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北京中諮律師事務所
著作権法(11)——著作権の侵害と救済
前回は、著作権の集団管理制度を紹介したが、
今回は著作権の侵害行為およびこれに対する救済について説明する。
著作権侵害行為の種類
著作権の侵害は、直接侵害と間接侵害の2種類があり、間接侵害はさらに共同侵害と代替的侵害に分けられる。
(1)直接侵害行為
直接侵害行為とは、著作権者の許可を得ず、また「合理的な利用」や「法定許諾」といった理由なく、著作権者固有の権利を支配する行為をいう。作品の原本や合法的な複製に対し、著作権者の固有の権利を直接行使するものである。
中国の『著作権法』47条と48条に、著作権直接侵害行為の具体的内容が示されている。47条によると、以下のような行為は状況に応じ侵害の停止、影響の解消、補償および謝罪、損害賠償などの民事責任を負う。
(一)著作権者の許可を得ずにその作品を発表した場合。
(二)共同作者の許可を得ずに他人と共同で創作した作品を単独で創作した作品として発表した場合。
(三)創作に参加せず、個人の名誉のために他人の作品に署名した場合。
(四)他人の作品を歪曲、改ざんした場合。
(五)他人の作品を模倣した場合。
(六)著作権者の許可を得ずに、展覧、映画の撮影もしくはこれに準じた方法で作品を使用したか、もしくは翻案、翻訳、注釈などにより作品を使用した場合。本法で別途定めのある場合を除く。
(七)他人の作品を使用したが報酬を支払わなかった場合。
(八)映画や、映画の撮影に準じた形で創作した作品、ソフトウェア、録音・映像作品の著作権者もしくは著作権に関わる権利者の許可を得ずに、その作品もしくは録音・映像作品を貸与した場合。本法で別途定めのある場合を除く。
(九)出版者の許可を得ずに図書、刊行物のレイアウトを使用した場合。
『著作権法』48条によると、以下のような行為は状況に応じ侵害の停止、影響の解消、補償および謝罪、損害賠償などの民事責任を負う。
(一)著作権者の許可を得ずにその作品を複製、リリース、上演、放映、放送、編纂、情報ネットワークによる公開放送を行った場合。本法で別途定めのある場合を除く。
(二)他人が固有の出版権を有する図書を出版した場合。
(三)上演者の許可を得ずにその上演した録音・映像作品を複製、リリースした場合、もしくは情報ネットワークによりその上演を公開放送した場合。本法で別途定めのある場合を除く。
(四)録音・映像制作者の許可を得ずにその録音・映像作品を複製、リリース、情報ネットワークによる公開放送を行った場合。本法で別途定めのある場合を除く。
(五)許可を得ずにラジオ、テレビを放送もしくは複製した場合。本法で別途定めのある場合を除く。
(六)著作権者もしくは著作権に関わる権利者の許可を得ずに、権利者がその作品、録音・映像作品などに講じた著作権もしくは著作権に関わる権利の技術的措置の保護を故意に回避もしくは破壊した場合。法律、行政法規で別途定めのある場合を除く。
(2)直接侵害行為の認定
司法実務において著作権侵害の有無を判断する際に、摘発された作品が著作権者の作品と同一であるか、表現が類似しているかを見る。同一である場合、完全に同一か部分的に同一であるかの二通りがあり、完全に同一である場合は侵害にあたり、部分的同一の場合は合法的な利用であるかを見る必要があり、合理的な利用とはならない場合は侵害とみなされる。摘発された作品と著作権者の作品が完全に同一ではないが、実質的に類似している場合は、やはり侵害とみなされる。
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