掌は会社組織を構築し、経営管理を行う上でも重要なものです。一つの業務サイクル(取引のプロセス)に対して2人以上の担当者が処理を行うことで、ほかの業務担当者(他部門)からの監督および制約を受けることになり「内部牽制」を効かせることができます。
中国の内部統制規定でも、《内部会計統制規範- 基本規範( 試行)》( 財会﹇2001﹈
41号)第七条規定に、「内部統制上、会社は会計業務を担当する部門を設置し、合理的な設定、職務権限の合理的な区分、職務分掌を堅持し、異なる部門および職責での権限を明確にして相互牽制、相互監督する」とあります。

内部牽制の難しさ

筆者の内部統制監査の経験では、財務部門で職務分掌が徹底されていないケースをよく見かけます。徹底されない主な
理由の一つとして、効率性が優先されることです。会社としては人件費を抑えるために、会計業務を明確に区分せず、1人の担当者が内部統制上問題となり得る多数の業務を兼務していることがあります。例えば、ある会社では、出納担当者が、入出金業務、現預金残高の確認、現預金出納帳の作成、総勘定元帳への転記と一連の業務を全て1人で行っていました。会社は「業務に慣れており、そのほうが効率もよい」と考えるのみで、内部統制上問題があり、財務リスクが高いとの認識は持っていませんでした。
一方で、メンツなどの人間関係を優先し、額面通り法律規程を守らないアジア的な要素が内部統制を難しくしている面もあります。例えば、ある会社では出納担当者が会社印、財務印、法定代表印、小切手などを1人で管理しており、現金の引出金額も担当者が任意に決めているケースが見られました。会社設立当初からの従業員で、当初は少ない人員で多数の業務を単独で担わざるを得ない状況であったことは確かでしょうが、会社組織が大きくなってもなかなか権限が委譲されず、ほかの財務担当者も今さらチェックに入りにくい状態が続いていました。経理規程から逸脱しており、内部統制上問題があることはほかの財務担当者も認識していたものの、「得罪人」(機嫌を損ねる)を恐れ見て見ぬ振りをしていました。

財務部門の職務分掌

財務部門の業務では、出納担当者が現預金の入出金業務、現預金出納帳の記載を行い、総勘定元帳および売掛・買掛金勘定などの経理処理を行ってはなりません。一方で、出納担当者以外の者、例えば会計担当者あるいは総経理でさえも現金の受渡し、小切手の発行を含む入出金業務を行ってはいけません。出納業務をチェックする方法として小口現金の定期定期な実査、毎月銀行から発行される取引明細書(対単帳)の照合が挙げられます。小切手の発行および銀行支払申請は、会計部門で財務印を押印し、総経理が法定代表人印を押印することで内部牽制を効かすことができます。設立10年以上の比較的中国業務に精通した会社でも、財務部門をコストセンターと捉えており、コスト削減に注力するあまり、職務分掌、内部牽制が不徹底となる傾向があります。お金を扱う財務部門で問題が発生するのは他部門でのそれとは意味が異なります。必要十分な人員を配置しましょう。過失や不正は経験年数に関わらず常に起こり得ることと肝に銘じ、日頃の監督、内部牽制の構築と実践を怠らない組織づくりを心がけましょう。


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