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商標に関する紛争および訴訟の紹介(4)
商標に関する紛争の種類とおもな特徴
権利帰属に関する紛争は、おもに、商標権の権利帰属に争いが生じ、人民法院による権利の確認を必要とする紛争を指します。権利侵害に関する紛争は、行為者の行為が権利者の商標権を侵害したことにより生じる紛争です。これは商標に関する紛争の中で最もよく見られるものです。例えば、登録商標を冒用した商品であることを知りながらそれを販売すること、ネット上で他人の登録商標を無断で使用して宣伝を行うこと、他人の登録商標の標章を偽造すること等は、いずれも商標権を侵害する行為に該当します。商標契約に関する紛争は、商標契約の履行過程で生じた契約違反等についての紛争です。おもなものとして、商標使用許諾契約紛争、商標権譲渡契約紛争、商標代理契約紛争等があります。今回は、商標の権利侵害に関する紛争の種類と商標混同行為の認定をとりあげ、重点的にご紹介します。
商標の権利侵害に関する紛争の種類
新「商標法」第57条は、第1号から第6号まで6種類の登録商標専用権侵害行為を定め、第7号にキャッチオール条項を置いています。①商標登録者の許諾を得ずに、同一種類の商品にその登録商標と同一の商標を使用した場合、②商標登録者の許諾を得ずに、同一種類の商品にその登録商標と類似の商標を使用し、または類似商品にその登録商標と同一もしくは類似の商標を使用して、容易に混同を招く場合、③登録商標専用権を侵害する商品を販売した場合、④他人の登録商標の標章を偽造し、もしくは無断で製造し、または偽造され、もしくは無断で製造された登録商標の標章を販売した場合、⑤商標登録者の同意を得ずに、その登録商標を付け替え(あるいは剥離して別の商標を付し)、かつ商標を付け替えた当該商品を再び市場に投入した場合、⑥他人の商標専用権を侵害する行為のために故意に便宜を与え、他人による商標専用権侵害行為の実施を幇助した場合、⑦他人の登録商標専用権にその他の損害をもたらした場合。また、新「商標法」第58条は、他人の登録商標、未登録の馳名商標を企業名称の中の商号として使用し、公衆を誤導し、不正競争行為を構成した場合は、「不正競争防止法」に従い処理すると定めています。
商標冒用・模倣行為
商標冒用・模倣行為は、新「商標法」第57条の第1号および第2号に定められている行為です。具体的には、次の4種類に分けることができます。①他人の登録商標と同一の商標を同一種類の商品に使用すること、②他人の登録商標と類似の商標を同一種類の商品に使用すること、③他人の登録商標と同一の商標を類似商品に使用すること、④他人の登録商標と類似の商標を類似商品に使用すること。①の他人の登録商標と同一の商標を同一種類の商品に使用する行為は商標冒用行為に該当します。②から④までは商標模倣行為に該当し、商標混同行為とも呼ばれます。商標冒用行為と商標模倣行為を比較すると、商標模倣行為に関しては、法律上「容易に混同を招く」という要件が定められており、商標冒用行為には、そのような定めがないことがわかります。従って、混同の立証という面で、冒用行為と模倣行為には違いがあります。冒用行為では混同の存在が推定されますが、模倣行為では権利を主張する側が混同の存在を証明しなければならないのです。
北京中諮律師事務所 パートナー
張 継文 律師
zhangjaiwen@zhongzi.com.cn
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