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北京市安理律師事務所
外資系企業による新『会社法』への対策 中外合弁企業のガバナンス構造調整の重要な考慮事項
外資系企業によって与えられた5年間の移行期間は間もなく終了する。新『会社法』の施行に際して、中外合弁企業は新『会社法』に合わせてそのガバナンス構造を調整し、「内外併軌」を実現する必要がある。
合弁企業が期限内に調整を完了しない場合、主管登記機関は、その他の登記事項の変更登記又は届出の取扱いを停止し、かつ公示する。上記の措置は、企業経営に影響を及ぼすのみならず、企業の信用・名誉をも損なうことになる。
(1)董事会の職権分割
合弁企業の董事会の職権は、株主会と董事会に分けて帰属させる分割原則に従う。すなわち、もとの定款の董事会の職権は、新『会社法』第59条及び第67条によって、それぞれ株主会と董事会の職権範囲に振り分けることになる。その他の事項については、合弁企業が実情に応じて自主的に決定することができる。
(2)議決権の配置
議決権の配置は、株主間の駆け引きと抑制均衡の焦点であって、慎重かつ周到に、長期的な視野で設計しなければならない。さもなければ、企業統治は膠着し、会社の経営・発展に影響を及ぼすおそれがある。『会社法』では議決メカニズムが二層で実行されており、株主会は出資比率、董事会は人数に従って議決する。一方、『合弁企業法』では董事会が人数に従い議決する単層制であった。この違いから、議決権の配置は、ガバナンス構造の調整過程で株主間の争点となりやすい。合弁企業は、もとの定款の「実質的」効果と一致する配置を採用することができる。すなわち、絶対多数決の具体的な比率については、3分の2の多数議決を単純に当てはめるのではなく、同様の株主の権利の取決めや相互拘束の効果を実現できるか否かによって確定すべきである。
(3)監事会の設置
監事会は、ガバナンス構造の中で「監督者」の役割を果たす。旧外資法下の合弁企業には監事会がなかった。新『会社法』のもと、合弁企業は監事会設置の必要性を検討せざるを得ない。従業員が300名以上いるが従業員董事を置くことを望まない場合には、監事会を設置して従業員監事を選任することによって、従業員保護の要求を満たすことも可能となる。
良好で安定したガバナンスメカニズムは企業の経営管理にとって極めて重要である。『外商投資法』と新『会社法』が相次いで発布されたことによって、合弁企業はそのガバナンス構造を見直し、改善するためのチャンスを得たとも言える。合弁企業のガバナンス構造の調整は、一見簡単なようで、実は複雑である。差し迫ったスケジュールの中で、合弁企業は、新『会社法』の要求を熟知するだけでなく、自身の実情を踏まえてこそ、「カスタマイズ」された自社に適するガバナンス構造を作り上げ、「社内統治」を実現して、企業の「内巻」時代に負けない強固な基礎を打ち立てることができよう。
差し迫る期限
『外商投資法』によって定められた移行期間は2020年1月1日から始まり、今年12月31日に終わりを迎える。この5年間に中外合弁企業(以下「合弁企業」という。)は、『会社法』に基づき「内外併軌」(訳注:内資企業と外資系企業を同一に扱うこと)を実現し、ガバナンス構造の調整、定款変更などを行う必要がある。2024年7月1日から施行される新『会社法』は、企業のガバナンス構造を再構築し、企業経営により大きな自治空間を提供している。現時点で調整を終えていない合弁企業は、直接に新『会社法』に基づいたガバナンス構造の調整を検討することができる。
合弁企業が期限内に調整を完了しない場合、主管登記機関は、その他の登記事項の変更登記又は届出の取扱いを停止し、かつ公示する。上記の措置は、企業経営に影響を及ぼすのみならず、企業の信用・名誉をも損なうことになる。
ガバナンス構造調整時の重要な検討事項
合弁企業の董事会は、『中外合弁企業法』においては最高権力機構であったが、『会社法』の「三会一層」の構造の中では株主会の執行機関であって、株主会に対して責任を負う。合弁企業の董事会は、ある程度『会社法』における株主会と董事会の機能を重ねて引き受けている。董事は、株主から任命派遣されることから、株主代表と董事という身分の上で競合し、利益相反が生じるおそれがある。また、『中外合弁企業法』における董事会の全会一致事項はすべて、『会社法』のもとでは株主会の絶対多数決事項となっている。両者の違いを踏まえると、ガバナンス構造の調整にあたっては次の点を考慮する必要がある。
(1)董事会の職権分割
合弁企業の董事会の職権は、株主会と董事会に分けて帰属させる分割原則に従う。すなわち、もとの定款の董事会の職権は、新『会社法』第59条及び第67条によって、それぞれ株主会と董事会の職権範囲に振り分けることになる。その他の事項については、合弁企業が実情に応じて自主的に決定することができる。
(2)議決権の配置
議決権の配置は、株主間の駆け引きと抑制均衡の焦点であって、慎重かつ周到に、長期的な視野で設計しなければならない。さもなければ、企業統治は膠着し、会社の経営・発展に影響を及ぼすおそれがある。『会社法』では議決メカニズムが二層で実行されており、株主会は出資比率、董事会は人数に従って議決する。一方、『合弁企業法』では董事会が人数に従い議決する単層制であった。この違いから、議決権の配置は、ガバナンス構造の調整過程で株主間の争点となりやすい。合弁企業は、もとの定款の「実質的」効果と一致する配置を採用することができる。すなわち、絶対多数決の具体的な比率については、3分の2の多数議決を単純に当てはめるのではなく、同様の株主の権利の取決めや相互拘束の効果を実現できるか否かによって確定すべきである。
(3)監事会の設置
監事会は、ガバナンス構造の中で「監督者」の役割を果たす。旧外資法下の合弁企業には監事会がなかった。新『会社法』のもと、合弁企業は監事会設置の必要性を検討せざるを得ない。従業員が300名以上いるが従業員董事を置くことを望まない場合には、監事会を設置して従業員監事を選任することによって、従業員保護の要求を満たすことも可能となる。
良好で安定したガバナンスメカニズムは企業の経営管理にとって極めて重要である。『外商投資法』と新『会社法』が相次いで発布されたことによって、合弁企業はそのガバナンス構造を見直し、改善するためのチャンスを得たとも言える。合弁企業のガバナンス構造の調整は、一見簡単なようで、実は複雑である。差し迫ったスケジュールの中で、合弁企業は、新『会社法』の要求を熟知するだけでなく、自身の実情を踏まえてこそ、「カスタマイズ」された自社に適するガバナンス構造を作り上げ、「社内統治」を実現して、企業の「内巻」時代に負けない強固な基礎を打ち立てることができよう。