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著作権法(16)——著作権の国際的保護
前回は、ネットワークにおける著作権の保護について説明した。今回は、著作権の国際的保護について説明する。
1、著作権の国際的保護組織や主な条約
著作権の国際的な保護について、様々な条約や協定があり、それぞれ国際組織が管理している。その組織は、国連の専門機関である世界知的所有権機関(WIPO)、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)、世界貿易機関(WTO)における知的財産権全般に関する理事会があり、それ以外にベルヌ条約などがある。また、条約や協定については、ユネスコの管理下で1952年に締結された万国著作権条約、WIPO・ユネスコ・国際労働機関(ILO)の共同管理で1961年に締結した「ローマ条約」、WIPO 管理下で1971年締結の「レコード保護条約」、WTO管理下で1994年締結の「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」、WIPO管理下で1996年採択の「著作権条約」、「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約」がある。以上をまとめたものを図1に示す。
図1 知的所有権に関する国際組織
2、国際的規模の著作権保護条約
(1)「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」(略称:ベルヌ条約)(2)「万国著作権条約」
(3)「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(略称:TRIPS協定)
(4)「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約」(略称:ローマ条約)
(5)「レコード製作者の保護に関する条約」
(6)「映像作品の国際登録条約」
(7)「世界知的所有権機関著作権条約」
(8)「世界知的所有権機関隣接権条約」
(9)「集積回路の知的所有権条約」
中国は現在、「ベルヌ条約」、「万国著作権条約」、「レコード製作者の保護に関する条約」、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」、「集積回路の知的所有権条約」などに加盟している。
3、著作権の国際的条約における相互関係
以上の条約はいずれも文学、芸術、科学に関する作品の著作権を保護するものであり、これらのうち世界的に影響力が大きいものは「ベルヌ条約」、「ローマ条約」、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)である。「ベルヌ条約」は特に歴史があり、最も影響力があるもので、「ローマ条約」は「ベルヌ条約」になかった隣接権について定めており、TRIPS協定はこれらの二つを吸収した上で修正を加えている。こうした面から、TRIPS協定は知的所有権の国際保護のレベルを引き上げたものと言え、これらの関係を以下の通りにまとめる(図2を参照)。(1)TRIPS協定は従来の条約を引き継いでおり、世界知的所有権機関における四つの条約で定められている義務と一致させる必要がある。
(2)TRIPS協定は従来の条約を修正および補足しており、「軸となる部分」を引き継いだ上で、知的所有権の国際保護制度の構成やルールを整備し、部分的に修正も加え、新規追加もしている。
(3)TRIPS協定は従来の条約の内容を回避および否定している。例えば「ベルヌ条約」における人格権や、「ローマ条約」における「トレーサビリティ」を否定している。
図2著作権保護の国際的条約の相互関係
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