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名誉権侵害に関連する 問題の考察と分析(二)

本稿では主に、ネットワークによる権利侵害の責任主体と認定方法、法人の名誉権に係る法的保護の競合、そして名誉権侵害にいかに対応するか、これら3つの観点から簡単に検討・分析を行いたい。

法人の名誉権侵害:名誉権侵害と不正競争との競合

『民法典』第1024条には、民事主体が名誉権を享有すると定められている。したがって、法人は民事主体として当然に名誉権を享有し、その名誉権は法により保護を受ける。これと同時に、『反不正競争法』第11条には、商業上の誹謗中傷行為、すなわち事業者が虚偽の情報又は誤導的情報を捏造・流布して競争相手の商業上の信用、商品の評判を損なう行為をしてはならない旨が定められている。
 このことから、法人についていえば、その名誉が損なわれた場合には、名誉権の侵害を理由として侵害者の責任を追及することもできるが、不正競争の範疇に当てはまるか否かを確認した上で、『反不正競争法』第11条の規定に基づき不正競争(商業上の誹謗中傷)を理由として侵害者の責任を追及することを選択することもできることが分かる。
 具体的に言うと、法人が名誉権侵害行為を受けた場合、『民法典』に基づく名誉権保護を選択するか、それとも『不正競争法』における商業上の誹謗中傷の構成を主張するかを決定する際には、次の3つの方向から検討することができる。
一、権利侵害主体の性質を確かめる。
 権利者は、侵害者の責任を追及する理由を確定するにあたり、まずは侵害者と権利者に競合関係が存在するかを確認しなければならない。侵害者が商業主体であり、かつ権利者との間に競合関係があるならば、権利者は、不正競争と名誉権侵害のいずれを選択することもできる。侵害者が商業主体ではあるけれども、権利者との間に競合関係がないならば、名誉権を選択することしかできない。侵害者が個人である場合は、名誉権しか選択できないことが多いが、例外として、例えば誹謗中傷の発言を行った主体は個人ではあるけれども、その行為が競合関係にある商業主体によって操られたり唆されたりしたものであることを証明することができたならば、不正競争を構成すると認定されることがある。
二、司法実践における名誉権侵害と不正競争の勝訴率、賠償率及び判決金額を比較する。
 司法実践では、裁判所の多くが、企業が競争相手に不利な発言をする際はより慎重に、より高い注意義務を負うべきであると考えており、発言が競争相手によってなされた場合には、被告に権利侵害の主観的な悪意があると認定される傾向にある。一方、名誉権侵害事件では、裁判所は言論の自由と権利侵害の境界についてバランスをとる必要があり、権利者の挙証責任が相対的に重くなってしまう。そのため、不正競争事件の勝訴率は名誉権侵害事件を大きく上回っている。これと同時に、司法実践からみると、不正競争事件の賠償率と判決金額も名誉権侵害事件よりも明らかに高くなっている。
三、行政処罰力の程度を確かめる。
 『治安管理処罰法』の関連規定により、名誉権侵害事件では、5日以下の拘留に処し(情状が比較的重大な場合は、5日以上10以下の拘留)、又は500元以下の罰金が科される。『反不正競争法』によれば、競争相手の商業上の信用又は商品の評判に損害を与えた場合、10万元以上50万元以下の罰金が科され、情状が重大な場合には50万元以上300万元以下の罰金が科される。これから分かるように、名誉権侵害に対する行政処罰については、人身の自由を制限する拘禁措置が含まれている一方で、経済処罰の程度は不正競争事件を大きく下回っている。
 以上をまとめると、法人が名誉毀損を受けた場合、侵害者が商事主体であり、かつ権利者と競合関係のある場合には、不正競争事件とすることを選択して保護を求めたほうが、権利者にとって相対的により有利になるといえる。

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