中国の法律
- ビジネス記事
- 中国の法律
北京中諮律師事務所
著作権法(4)
前回は著作権の客体である作品と、主体である著作権者について説明した。今回は、著作権の内容(種類)について説明する。この内容とは、作者もしくは著作権者が作品により得る各種の権利をいい、人格権と財産権に分けられる。
① 人格権の概念と特徴
著作の人格権とは、作者が作品で表現した人格や身分により得る権利をいい、著作の財産権と相対するものである。著作の人格権は一般に永久的で分割できず、はく奪ができない。また作者本人のものであり、通常は譲渡ができない。中国の『著作権法』(第10条)では、人格権について4項が定められている。
人格権
公表権 著作物を公衆に公表するかどうかを決定する権利。
署名権(氏名表示権) 作者として作品に署名する権利。
修正権 作品を修正、もしくは他人に修正させる権利。
作品完全性保護権(同一性保持権) 著作物が歪曲、改竄されないよう保護する権利。
② 財産権の概念と特徴
著作の財産権は経済的な権利でもあり、作者もしくは著作権者が様々な方法で作品を使用したことにより生じた経済的利益を法的に得る権利をいう。作品の使用で著作権者に何らかの収益がもたらされるので、作品の財産権は作者の重要な財産権利である。財産権は譲渡、継承もしくは放棄でき、また地域や時間などの制約がある。中国の『著作権法』(第10条)では、財産権について12項が定められている。
財産権
複製権 印刷、コピー、拓本、録音、録画、ダビング、リメークなどにより作品から一部もしくは複数の作品を制作する権利。
発行権 売却もしくは贈与により作品の現物もしくは複製品を公衆に提供する権利。
賃貸権 すなわち他人が映画の著作物および映画製作と類似した方法で創作された著作物、コンピュータソフトウェアを一時的に使用することを有償で許諾する権利。コンピュータソフトウェアが賃貸の主要な目的物でない場合を除く。
展示権 美術作品、撮影作品もしくはその複製品を陳列、公表する権利。
実演権 上演作品を公表、および各種の手段により作品の上演を公開放映する権利。
上映権 プロジェクターやスライドなどで美術、撮影、映画、映画撮影に準じた形で創作した作品などを公表する権利。
放送権 無線により作品を公開放送もしくは伝達、有線放送もしくは中継により作品を放送、およびスピーカーもしくは記号、音声、画像などを通じて作品を放送する権利。
情報ネットワーク伝達権 有線もしくは無線により公衆に作品を提供し、任意の時間や場所でそれを手に入れさせる権利。
制作権(撮影権) 映画撮影もしくはそれに準じた形で作品を媒体に固定させる権利。
改編権 作品を変えて独創性のある作品を制作する権利。
翻訳権 作品をある言葉や文字から別の言葉や文字へ変える権利。
編集権 作品もしくはそのある部分を選択もしくは編集して新たな作品とする権利。
その他 著作権者が有すべきその他の権利。
合わせてチェックしたい!
-
ビジネス記事中国の法律
- 北京市安理律師事務所
- 権益保護の高度化、 市場規範の新局面
-
ビジネス記事中国の法律
- 北京市安理律師事務所
- 外資系企業による新『会社法』への対策 中外合作企業の「変身」における考慮点
-
ビジネス記事中国の法律
- 北京市安理律師事務所
- 外資系企業による新『会社法』への対策 中外合弁企業のガバナンス構造調整の重要な考慮事項
-
ビジネス記事中国の法律
- 北京市安理律師事務所
- 政策の行方、TikTokはどうなる
-
ビジネス記事中国の法律
- 北京市安理律師事務所
- 『データ越境流動の促進 及び規範化に係る規定』の解説
-
ビジネス記事中国の法律
- 北京市安理律師事務所
- 中国における上場会社の リスクとコンプライアンス対応