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商標に関する紛争および訴訟の紹介(3)
馳名商標の概念および構成
新「商標法」第13条の規定によれば、馳名商標とは「関連する公衆によく知られている商標」を指します。また、馳名商標を構成するか否かを判断するときに検討しなければならない要素として、新「商標法」第14条は、①関連する公衆の当該商標に対する認知度、②当該商標の使用継続期間、③当該商標の何らかの宣伝業務の継続期間、程度および地理的範囲、④当該商標が馳名商標として保護を受けた記録、⑤当該商標が馳名であることのその他の要素、の5つを挙げています。
馳名商標の保護
中国では、「商標法」のほかに、2003年に国家工商総局から「馳名商標の認定および保護に関する規定」が公布されており、この規定は14年7月3日に改正され新規公布されています(以下、「新保護規定」とします)。また、09年には、最高人民法院から「著名商標保護に係る民事紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」(以下、「司法解釈」とします)が公布されています。
中国による馳名商標に対する特別な保護の主なものとしては、次の点が挙げられます。①馳名商標は商品分類を越えて保護され、かつ未登録の馳名商標も保護される(新「商標法」第13条)。②馳名商標の保護においては、その権利を侵害する商標登録を阻止することができるだけでなく、権利侵害標章の未登録商標としての使用も禁止すること可能。③馳名商標の保護は、混同を理由とすることができ、「馳名商標」の信用評判に対する損害も理由とすることが可能。
馳名商標の認定
新保護規定」第4条によれば、「馳名商標の認定は、事件別認定、受動的保護の原則に従う」とされています。ここでいう「事件別認定」とは、個々の紛争事件を対象とした認定を指します。
「受動的保護」とは、商標の権利者から権利の主張がなされたときに(つまり、実際の権利紛争が存在する場合に)、商標の権利者の求めに応じて、商標局、商標評議審査委員会が、当該商標が馳名であって範囲を拡げた保護を与えることができるか否かについて、認定を行うことを指します。上記の原則は、商標の権利者は、その商標の権益が侵害された場合に主管機関に法律的な保護の付与を求める必要があり、主管機関は、主導的にその商標の馳名度について認定を行うことはせず、商標の権利者からの保護請求を検討して認定を行うことを意味しています。「司法解釈」の規定では、馳名商標の認定を行わなければならない具体的な事件が明記されている一方で、具体的な事件において法院が行った商標が馳名である旨の判断の効力が制限されています。例えば、「人民法院による商標が馳名であることについての認定は、事件の事実および判決の理由とするに留め、判決の主文には記載しない」とされています。
馳名商標認定の行政手続
「新保護規定」第5条、第6条および第7条によれば、商標局に異議を申し立てる場合、商標不登録再審査事件および無効宣告請求事件の場合、並びに商標侵害事件においてそれぞれ馳名商標保護の書面を提出し、管轄権のある行政機関に対して馳名商標の保護を求めることができます。
北京中諮律師事務所 パートナー
張 継文 律師
zhangjaiwen@zhongzi.com.cn
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