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著作権法(10)——著作権の集団管理
前回は、著作権の合理的な利用、法定ライセンス、強制ライセンス、権利の消尽、公共の秩序の維持、国有化など、著作権の制限について説明した。今回は、著作権の集団管理制度について説明する。。
①著作権の集団管理
著作権の集団管理とは、統括的で、大多数の著作権者を代表する組織がまとめてライセンス発行やライセンスフィー受領を行い、それらのライセンスフィーを定められた基準で著作権者に分配する著作権の利用形態をいう。
中国では、『著作権法』第8条第1款により、「著作権者及び著作権に隣接する権利者は、著作権集団管理組織に権限を与えて著作権または著作権に隣接する権利を行使させることができる。権限を与えられた著作権集団管理組織は、自己の名義で著作権者及び著作権の隣接権利者のために権利を主張し、かつ当事者として著作権または著作権に隣接する権利に関わる訴訟、仲裁活動を行うことができる」と規定されている。
②著作権集団管理の概念と法律的特徴
著作権集団管理とは、権利者の利益のために設立され、権利者の許可に基づき権利者の著作権もしくは著作権に関わる権利を一括で管理する団体をいう。法律的には以下のような特徴がある。
(1)非政府的:①民間団体もしくは会社組織、②政府もしくは官民団体、の2タイプがある。
(2)非営利的:中国の著作権法第8条第2款により、「著作権集団管理組織は非営利組織であり、その設立方式、権利義務、著作権使用許諾料の徴収、及び分配、並びにそれに対する監督、及び管理等については国務院が別途定める」と規定されている。
(3)事実上の独占:管理形態には、独占的な方法と競争的な方法がある。中国の場合は分立型の独占式であり、作品のタイプによりそれぞれ団体が設立されているが、同じタイプの作品で2つ以上の団体を設けることはできない。
③中国には、以下のような著作権集団管理組織がある
(1)中国音楽著作権協会
(2)中国文字著作権協会
(3)中国映像著作権団体管理協会
(4)中国撮影著作権協会
(5)中国映画著作権協会
(6)その他の団体または協会
④著作権集団管理と著作権者との関係や職務
(1)著作権者と著作権に関わる権利者は、著作権集団管理組織に対し、著作権もしくは著作権に関わる権利を行使させることができる。
(2)著作権集団管理組織は、権利者と著作権の一括管理に関する契約を結ぶこと。
(3)著作権集団管理組織の権利は権利者により付与される。内容は、一般ライセンスの許可、信託もしくは委託代理などである。
(4)著作権集団管理組織の主な職務は、権利者の権利取得、管理、作品の使用状況チェック、権利者を代表しての作品使用者との交渉およびライセンス発行、使用料の徴収およびその各権利者への適切な分配、自身の名義で会員の訴訟実施、国外の著作権集団管理組織との協定締結、国外の著作権者を代表しての権利の管理、著作権の宣伝や教育活動の実施などである。
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