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北京市安理律師事務所
外資系企業による新『会社法』への対策 中外合作企業の「変身」における考慮点
「他とは異なる」中外合作企業
中外合作企業は3つある外資系企業の類型の中で最も特異性があり、主に組織形態、合作モデル、投資回収の手配といった方面に現れている。中外合作企業は、まず、その組織形態が比較的柔軟であって、法人格を有しない実体であっても構わない。さらに、初期に設立された中外合作企業の中には、外国側当事者がすべての登録資本を調達・出資しており、中国側当事者の提供する合作条件は登録資本に換算されていないため、株主に指定されてはいるものの、中国側当事者の引き受けた出資額と払込済み出資額がいずれもゼロとなっているケースがある。また、合作当事者は、取決めに基づき経営収益を分配し、欠損を分担することができ、甚だしきは外国側当事者が先行して投資を回収し、中国側当事者が清算時に残存資産をすべて取得することが認められている。
他とは異なる中外合作企業の特異性に鑑みれば、新『会社法』に基づくモデルチェンジがより複雑になることが予想され、組織形態、持分構造及びガバナンス構造にかかわる多重調整となる可能性がある。
持分構造の調整
実際のケースには、中国側当事者が株主として登記されているものの、登記情報にはその持分比率がゼロとなっている中外合作企業がある。かかる企業は、持分構造の調整を行う必要がある。
(1)中国側当事者は株主となっているか
一部の中国側当事者については、持分比率がゼロとして登記されているため、その株主の身分を確認する必要がある。株主の身分の認定にあたっては、董事の任命派遣、高級管理職の指名、経営に関する意思決定への参加、合作企業の経営から投資収益を得ているか否かなどの要素を踏まえ、総合的な判断を行う必要がある。
(2)持分比率の確定
中国側当事者の株主の身分を確認した後、数年前に提供された合作条件について評価・価額査定を行い、これに基づいて各合作当事者の株主の身分を確認し、持分比率を調整する必要がある。実践において、上記のステップを遂行するには、いくつかの技術的な障害が存在する。
数年前に提供された合作条件について評価・価額査定を行うことは容易ではなく、評価基準日、評価方法、国有資産監督管理などの技術やコンプライアンスに関する問題を考慮する必要がある。また、評価・価額査定が技術的に可能であり、且つ国有資産に係る評価要求に適合していると仮定した場合であっても、評価額に基づいて合作当事者の持分比率を調整し、持分変更登記を行うには、やはりいくつかの登記手配上の困難を克服する必要がある。
したがって、中国側当事者の「持分」比率がゼロとなっており、且つガバナンス構造の調整を短時間に完了する必要がある中外合作企業にとって、持分構造を含むガバナンス構造の調整は、可及的速やかなスケジューリングを要する事項となっている。
ガバナンス構造の調整
① 新『会社法』における株主会及び董事会の法定職権事項に従って、もとの定款の董事会の職権を再分配すること。
② もとの定款における手配の実質的な効果と一致することを前提として、議決メカニズムを設計しなおすこと。
③監事会設置の必要性。
歴史的な理由のため、中外合作企業には組織形態や持分構造の方面で一定の特異性がある。加えて、法的規範と実施ガイドラインが不足していることから、新『会社法』に基づいて持分構造を含むガバナンス構造の調整を完了するには、一定の技術的障害を克服する必要がある。「変身」成功の道のりは長く、5年の移行期間はあっという間に過ぎ去ってしまう。関連する企業は速やかに調整作業に着手しなければならない。
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