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中国における特許侵害に対する行政保護

特許権侵害について、中国では行政救済ルートを通じて保護を受けることができる。


特許権侵害に対する救済について、ほとんどの国が司法手続のルートのみを設けているのとは異なり、中国では行政と司法の「二本立て制」の保護体系が採用されている。二本立て制とは、特許保護体系において、司法手続とは別に、特許業務を管理する行政部門(各級知的財産権局)に対して法律が特許権侵害紛争を裁決する権限を与えることをいう。
一般的な特許権侵害紛争の行政裁決には、中国『特許法』第65条の規定「特許権者又は利害関係者は、人民法院に訴えを提起することができ、また特許業務管理部門に処理を請求することもできる。特許業務管理部門は、処理にあたって、権利侵害行為が成立すると認定した場合、権利侵害者に対し直ちに権利侵害行為を停止するよう命じることができる。当事者は、これを不服とするときは、処理通知を受領した日から15日内に『中華人民共和国行政訴訟法』に基づき人民法院に訴えを提起することができる。」が適用される。
重大な特許権侵害紛争の行政裁決には、中国『特許法』第70条の規定「国務院特許行政部門は、特許権者または利害関係者の請求に応じて、全国において重大な影響を及ぼす特許権侵害紛争を処理することができる。」も同時に適用される。「重大な特許権侵害紛争」とは何かについて、『重大特許権侵害紛争行政裁決弁法』第3条は、「次に掲げる事由のいずれかがある場合、重大な特許権侵害紛争に該当する。
(1)重大な公共利益にかかわるとき。
(2)業種の発展に著しい影響を及ぼすとき。
(3)省級行政区域を跨ぐ重大事件
(4)重大な影響をもたらす可能性のあるその他の特許権侵害紛争」と定めている。
2022年8月初め、国家知的財産権局は、第1陣として2件の重大な特許権侵害紛争の行政裁決事件を公表した。この2件の申立人はドイツ系企業のベーリンガーインゲルハイム製薬合資会社であり、被申立人はそれぞれ広東東陽光薬業有限公司と宜昌東陽光長江薬業股份有限公司(2社は関連会社であった)。
裁判所が権利侵害の停止と権利侵害の賠償の両方を判決することができるのとは異なり、行政裁決では、権利侵害の停止を命じた後、権利侵害の賠償については「特許権侵害の賠償金額について調停を行うことができる。調停が成立しない場合、当事者は『中華人民共和国民事訴訟法』により人民法院に訴えを提起することができる。」(『特許法』第65条)だけである。
医薬品特許紛争早期解決に係る行政裁決(パテントリンケージ制度)には、中国『特許法』第76条「薬品発売許可申請者と関係特許権者または利害関係者は、登録出願された薬品に関連する特許権紛争について、国務院特許行政部門に対し行政裁決を申し立てることもできる。」が適用されている。
説明を要するのは、薬品審査認可における特許紛争の早期解決にあたっては、特許侵害行為が成立するか否かを認定するのではなく、特許権保護の範囲に入るか否かについて裁決を行う点である。また、かかる行政裁決は、国家知的財産権局が専属的に管轄する。
行政裁決には、司法救済よりも手続が簡便で、効率が高く、コストが低いという利点がある。手続面では、立件、保全、審理などの段階で司法救済よりも簡便になっている。効率面では、行政裁決は3ないし4カ月で結審し、裁決が下された後直ちに発効するので、司法で1審6カ月、2審3カ月をかけて確定判決を得るよりも、権利保護に要する時間を大幅に節約できる。コスト面では、行政裁決では当事者が費用を納付する必要はないので、司法手続の場合に必要となる訴訟費用を節約することができる。したがって、中国では、行政裁決は、当事者が選択を試みるに値する特許権保護の手段となっている。

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