TOP >
ビジネス記事 >
北京市安理律師事務所

中国の法律

北京市安理律師事務所

商事訴訟事件の当事者はいかに十分且つ効果的に挙証すべきか

訴訟は思考と心証の過程である。挙証の目的とは、自己に有利な心証を裁判官に与え、自己に有利な判決を引き出すことである。よって、訴訟において十分且つ効果的な挙証を行うことが特に重要となる。。

一、挙証の根拠とは何か——請求権/抗弁権の基礎

請求権/抗弁権の基礎とは、主に権利主張を行う根拠となる法律規定や契約約定をいい、ときには法律の原則または慣習をいうこともある。挙証にあたっては、請求権/抗弁権の基礎を分析して各構成要件を形成した後で、対応する要件事実を確定し、要件事実について挙証を行う。

二、いかに法定の証拠制度を利用して十分且つ効果的な挙証を実現するか

第一　法により挙証延期を申請する
中国『民事訴訟法』第68条により、当事者は、裁判所が指定する挙証期間内の証拠提出が困難である場合、人民法院に延期を申請することができる。人民法院は、当事者の申請に応じて適切に延長しなければならない。
第二　法により挙証期限を新たに指定するよう申請する
『最高人民法院による民事訴訟における証拠に関する若干の規定』（以下「最高人民法院若干規定」という。）第51条と第55条により、次に掲げる事由があれば、関係する当事者は人民法院に挙証期限を新たに指定するよう申請することができる。
（１）挙証期限到来後に、当事者が反対証拠を提出し、または証拠を補正するとき。
（２）当事者が追加される、独立請求権を有する第三者が訴訟に参加する、または独立請求権のない第三者が人民法院の通知により訴訟に参加するとき。
（３）当事者が訴訟請求を変更し、または反訴を提起するとき。
第三　法により証拠を調査取得するよう申請する
『最高人民法院による「中華人民共和国民事訴訟法」の適用に関する解釈』（以下「最高人民法院解釈」という。）第94条及び『最高人民法院若干規定』第20条により、当事者及びその訴訟代理人が客観的理由により自ら収集できない証拠は、これを調査・収集するよう挙証期限到来までに人民法院に対し書面により申請することができる。
第四　法により証拠保全を申し立てる
『民事訴訟法』第84条により、証拠が滅失しまたは今後取得が困難になるおそれがある場合、当事者は訴訟中に人民法院に証拠保全を申し立てることができ、人民法院も自ら保全措置を講じることができる。緊急性があるときには、利害関係人は、訴訟提起または仲裁申立ての前に、証拠所在地若しくは被申立人住所または事件について管轄権のある人民法院に証拠保全を申し立てることができる。
第五　法により書証提出命令を申請する
『最高人民法院解釈』第112条により、書証が相手方当事者の支配下にある場合、証明責任を負う当事者は、相手方に提出を命じるよう挙証期限到来までに人民法院に対し書面により申請することができる。
第六　法により司法鑑定を申請する
会社印鑑または署名の真偽、財務資料の監査、建設工事代金などの訴訟における専門的な問題について、専門機関の専門意見により証明を要する場合、司法鑑定を申請することになる。

三、挙証責任免除事実をいかに取り扱うか

第一、法定の挙証責任免除事実
『最高人民法院若干規定』第10条により、次に掲げる事実について、当事者は挙証による証明を要しない。
（１）自然法則及び定理、定律（２）周知の事実（３）法律の規定に基づき推定される事実（４）既知の事実及び日常生活の経験則に基づき推定される別の事実（５）仲裁機構の発効判断によりすでに確認された事実（６）人民法院の法的効力が発生した裁判によりすでに確認された事実（７）有効な公証文書によりすでに証明された事実
なお、（２）から（５）までの事実については、当事者がこれに反論するに足る反対証拠を有する場合を除く。（６）及び（７）の事実については、当事者がこれを覆すに足る反対証拠を有する場合を除く。
第二、自認の事実——一定条件下の挙証責任免除事実になることができる
『最高人民法院若干規定』第3条により、訴訟過程において、当事者の一方が陳述した自己に不利な事実または自己に不利であることを明確に表明した事実について、他の一方は挙証による証明を要しない。
ただし、自認の事実がすでに明らかにされた事実に合致しない場合には、人民法院はこれを確認しない。