キーマンインタビュー

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才望子信息技術(上海)有限公司
総経理 増田 導彦 氏
伴走型コンサルティングで
日系企業のDX成功を目指す
これまで膨大な時間とコストをかけていたシステム構築を、専門知識がなくても自由にカスタマイズして構築できるクラウドサービスを提供している「サイボウズ」。ここ中国でチャンスを掴み、勝負するステージを模索する「サイボウズ中国」総経理である増田氏に話を伺った。
海外に多数拠点を持つ
日本のソフトウェアメーカー
サイボウズが目指す「日本No.1から世界No.1へ」の実現のため、またたくさんの人に使ってもらうにはグローバルに成功する必要があるという本社社長の想いもあり、現在は大きなマーケットであるアメリカや中国のほか、経済発展が進んでいる東南アジアにも展開し、計7つの拠点を有しています。
進出当時は、海外進出している日系企業をターゲットとし、拠点ごとにマーケティングや営業活動を進めてきました。現在では日本のノウハウをグローバルに共有・展開できる組織体制に編成し、本格的に現地ローカル企業に注力するための戦略にシフトしています。
ここ中国では日本同様、クラウドベースのグループウェアや業務コンサルティングを軸に、企業のデジタル化を支援する製品「Kintone(キントーン)」「Garoon(ガルーン)」を提供しています。特に「Kintone」は弊社の主力製品で、Webデータベース型の業務アプリ構築クラウドサービスです。IT専門知識がなくてもマウス操作でシステムを作成し、お客様のご要望に応じて自由にカスタマイズできるシステム構築が特徴です。通常のシステム構築は、半年以上の期間とそれ相応のコストがかかりますが、この「Kintone」ならノンプログラム開発を主流としているため、開発にかかるコストを最小限に抑え、これまでかかっていた時間を圧倒的に短縮し、スピーディーにシステムを作ることができます。いきなり大きな費用をかけずに、まずは部署やチーム単位での利用から始められる、今までにない画期的なコンセプトの製品で、大手企業から中小企業まで、日系やローカル企業を問わず、100社100通りのデジタル化を支援しています。
16年目を迎える「サイボウズ中国」
数十年前のテクノロジーは中国よりも日本が進んでいました。私は日本の製品を中国でどう提供するかを模索していた時にサイボウズの製品と出会い、これをぜひ中国に広めたいと考えました。サイボウズが日本でシェア1位になったことと、海外進出を検討していたタイミングが重なったこともあり、私は友人と共にサイボウズの製品を販売・保守する会社を立ち上げました。その会社は後にサイボウズ社が100%出資をし、私はそのまま会社に残り、現在は総経理として中国全体の指揮を執っています。
これまでに1,350社以上の企業に利用していただいているサイボウズ製品は、そのうちローカル企業が約25%を占めています。昨今はさらにたくさんの人に使っていただくために、ローカル企業へ積極的にアプローチしています。
私たちは、情報漏えいやシステム停止することは決してあってはならないという覚悟のもと、確かな製品を提供しています。日系企業では、安心・安全、そして導入から運用までのサポートが高く評価されていますが、ローカル企業では、それよりも価格や多機能を重視するため、その溝を埋めるために、今尚苦労を重ねているところです。
また、中国ビジネスにおける人脈の重要さは言うまでもありませんが、中国全土のお客様に製品を説明させていただくなかで、地域差で商習慣に大きく異なると感じました。例えば、北京は対面で会うと次第に親しい友のように接してくれます。要望を満たしていて、互いの信頼関係のもとサインが交わされる印象です。一方で、華南エリアは対面で会える機会は多くはなく、とにかく廉価なものを選ぶ傾向にあります。さらに、ここ上海では価格も機能も重要で、比較もしっかり行います。同じ内容で、同じアプローチをしているにも関わらず、これだけの違いが出てくるのはとても興味深い事例でした。
メンバーと共に乗り越え
お客様に寄り添い製品を提供
設立から16年が経ちましたが、常に課題が目の前にあります。これまでの成功は、計画的に実行していたという訳ではなく、長期的に見て結果的にうまくいったと感じることが多いです。その時にそこにいるメンバーたちと、今はこういうフェイズだからこんな取組みをしてみようと、その都度話し合いながら進めてきました。
また、弊社は「メンバーが自立する」という考え方を非常に大切にしています。日本から人材を連れてくるのでなく、現地にいる人材を育ててマネージャーという責任ある役職を任せたり、意思決定をすべてトップに委ねるのでなく、現場にいるメンバーが自分ごととして捉えてビジネスをするよう意識を高めたりしています。今の市場に正解はなく、より複雑化されています。常にチャレンジをして、いろいろな可能性を探し、メンバー全員が自発的に展開してきた積み重ねがあって今があります。
情報共有で業務効率を図れるということは、製品を使っている私たちが最も理解しています。情報を全員に公開し、自立を促し、ビジネスにつなげるをコンセプトに製品を作っていますが、これを理解していただくには膨大な時間がかかり、容易なことではありません。それでも今後もやることは変わらず、たくさんの人に使ってもらうために何ができるかを常に考えていくのみです。そして、私たちの製品を使ってどうしていきたいのかを、お客様にしっかりとヒアリングし、寄り添っていくことで、製品の更なる価値を提供していきたいです。
お客様の本質的なDX推進を実現するために、メーカーとしての役割だけでなく、コンサルティングを含めた、伴走支援を心がけております。10月18日にデジタル化に取組む企業様とのオンラインイベントがございますので是非ご参加いただけますと幸いです
年に1度のサイボウズ最大イベント「kintone Day China」日清食品様、DNP様、キヤノン光学設備様とご一緒に登壇予定です。上QRコードからお申込みいただけます
PROFILE
プロフィールMichihiko Masuda
1973年生まれ、愛知県出身。天津外語大学に留学した後、日本で百貨店のステーショナリーバイヤーや北京で起業、2002年上海へ戻りオフィス家具事業を立ち上げるなど多種多様な業務を経験。2007年にサイボウズの中国展開に参画。現在は総経理を勤め、今年中国21年目を迎える。

週末はゴルフでリフレッシュしています。ゴルフ歴は長いですが、全然上達しないことが悩みです。この写真は昨年ホールインワンを出した際の記念写真です。
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