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企業再編の新たな税制優遇策

China Ventureによると、2014年1~11月までの中国におけるM&A案件は約6,000件、取引額は3,500億米ドルを超え、昨年比でそれぞれ33.15%、18.82%増加しています。


許認可の簡素化および税制優遇策の公布

 M&Aが増加している背景として2014年3月24日付けで国務院が公布した「企業再編買収市場環境のさらなる向上に関する意見」(国発【2014】14号)により、数多くの行政批准事項の取消、下部組織への権限移譲が大きく影響したとも言われています。さらに財政部と国家税務総局は昨年末に「企業再編の促進に関わる企業所得税処理問題に関する通知」(財税【2014】109号)および「非貨幣性資産投資に関わる企業所得税政策問題に関する通知」(財税【2014】116号)を相次いで公布し、税制面においても奨励政策を打ち出しました。


特別税務処理の条件緩和

 前者は主に「企業再編業務の企業所得税処理のいくつかの問題に関する通知」(財税【2009】59号)で定められた特別税務処理(日本における適格再編税制に相当)の適用条件を緩和したものであり、持分(または資産)買収において、買収企業の取得する持分(または資産)が被買収企業の全持分(資産)の75%超であった条件を50%超に下げています。特別税務処理が適用された場合、持分の時価評価を行わず、持分の投資簿価での引継が可能となり、譲渡益は発生せず、譲渡益課税も繰延されます(譲渡益は買収企業が将来第三者へ再び譲渡する段階で認識されます)。外資系企業でよく見れらるケースとしては、国外の親会社が現物出資や増資を行うことで国内にある製造・販売子会社を投資性公司の子会社にすることがあります。譲渡される中国子会社が中国企業との合弁会社であり、持分比率が拮抗している状況(49:51、50:50、40:60など)では以前の通達では特別納税処理の要件を充足しないため、譲渡益に対して課税されていました。本通達により、外資系企業では持分比率の拮抗する中外合弁企業の投資性公司への持分譲渡を推進する効果が期待できます。


優遇政策の具体例

 また、116号通達では、居住者(内国)企業が非貨幣性資産(仮に取得原価80/公正価値100の持分)を以って投資(または増資)する場合、評価増額分(当該投資の課税所得は100と取得原価との差額の20)は投資実行年度において全額譲渡益として認識されるところを、5年間均等で益金計上とするとしています。課税の繰延例は左図のようになり、譲渡益20が5年間に渡り均等(4)に益金計上されます。



 両通達はどちらも課税の繰延であり減税あるいは免税措置ではないものの、キャッシュフローの改善により、企業再編時における資金調達計画に大いに影響を与え、M&Aおよび組織再編を活性化させると思われます。

 税務当局が組織再編に前向きな通達を出している今が、事業再編を再び検討するに適した時機であると言えるでしょう。

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