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上海自由貿易区の法制度について(6)
2014年2月20日に中国人民銀行上海本部が上海自由貿易区内における金融面の規制緩和の諸措置を規定する通知を公布しました。
2014年2月20日に中国人民銀行上海本部が「中国(上海)自由貿易試験区における人民元クロスボーダー使用の拡大を支援することに関する通知」(22号通知)を公布し、2月28日に国家外貨管理局上海分局が「中国(上海)自由貿易試験区の建設を支持する外貨管理実施細則の印刷配布に関する通知」(26号通知)を公布しました。当該両通知は、上海自由貿易区内における金融面の規制緩和の諸措置を規定しています。
区内企業の海外からの人民元借入
試験区外の企業が、国外の人民元資金を借り入れる場合には、いわゆる「投注差モデル」が適用されます。これに対し、22号通知により、自由貿易区成立後に設立された区内企業が国外の人民元資金を借入できる残高の上限は、「払込資本×1倍×マクロプルーデンス政策パラメータ」という式で計算される額とされます(「自由貿易区モデル」)。マクロプルーデンス政策パラメータは、人民銀行上海本部が柔軟に調整できます。自由貿易区成立前に設立された区内企業は、「投注差モデル」または「自由貿易区モデル」のいずれかを適用できます。区内企業が国外から借り入れた人民元資金は、区内または中国国外のみで使用できます。
プーリングおよび集中決済
22号通知により、区内企業を介したグループ内でクロスボーダーの双方向人民元資金プーリング業務が可能になりました。従来、プーリング業務は基本的に中国国内企業間で行われ、かつ中国国外への貸出が可能、中国国外からの借入ができないという一方的なものでしたが、22号通知により、区内企業を通じて、区外の中国国内企業および中国国外企業の間で、クロスボーダーで双方向(中国国外からの借入および中国国外に対する貸出しがともに可能)のプーリングができるようになりました。
集中決済については、中国において、経常貿易に関する決済は、取引毎に行われ、複数の取引の決済を集中して行うこと、または代金を相殺することは認められません。これについて、22号通知は、一定の条件を満たす試験区内の企業は、中国国内外関連企業(サプライチェーンの関係にある企業も関連企業である)のクロスボーダー人民元の集中決済(原文「集中收付汇」)を行うことを認めました。26号通知が、さらに規制を緩和し、集中決済のほか、ネッティング(原文「轧差净额结算」)を行うこともできるとしました。
グループ企業間の外貨資金集中管理
26号通知により、試験区内企業が外貨管理局への届出を経て、多国籍企業はグループ企業間の集中管理を行うことができるようになりました。これは、従来一部の地域に限定されたパイロットを試験区内にも拡大したものです。また、従来のパイロットでは集中管理の対象は貨物貿易に限定されましたが、26号通知により、経常取引全般に拡大され、サービス貿易も対象に含めました。
外貨建て登録資本金の人民元転
区外で、外貨建て登録資本金を一括で人民元転することは認められませんでしたが、26号文により、区内の企業は自由に外貨資本金を人民元転できるようになりました。ただし、人民元転された後の資金を使用する際に、月額60万人民元を超えれば、取引の真実性を証明する書類を提出しなければならないため、従来の規定から大幅に緩和されたとは言い難いかもしれません。
上海国策律師事務所
孫 海萍 パートナー
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