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中国における上場会社の リスクとコンプライアンス対応

中国における過去20年間の上場会社の発展史を見ると、資金調達を目的とする上場会社は、資本取得に執心する傾向にあり、企業そのものの成長と発展を疎かにしていることが多かった。現在、中国国内の監督管理機関による資本市場の再編成によって、上場会社の将来的な発展への歩みは厳しさを増している。

今日の資本市場における監督管理の情勢下で、中国国内の上場会社は、主に次の3つの分野で刑事リスクに直面している。

一、内部ガバナンス

すなわち、会社の経営運営の過程で発生する刑事問題であり、資金占用、権力濫用及び腐敗行為の類のリスクが含まれ、資金流用罪、職務横領罪、非国家職員収賄罪、非国家職員に対する贈賄罪、背信による上場会社利益損害罪等の刑事罪名に具現する。この種のリスクのほとんどは、上場会社の内部ガバナンスの不健全性、内部統制の不備、内部管理の不規範、支配株主及び実質的支配者の支配権に対する効果的な監督管理の欠如、一部の高級役職者らの職責失当などが原因となって発生する。

二、株式発行の段階

これには、不正会計の類の詐欺的発行のリスクが含まれる。上場会社の詐欺的発行行為のリスクは、投資家及び債権者の利益損害、市場信用度の低下、監督管理リスクの増大、内部管理及びガバナンスの問題、競争力への影響など、多岐にわたる結果を招く。そして、上場会社や関係者による詐欺的発行の行為手段を例示すれば、経営業績、財務状況、技術水準、市場見通しなどの情報を故意に誇張又は虚構する、顧客や事業をでっちあげる、契約を偽造するなどによって行う収入及び利益の水増しがある。

三、株式証券取引の段階

これには、不正な情報開示、インサイダー取引、市場操作の類のリスクが含まれる。不正な情報開示の類のリスクは、「重要情報開示・不開示罪」の刑事罪名に具現する。『刑法』の規定に基づくと、これらの罪によく見られるリスク行為には次の2つがある。
①財務会計報告において重要事実を虚構し、又は隠蔽する行為。つまり、上場会社が財務会計報告において、存在しない取引若しくは事項を虚構し、又はありのままに反映すべき重要事実を隠蔽する行為である。例えば、収入又は利益をでっちあげる、負債又は損失を隠蔽するなどであり、この類型は「不正な開示」にあたる。
②法により開示すべきその他の重要情報を規定どおりに開示しない行為。これには、株価又は投資家の意思決定に重大な影響を及ぼす可能性のある情報(例えば、重大な訴訟・仲裁事項、重大な関連取引、重大な担保、重大な契約など)を、法律、行政法規及び証券取引所の規定どおりに、適時且つ公平に開示しない行為が含まれる。この種の類型は「不正な不開示」にあたる。このほか、証券市場の操作やインサイダー取引は、株式価値の異常な変動をもたらす違法な手段であり、実践上で多発している。こうした二次市場における不正取引は、中国の資本市場の安定性に影響を及ぼす宿痾となっている。
上場会社は公開会社であり、その経営行為は広く注目され、会社の時価と株式価値にも直接関係している。刑事コンプライアンスは、上場会社のガバナンスの重要な構成部分であり、会社の信用と評判、株価及び持続的発展に直接影響するため、これを強化することが極めて重要である。質の高いコンプライアンス管理を実現するために、上場会社は、常に、コンプライアンスのプロセスを最適化し、チームの専門性を高め、先進的な技術的手段を活用して内部監視とデータ分析を強化する必要がある。これと同時に、コンプライアンス体系の内部オペレーションメカニズムを強化することは、より緊密で効率的な組織構造を構築し、各レベルにおけるコンプライアンスポリシーの効果的実行を確保することを意味する。また、上場会社は、リスクの識別、評価、監視及び報告の完備されたメカニズムを確立することにより、潜在的な刑事リスクをより適切に予防し、これに対応して、会社の長期的且つ安定的な発展を保障することができるようになる。

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