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著作権法(15)——ネットワークにおける著作権保護
前回は、ソフトウェアの著作権の保護について説明した。今回は、ネットワークにおける著作権の保護について説明する。
1、ネットワーク作品中における著作権者(著作権の主体)
中国は「著作権法」第11条により、「仮に反証がなければ、作品に明記された個人、法人もしくは組織を作者とする」とされている。このことから、ネットワーク作品に明記された自然人、法人もしくは組織が作者であると判断する。ただし、そのバーチャル性や技術的操作の煩雑性を考え、これらの著作権の帰属を定めるのは通常の場合よりずっと複雑である。過去の実例から、ネットワーク上の著作権者の確認については以下の方法がある。
(1)ウェブサイトの著作権ページに示された作者の情報を、運営者および行為の主体であると見なす。
(2)ログインコードやパスワード認証法で作品の作者の身元が証明される。作品発表者のIPアドレスを調べ、ログインユーザーやパスワードを確認することで作者の身元が確認できる。
(3)「インターネット著作権登録確認システム」に登録された作品情報や作者で、作者であることが証明できる。
2、ネットワークにおける著作権の客体
ネットワーク作品とは、ネットワークに存在、もしくはネットワークで創作され、かつネットワークで宣伝され、独創性を持ち、かつ何らかの形で複製できる文学、芸術、科学の作品をいう。表現方法としては文字、図形があり、またコンピュータープログラムでも、音や図、文章などを交えたものでもよい。また「デジタル化作品」とは、バイナリーコードで存在するすべての作品をいい、キーボード、スキャナー、ウェブカメラなどでコンピュータに組み込み、識別可能なコードに替え、コンピュータの組織や加工、保存を経て、かつ必要な時にこれらの情報を再び文字や数値、図形、画像、音声などで表現したものである。3、ネットワーク上の複製権とネットワーク伝達権
(1)ネットワーク上の複製権中国の「著作権法」における複製権とは、印刷、コピー、拓本、録音、録画、ダビング、リメークなどにより、作品から一部もしくは複数の作品を制作する権利である。デジタル化作品は、従来のコンテンツからコンピュータのメモリーまでの単なる複製に過ぎず、創作行為はないので、新たな作品にはならない。よって、作品のデジタル化やその逆の操作は複製とみなすべきである。
(2)ネットワーク伝達権
ネットワーク上における作品の主な利用方法は、配信である。いわゆる配信とは、ネットワークにより公衆に作品を提供し、任意の時間や場所、範囲でそれを手に入れさせる行為をいう。中国の「著作権法」では、「ネットワーク伝達権」を「情報ネットワーク伝達権」という新たな権利としている。「著作権法」第10条第1項(12)により、「情報ネットワーク伝達権とは、有線もしくは無線により公衆に作品を提供し、任意の時間や場所でそれを手に入れさせる権利」とされている。この方式における最大の違いは、ネットワーク伝達行為の本質的特徴である双方向性であり、誰でも好きな時間や場所でその作品を手に入れられることである。よって、ネットワークの配信とは、複製やリリースとは別物であり、また上演や放送などとも別で、作品への無形で知的な行為である。
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