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推定解雇について

4月に賃金改定に際して、賃下げ・降格といったお問い合わせも増加傾向にあります。今号では、香港における雇用保護規定である「推定解雇」ついてご案内します。


「推定解雇(Constructive Dismissal)」


賃金・職務・就業場所の3項目は雇用契約の根幹を成す重要な労働条件といわれてい
ます。主にこれらの労働条件を会社が従業員の同意なしに、かつ容認する旨の雇用契約上の明示条項なしに、一方的に従業員にとって不利なものに変更した場合、従業員には新しい労働条件が施行される前に、その雇用契約を即時に解除する権利が与えられることがあります。この場合、自己都合退職であるにもかかわらず、会社都合解雇として扱われることがあります。これが「推定解雇」と呼ばれている雇用保護です。
雇用条例第VIA節「雇用保護」では、
会社側による労働条件の改悪は、正当な理由が明示されない限り、従業員に与えられた、または与えられるべき権利・恩恵・保護を消滅または減少する意思を持つ変更であると見なされ、従業員は救済を求めることが可能であると規定されています。通常、従業員側からの雇用契約解除時には、解雇補償(解雇補償金など)の受給権利はありませんが、従業員が裁判所に救済を求め、推定解雇が認められた場合、会社には解雇補償義務が発生します。なお、推定解雇に当たるか否かの決定は最終的には司法判断(労使調停ではなく裁判)に委ねられることになります。


労働条件変更時の注意点と手順


会社側による賃下げ・降格だけでなく、ダブルペイの廃止や各種手当の削減、中国大陸への出向命令など、労働条件を変更すること自体は違法ではありません。ただし、いずれのケースにおいても従業員は推定解雇を主張することが可能です。よって、労働条件の改悪変更を行う場合、従業員が離職する可能性があること、離職にともなって会社都合解雇として解雇補償を行うことを覚悟の上、実施することになりますのでご留意ください。
労働条件を変更する際の手順としては主に次の通りとなります。
① 労働条件変更時期の決定:ダブルペイ制度などのように算定期間の設定がある制度変更時には、新しい算定期間の開始前に一連の手続きを完了しておくことが望ましいといえます。
② 通知書ドラフトの作成:通知書には合意確認欄を設け、従業員側の署名を得る書式にすることが肝要です
③ 雇用契約書の裏書作成、就業規則の改定:変更内容とその施行日、従業員の署名欄は記載必須項目といえます。就業規則をあわせて改定する場合は、新就業規則の内容同意書を作成の上、従業員の署名を取り付けます。
④ 発表(説明): 賃金改定等は個別に説明を実施しますが、全従業員にかかわる制度変更時には、情報が一元化されるよう、できる限り集合的に説明会を実施することが望ましいといえます。
⑤ 各種書類への署名: ②・③で作成した各種書類に従業員の署名を取り付けます。なお変更内容の説明後、従業員が合意するか否かを決定し署名するまでの考慮期間としては7日以上を与えるようにしてください
昨今の経済環境の不透明さは、コストカットなど様々な決断を要する場面を引き起こしているかと考えます。その中には、賃下げや福利厚生の見直しを行うという判断もあり得るかもしれません。そういったときこそ、改めて会社としての判断軸を見直す好機なのではないでしょうか。どんなパフォーマンスに賃金を支払うのか、どんな目的をもって福利厚生を設定するのかなどの考えを改めて整理し、社内制度全般を今一度前向きに見直すことは、従業員ひとりひとりが活き活きと働ける組織づくりの一助になると考えます。




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