中国の法律

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北京市安理律師事務所
家企混同を背景とした家族財産の保護(連載その一)
中国の民営企業主の家庭と企業の資産に混同が生じる根本的な原因を分析し、法律の解釈と応用を通じて混同に対するリスクの識別、予防及び管理を行うことによって、企業主の家族財産の保護と継承の一助となることを期する。
約定財産制とは、夫婦が婚姻前と婚姻後に得る財産について双方間で取決めを行い、法定財産制の適用を除外または一部除外することをいう。よって、約定財産制は法定財産制に優先して適用される。
「夫婦共同財産制」では、婚姻後に双方または一方が得た財産は夫婦共同財産となり、これには労働所得と非労働所得が含まれる。このうち企業経営にかかわる主な財産の類型は「投資収益所得」であり、婚姻関係存続期間における夫婦の生産、経営または投資による収益をいう。この認定によって夫婦の一方の婚姻前の投資類資産が夫婦共同財産となってしまう。
これはいずれも自発的付加価値である。つまり、夫婦の一方または双方が当該財産に対して婚姻後に行った労務、投資、管理などが価値付加の原因である。例えば、夫婦の一方が婚姻前に株式を保有しており、婚姻後に会社が上場して資本準備金により無償増資した株式を得たとする。この株式は、保有者が行った労働、管理などの経営行為と切り離すことができないから、夫婦共同財産として認定される。
これから分かるように、婚姻後における夫婦の一方の経営所得と持分投資収益は共有財産となるが、婚姻関係解消時には持分や株式が分割されかねないことから企業の制御不能やデッドロックを招くリスクを孕んでいる。
しかるに、企業の対外負債では、企業は往々にして、家庭資産からの資本注入、家庭財産による借入担保の差し入れを求め、企業の対外負債を家庭財産で引き受けるといったリスクが起こりやすい。
民営企業は中国経済において不可欠な重要構成部分であり、企業主も社会責任と崇高な所懐を持ちあわせている。しかし、企業萌芽期の形である夫婦会社について、一人会社として認定されることによって、家庭財産で企業債務を引き受けるケースが後を絶たない。よって、いかにリスクを識別し、且つ法律を適用して家族財産を保護し、企業の持続的な発展に助力するかが、家族企業の弁護士としての責任と所懐である。
企業の創業期における中心メンバーは血縁や親縁関係のある者が多い。企業が創業期、発展期、安定期、継承期を辿るに伴い、企業家はますますその家族財産の保護と継承に関心を傾けている。資産を保護し文化継承を形成し、また企業の持続的な発展を期するにあたって、家業と事業を二重に運営していく一族のリーダーにはさらなる努力が求められるが、家と企業を分離することは資産保護の第一歩となる。
一、「夫婦共同財産制」は家企混同の本質的原因である
約定財産制とは、夫婦が婚姻前と婚姻後に得る財産について双方間で取決めを行い、法定財産制の適用を除外または一部除外することをいう。よって、約定財産制は法定財産制に優先して適用される。
「夫婦共同財産制」では、婚姻後に双方または一方が得た財産は夫婦共同財産となり、これには労働所得と非労働所得が含まれる。このうち企業経営にかかわる主な財産の類型は「投資収益所得」であり、婚姻関係存続期間における夫婦の生産、経営または投資による収益をいう。この認定によって夫婦の一方の婚姻前の投資類資産が夫婦共同財産となってしまう。
二、婚姻後の経営所得資産が夫婦共同財産に属することで生じる家企資産混同
これはいずれも自発的付加価値である。つまり、夫婦の一方または双方が当該財産に対して婚姻後に行った労務、投資、管理などが価値付加の原因である。例えば、夫婦の一方が婚姻前に株式を保有しており、婚姻後に会社が上場して資本準備金により無償増資した株式を得たとする。この株式は、保有者が行った労働、管理などの経営行為と切り離すことができないから、夫婦共同財産として認定される。
これから分かるように、婚姻後における夫婦の一方の経営所得と持分投資収益は共有財産となるが、婚姻関係解消時には持分や株式が分割されかねないことから企業の制御不能やデッドロックを招くリスクを孕んでいる。
三、「夫婦共同債務」の認定ルールは家庭財産による対外的な債務負担をもたらす
しかるに、企業の対外負債では、企業は往々にして、家庭資産からの資本注入、家庭財産による借入担保の差し入れを求め、企業の対外負債を家庭財産で引き受けるといったリスクが起こりやすい。
民営企業は中国経済において不可欠な重要構成部分であり、企業主も社会責任と崇高な所懐を持ちあわせている。しかし、企業萌芽期の形である夫婦会社について、一人会社として認定されることによって、家庭財産で企業債務を引き受けるケースが後を絶たない。よって、いかにリスクを識別し、且つ法律を適用して家族財産を保護し、企業の持続的な発展に助力するかが、家族企業の弁護士としての責任と所懐である。