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北京市安理律師事務所
外資による中国国内の不良資産投資への参加機会とスキームに関する検討
経済の下降・不良資産の増加といったマクロ経済の傾向、海外進出・外資誘致に関する新たな戦略構造のもと、外資が如何に内資と相互補完して中国国内における不良資産の処理と最適化に参加するのかについて、大いに注目されている。中国では「5 +地方系+銀行系+外資系+ N」の市場競争構造がすでに形成されている。「5」とは全国型の5大資産管理会社(AMC)をいう。また、地方型AMCも59社に増えて重要な役割を発揮しており、市場生態はかなり整った形となっている。
現在、中国では、外資機構による資産の活性化・処分への協力を歓迎奨励している。外資が中国国内の不良資産市場に参加するスキームには、主に次の5つがある。
1. AMCからの不良資産パッケージの直接購入
海外投資家が全国型AMC傘下の不良資産パッケージを直接購入するスキームは、最も伝統的で主要な投資モデルである。全国型AMCが特定の基準(地域、業種など)に従って一定数量の金融不良債権を組み合わせ、特性を有する不良資産パッケージを形成する。そして、海外投資家が競争的手続(公開入札、競売など)を通じてAMCから大量購入する。これが最も早く実践に用いられたスキームであるが、譲渡手続、監督管理体系、法律規範など、いずれの方面もかなり整備されており、海外投資家にとって成熟した買収モデルとなっている。
2.全国型AMCへの投資
中国国外の金融機関及び非金融機関は、一定の条件を満たせば、金融資産管理会社の出資者となることができる。『非銀行金融機関行政許可事項実施弁法』(2023年)は、海外機構による金融資産運用会社への資本参加要件を緩和し、海外の非金融機関が金融AMCの出資者となり、一定の条件を満たせば支配株主になることすら認めている。また、海外の金融機関が金融AMCの出資者となる場合の総資産要件を廃止した。
3.地方型AMCの設立
『中国銀監会による、地方資産管理会社が金融企業不良資産大量買収処分事業を実施する際の資質認可条件などの関係問題に関する通知』(銀監発[2013]45号)は、各省、自治区及び直轄市人民政府が原則として地方資産管理会社を1社のみ設立または授権し、その省(自治区・直轄市)の金融企業不良資産の大量買収及び処分業務に参加させることができる旨を定めているが、実際には、多くの省で1社以上の地方資産管理会社が設立されている。地方型AMCの設立については、原則として省級政府が設立を承認すると同時に財政部と銀保監会に報告する。
4.中国国内の非認可AMCへの資本参加
外資機関は、中国国内の非認可不良資産管理会社に資本参加することにより市場参入することができる。非認可資産管理会社への資本参加にあたって、政策的障害は小さいが、税負担の圧力はなお存在する。また、海外投資家が中国国内の非認可不良資産管理会社に投資するには『外商投資法』に従う必要がある。
5.不良資産に投資するQFLP企業の設立
適格海外投資事業有限責任組合(Qualified Foreign Limited Partnership、略称QFLP)とは、海外機関投資家が資格の審査認可とその外貨資金の監督管理手続を経て、海外資金を人民元資金に交換し、中国国内のP E投資市場に投資することをいう。QFLP試行制度は、海外投資家が中国国内のエクイティ投資に参加するための重要な手段である。2024年12月の時点で、北京、上海をはじめ50以上の地域がQFLP試行に関連する政策文書を発表している。これらの政策と措置は、中国が外商投資と私募ファンドの分野で改革と発展を積極的に推し進め、より多くの海外投資家を誘致するための機会と選択肢を提供していることを示している。実際に、すでに多くの外資がQFLPによって中国国内の不良資産市場に参加している。以上をまとめると、今なお最も成熟したスキームは海外投資家がAMCから不良資産パッケージを直接購入する方法であり、他の4つのスキームは往々にして案件毎に個別に協議し、関連機関の審査認可を経る必要がある。
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