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北京伊藤忠華糖総合加工有限公司

キーマンインタビュー

北京伊藤忠華糖総合加工有限公司

エリア：浦東新区

董事・総経理　菊池武仁氏 2024年8月号

代理店事業が軸の3本柱
柔軟性と適応力を駆使し
中国で「三方よし」を実現

1997年に設立された「北京伊藤忠華糖総合加工有限公司」。当初は中国に進出したイトーヨーカ堂の衣食住商品の卸事業を担い、その後は中国の経済発展に合わせて業容を拡大。現在は３つの事業を柱としている。今回は2023年から董事・総経理を務める菊池氏にお話を伺った。

初の日中友好商社に指定された伊藤忠商事

3つの事業を柱とする子会社「BIC」

1972年に日中国交正常化を果たす半年前、中国政府から初めて日中友好商社に指定され日中間貿易を再開させたのが当社の親会社である「伊藤忠商事」です。
　「伊藤忠商事」が北京に設けた海外拠点が100％出資して1997年に設立した「北京伊藤忠華糖総合加工有限公司」（以下、BIC）は当初、中国に進出されたイトーヨーカ堂様の衣食住商品の卸事業を担い、その後は中国で日本製品のニーズの高まりなど環境変化に対応しながら複数の事業を立ち上げて現在に至っております。
　私は2023年4月に「BIC」の董事・総経理として着任しました。14年間の中国駐在経験が有り、今回4度目の中国赴任となります。実務研修生として初めて上海に着任した1997年から現在までの中国の発展には隔世の感がありますし、前回の上海駐在（2015～2018年）から見ましても大きな変化を感じております。

法人向け「VAIO」PCの販売

2023年からは、中国法人向け代理店として「VAIO」の法人向けパソコンの販売を始めました。
　弊社が扱っている法人向けパソコンは、「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」という商品理念のもと、日本の本社工場で開発し、専任の技術者が一台ずつ仕上げを行い、約50項目にも及ぶ品質チェックを徹底しています。高品質な日本のものづくりと弊社のサポートが、生産性を必ずや高めます。
　また昨今のリモートワーク環境向けにも、VAIO全モデルには快適で便利な仕掛けをいろいろ搭載しています。その１つが周囲の雑音をカットする人工知能（AI）ノイズキャンセリング機能です。周囲がうるさい中でのオンライン会議でも、AIが人の声と騒音とを聞き分け、聞き取りやすく調整してくれるとても賢い機能です。
　他社の商品にはなかなかないアーバンブロンズも意外に人気の色です。法人向けPCは一般に黒やシルバー中心ですが、VAIOの白（ファインホワイト）を採用してくれた企業もありますよ。実機をご覧いただくことで、カラーも含めた品位の高さをご実感いただいています。また、重さは1.6㎏～0.9㎏とどれも軽量なので持ち運びやすく、多くのビジネスパーソンが選ぶ一台といえます。

代理店事業を軸とし、事業の幅を拡大

当社は3つの事業を大きな柱としています。１つ目は、コンビニを含めた大手小売様向けの卸事業です。日用品ブランド様・化粧品ブランド様の商品を中心にお取り扱いさせていただいております。また、天猫などのECプラットフォームにおいても、同じくブランド様とECプラットフォーマーや消費者の間に立ち、一部EC店舗の運営をはじめ物流・在庫管理、費用立替などを行います。BtoB、BtoCを含めてさまざまなブランド様の商品を取り扱っております。中国は世界最先端のEC市場と広告媒体が継続して発展しており、競争が激しいながらもビジネスチャンスが多いと感じております。オフライン/オンラインにおける代理商事業は当社において、売上の半分以上を占めており、まさに当社の大黒柱的事業といえます。
　２つ目は、中国国内の大手コンビニ様向けに食品容器、包材、用度品（店舗資材）の供給を行う事業です。食品容器、包材を例にとると、店頭で売られているサンドイッチやおにぎり、お弁当などの食材に合わせた適切な容器や包材を選定し、デザインなどのサービスを含め当社から提供の上、お客様へ納品しております。昨年末時点では、1万を超える店舗に対して包材や資材の供給を行いました。昨今では大手コンビニ様は業容を更に拡大されており、今後も更なる発展が見込まれます。
　３つ目は日本をはじめアジア向けを中心とした各種フィルム、各種日用品の輸出事業です。特に日用品の輸出事業では中国国内の数多くの工場と連携し、消耗品や日用雑貨の企画や提案も行っています。現在はマスクや手袋、傘、電池、ゴミ袋、アイマスク、ウェットティッシュをはじめとしたさまざまな商品を輸出しており、その数は1,000SKU以上に及びます。
　当社が供給している各種製品の輸出拠点として中国の重要性は非常に高いです。なぜなら、当社の取り扱う包材やプラスチック製品の石油化学原料はコスト競争力が高く、且つ、サプライヤーは大規模で自動化を積極的に進めており、世界での競争力は今後も維持されると見込んでいるからです。
　また、ここ数年で中国国内のコンビニ様でもプライベートブランドのニーズが増えてきています。その理由として、各コンビニ様の店舗数増加、オンラインとオフラインの同質化による差別化ニーズ、利益改善のニーズなどが理由に挙げられます。こうしたニーズの高まりとコンビニ様側の品揃えに対する需要に貢献したい思いから、2024年に「日半」という自社ブランドを立ち上げました。商品開発や製造の経験を活かし、傘、使い捨て不織布製品、食品保存袋などを展開しています。
　先述した従来の3本柱の事業に加え「ブランド様や小売り様の売上向上に貢献する」という視点での提案も積極的に行っております。その方法として日系IPの活用、店舗調査、小紅書などのSNSを利用したインバウンド・越境EC支援などが挙げられます。また中国で拡大するシニア市場・ペット市場でのビジネス拡大も視野に事業の幅を広げています。

理念である「三方よし」実現のために

　設立から27年が経ち、これまでを振り返ると語りつくせないほどの苦難の連続でした。記憶に新しい歴史的出来事といえば新型コロナ流行です。これをきっかけに消費者動向も大きく変わり、国潮の流れなども相まって日本製品に対する風向きが変わってしまったことなどもあり、中国で物を売ることがますます難しくなってきたと感じています。
　ただ、消費者に近い立場にいる私たちは、マーケットインの発想を持って消費者ニーズとお客様、更にはお世話になっている各ブランド様のニーズを満たしていくことができれば、皆様に感謝され、更に発展することができる可能性が十分にあると考えています。確かに中国の市場は変化が激しいことや中国リスクを考えると、より一層のビジネス展開は容易ではないという見解もあります。しかしながら、人口14億人、毎年オランダ１国分のGDPを生み出す力を持つこの市場は極めて重要だと考えております。例えば2～4級都市におられる４～５億人ともいわれる中産階級予備軍の拡大が実現すれば、成長の余地は十分にあります。日々移り変わるニーズをとらえ、その市場へのアクセスを実現することでお世話になっているお取引先様に貢献し、お取引先様と共に成長することができれば大変嬉しく思います。
　伊藤忠の理念である「三方よし」の実現、その結果として社員皆も幸せにすると同時に、この商品流通市場の中で無限の可能性を信じて挑戦し続ける唯一無二の企業となり、関わる流通と消費者と社会に貢献していきたいと思っております。