キーマンインタビュー

芙子帝風商貿(上海)有限公司/富士工業販売株式会社
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芙子帝風商貿(上海)有限公司/富士工業販売株式会社

  • エリア:静安寺

董事総経理/常務取締役海外事業推進室 室長 時松 良 氏

日本の技術、日本的思考で
より快適な生活のための
製品・サービスを提供

キッチンの縁の下の力持ちである排気設備「レンジフード」で、日本国内で圧倒的な首位にあるのが富士工業。その100%子会社である「芙子帝風商貿(上海)有限公司」は、世界で最も消費者のレンジフードに対する要求が高いと言われる中国へ2011年に進出。その位置づけや販売手法、商流、すべてが日本と異なるこの地で2代目董事総経理として指揮をとる時松氏に話を伺った



レンジフードのFUJIOH

1941年創業の富士工業株式会社は「ものづくり」にこだわり、1973年にはレンジフードの開発及び製造に着手し、半世紀にわたりキッチン、レンジフードの歴史とともに歩んできました。専業として消費者ニーズに向き合い、現在約3軒に2軒のご家庭でご利用頂けるほど、日本においては圧倒的に高いシェアを誇るまでに成長しました。
 海外は1993年にシンガポールへ進出後、マレーシアや香港に販路を広げ、2011年に上海へ進出し、独自ブランドFUJIOH(富士帝)でご家庭用厨房機器及び関連製品の販売を行っています。海外事業全体をグループ連結売上の10%とし、2024年までに30億円、その先には50億円を目指しています。日本国内の住宅設備産業は今後縮小が予想されており、海外市場の開拓やコンビニの店内調理などの業務用にも進出を始めています。ここ中国の家庭用厨房機器は日本の10倍以上の市場があり、独自性を持ったレンジフードなどの販売拡大の余地はまだまだあると考えています。
 現在の販路は代理店開拓、天猫や京東などのECサイトをはじめとしたネット販売など幅広く展開しています。これまでにレンジフードやガスコンロはもちろんのこと、食洗器やオーブンなどニーズの多様化に伴い関連製品を充実させてきました。さらには大和ハウス工業様などのデべロッパー販路を通じ、華東地区の多くの新築マンションなどに多数ご採用頂いております。

レンジフードは最も重視する「家電」の一つ

日本ではレンジフードを量産している企業は弊社を含め数社のみですが、中国国内には400社以上あるといわれており、熾烈な市場です。同時に中国ではレンジフードはテレビや冷蔵庫と同じような「家電」的な扱いでもあり、これほどレンジフードが単独でクローズアップされている国は他にありません。一般の方がレンジフードのメーカー名をいくつも挙げられるほどで、日本ではあまり考えられないかもしれません。恐らくブランドや機能性を重視する点においては他国には無いレベルと思います。家庭の調理で日々大量の油を使い、多くの煙が出る調理方法が一般的な中国ならではと考えます。
 弊社は中国の住宅ブームを若干後追いする形で11年前に進出、最初の4年は最低限の商品開発を行いながら、じっくりと市場を見る形でスタートしました。業界が一気に拡大したことに加え、中国のキッチンとはこうあるべきというスタンダードの形成、販売の主戦場も劇的な変化をした時期とほぼ重なり、かなり翻弄された部分があります。2018年頃より安定成長を見込めるようになったというところです。
 日本のレンジフードはさまざまな工夫が凝らされていて、比較的少ない風量でも効率的に油煙を回収できます。そのため進出当初は風量がそれほどでなくても効率良く排気し且つ音の静かさを売りとした製品をアピールしておりました。しかしながら現場は大風量の数字優先で騒音はあまり気にしないお国柄で大変苦戦しました。やむなく弊社も5年ほど前から「大風量」製品を投入、そこに清掃性や静音などの独自技術を掛け合わせ成長の柱として参りました。特に、回転する特殊フィルターを使い油を回収、レンジフード内部の汚れを劇的に低減する「オイルスマッシャー」搭載モデルが牽引の柱となりました。
 感覚的にですが、市場で求められる製品特性や販売形態のスタンダードが3年ごとに変化していくため、臨機応変な対応が今後も求められます。販路を例に挙げると、進出当初は古くからある街の販売店が営業のメインでしたが、次に大型の「建材城」、さらには蘇寧など家電量販、ネット販売と新たな商流が市場を塗り替えていく形であったため、今そしてこれからどこに軸足を置いていくのかに対して、神経を尖らせています。

知名度、物流、アフターサービス

中国でもっとも大事なことの一つに知名度があります。そればかりか中途半端ではまがい物日本ブランドと勘違いされてしまう恐れもあります。しっかりと継続して投資が必要です。さらに上述の通り市場の仕組み自体がどんどん変わっていくため、どこでどのような宣伝活動を行うのか、見極めることが大きな課題です。
 また、どこの業界もそうですが、物流と施工、アフターサービスが中国での発展のキーとなります。物流の問題も苦労の連続ですが、幸いにも中国全体で個配のレベルが急速に向上(道路の整備も含めて)した時代に助けられたほか、日系倉庫会社様の甚大なご協力のおかげもあり難局を乗り越え、現在に至っています。

 海外事業の中でも中国に課せられた売り上げ目標は非常に高いのですが、やみくもな規模拡大は弊社としては違うとしており、軸足をしっかりと定めつつ、当グループのブランドビジョンでもある「空気を変え、環境を変え、明日を豊かに変えていく」という夢の達成のため邁進しております。加えて、弊社が持つ清掃性などの技術を今後も応用しながら、生活を「より豊かに、快適に」していくための製品を開発し、サービス向上を追求していきたいと考えます。

すべては従業員。チームワークで課題解決

私どもの経営の理念はそもそも「“全員参加の”豊かさ体現経営」になります。まず第一に働く仲間全員が豊かさを実現できることが根底にあります。今世界的にはワークライフバランスなどがクローズアップされておりますが、弊社では従業員が毎日の仕事に意義を感じ、充実した気持ちでのびのびと働けることが何より大事だと考えております。中国においてはまだまだ小さい所帯ですが、赴任当初4名だった仲間が17名となりました。これからも根本的な理念、ブランドの意義を忘れることなく、その結果としての事業拡大に繋がっていくことが大切だと考えています。


今年は日中国交正常化50周年。この市場でチャレンジさせて頂けているのは、在上海日本国総領事館の永きに亘るご尽力や、多くの諸先輩企業の方々が困難に立ち向かい築いて来られた礎があればこそと日々実感しています


従業員たちとの集合写真。会社は人。彼らと共にこれからもこの地で頑張ります



PROFILE

プロフィール 
Ryo Tokimatsu

1966年大分県生まれ。埼玉県立川越高校から早稲田大学政治経済学部卒業後、1989年三和銀行入行。その後外食経営を学ぶため渡伊。サントリーのロンドン、ミラノを経て現地にて独立。欧州滞在12年。2006年に日伊合弁のアリアフィーナプロジェクト参画のため富士工業株式会社入社。2014年秋より上海駐在、現在に至る。



時松さんをさらに知る

テニスサークルで汗を流す

学生時代に熱中したテニスを再開。若い方に鍛えて頂きリフレッシュ。月一回の上海総経理会では業種の垣根を越え率直なアドバイスを頂き公私共に心の支えになっています


ラサの旅行


テニスを通じてお知り合いになった友人四人と21年末に鉄道にてラサに入りました。一生忘れられない2022年の元旦でした


一番の楽しみは娘との時間


突然かかってくる高校生の娘からのテレビ電話をとても楽しみにしています。毎回、娘に羽交い絞めにされ登場する柴犬ハナと三人(?)で過ごす時間は何事にも代えられません


芙子帝風商貿(上海)有限公司/富士工業販売株式会社

芙子帝風商貿(上海)有限公司/富士工業販売株式会社

住所 静安区武定路555号716、718、722室 MAP
電話 021-3251-7265
営業時間 www.fujioh.cn

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