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北京市安理律師事務所
夫妻の一方が婚姻前に 保有する持分の結婚後の権利帰属(連載その三)
本文では、「夫妻の一方が婚姻前に保有する持分は夫婦共同財産に属するか否か」の
分析を通じて「自然付加価値と能動的付加価値」の認定基準を解説することにより、
企業家の資産管理計画と会社のガバナンスに参考となる道筋を提示する。
『最高人民法院による「中華人民共和国民法典」の婚姻家庭編の適用に関する解釈(一)』第26条の規定に基づくと、婚姻前の持分の婚姻後における付加価値部分の収益が夫妻共同財産になるか否かは、持分の付加価値が「自然付加価値」であるか「能動的付加価値」であるかを主眼に認定が行われる。
(一)自然付加価値
夫婦の一方が婚姻前に取得した持分に市場相場の変化(会社価値の増大、市場の値上がりなどを含む)、インフレなどの市場経済のマクロな変化に起因する付加価値が発生した場合、かかる付加価値は、持分を保有する一方が経営管理、労働、知力等の人為的要素を投入したか否かとは無関係である。よって当該持分の婚姻後における付加価値は、依然として持分を保有する一方の個人財産に属し、配偶者とは無関係である。
(二)能動的付加価値
夫婦の一方が婚姻前に取得した持分について、持分を保有する一方が当該会社の経営にあたり継続的に労働・知力を費やし、その投入した大量の時間、精力、金銭、労働などの要素によって会社の運営を好調にし、そのために当該一方の保有する持分の価値が上昇して付加価値が発生した場合、当該部分の持分の付加価値は、投資性の生産経営収益に組み入れるべきであり、よって夫婦共同所有に帰する。
以上のとおり、夫婦の一方が婚姻前に保有していた持分については、婚姻後、能動的付加価値となった財産価値のみが法により夫婦共同財産となる。これによって、持分を保有する一方の株主権益が保障される同時に、婚姻中の相手方の個体価値に対する尊重も具現化されるのである。
分析を通じて「自然付加価値と能動的付加価値」の認定基準を解説することにより、
企業家の資産管理計画と会社のガバナンスに参考となる道筋を提示する。
『民法典』の規定に基づき、婚姻後に夫婦が所得する財産は、特段の取決めがある場合を除き、すべてが夫妻共同財産となる。持分の保有は、現下の中国において富裕層が資産を所有するための主要な方法となっている。持分は、財産権、管理権及び身分権を一体化した総合的な権利であって、法が定める夫妻共同財産の類型に属している。そのため、企業家は、企業の経営過程で会社のガバナンスや持分構造を合理的に行うために、その婚姻前に保有していた持分が婚姻後に夫婦共同財産に転化する事象について理解しておかなければならない。
一、夫妻の一方が保有する持分は夫妻共有ではないことの司法による確認
二、夫婦の一方が婚姻前に保有していた持分の婚姻後における能動的付加価値にあたる収益は夫妻共同財産となる
『最高人民法院による「中華人民共和国民法典」の婚姻家庭編の適用に関する解釈(一)』第26条の規定に基づくと、婚姻前の持分の婚姻後における付加価値部分の収益が夫妻共同財産になるか否かは、持分の付加価値が「自然付加価値」であるか「能動的付加価値」であるかを主眼に認定が行われる。
(一)自然付加価値
夫婦の一方が婚姻前に取得した持分に市場相場の変化(会社価値の増大、市場の値上がりなどを含む)、インフレなどの市場経済のマクロな変化に起因する付加価値が発生した場合、かかる付加価値は、持分を保有する一方が経営管理、労働、知力等の人為的要素を投入したか否かとは無関係である。よって当該持分の婚姻後における付加価値は、依然として持分を保有する一方の個人財産に属し、配偶者とは無関係である。
(二)能動的付加価値
夫婦の一方が婚姻前に取得した持分について、持分を保有する一方が当該会社の経営にあたり継続的に労働・知力を費やし、その投入した大量の時間、精力、金銭、労働などの要素によって会社の運営を好調にし、そのために当該一方の保有する持分の価値が上昇して付加価値が発生した場合、当該部分の持分の付加価値は、投資性の生産経営収益に組み入れるべきであり、よって夫婦共同所有に帰する。
以上のとおり、夫婦の一方が婚姻前に保有していた持分については、婚姻後、能動的付加価値となった財産価値のみが法により夫婦共同財産となる。これによって、持分を保有する一方の株主権益が保障される同時に、婚姻中の相手方の個体価値に対する尊重も具現化されるのである。