キーマンインタビュー

東瀛遊 EGL Tours
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東瀛遊 EGL Tours

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主席兼執行董事 袁 文英氏

日本ツアーのトップシェア 訪日誘致の指南役として 各地の観光大使も務める


真心を込めたおもてなしで消費者から絶大な信頼を得る「EGLツアーズ」。訪日インバウンド業界で活躍し、日本の地方を「観光」で支援する袁社長に話を伺った。

香港における日本旅行ツアーで長年トップシェアを占める旅行会社「EGLツアーズ」。香港からの訪日観光促進、日本各地への直行便誘致において重要な役割を果たす同社の社長、袁文英氏は、現在日本の38の県・自治体の観光大使を務め、東日本大震災をはじめとする被災地に多大な寄付や支援も行っている。その功績を讃え、今年11月には日本政府より叙勲旭日双光章を授与された。

「危機」こそ「チャンス」
 
 Pこれまで弊社が事業を展開する中で、大きな「危機」が三度ありました。最初は1995年。1987年にガイドをしていた仲間たちと日本で起ち上げた、EGLツアーの前身となるランドオペレーションの会社を事業変更し、香港に拠点を移した年です。それまで下請けで現地手配をしていたのですが、阪神淡路大震災が起こり、香港からのツアー客がまったく来なくなりました。でも、「危機」という言葉には「機」、つまり「チャンス」が含まれています。危機こそチャンス、ならば自分たちが直接お客様に日本旅行を提案しよう、と、香港に移り旅行代理業を始めました。実績もない無名の会社でしたが、大手代理店が軒並み日本行きを中止する中、航空会社側も、空席のまま飛ばすよりはと、10席、20席と売ってくれたのです。そうしてチャンスをいただき、事業を軌道に載せていきました。とにかく謙虚に、堅実に実績を積み、この時期にしっかりと会社の基盤づくりができました。
 
二度目の危機は、2003年の香港SARS集団感染。香港からの団体客は日本側の受入れ施設から敬遠され、ツアーが組めなくなりました。ガイドたちも添乗手当やチップがなく収入激減。そこで考えたのが「香港内日帰りツアー」でした。ガイドには特別昇給を与え、EGL式のおもてなしに満ちた一日香港巡りを実施。ガイドには良い勉強の機会になり、お客様からは80ドルの参加費でこんなに丁寧に案内や見送りをしてくれるのかと好評を得ました。その口コミが広がり、SARS以降も多くの方がツアーに参加してくれるようになりました。
 そして三度目の危機は、2011年の東日本大震災です。福島の原発事故も重なり、世界中が訪日を控える中、弊社は一ヶ月後に日本ツアーを沖縄から再開しました。客を危険地に連れて行く「殺し屋」だ、などと揶揄もされました。けれど、沖縄と福島間の距離は「紅磡―広州の往復200回分」と、お客様にもわかりやすく説明し、旅行中に震度6以上の地震が起これば4泊5日の5日目でも全額返金、という保険を提供して不安を払拭。早期のツアー再開を果たしました。

訪日観光の新時代に
 
 ここ数年は個人旅行が主流となり、旅行会社はその存在価値を問われています。すでに20回以上の訪日を経験し、行けるところは自分で行く、というお客様が増える中で、新しい土地、新しい旅を提案する必要があります。昔はマカオでギャンブルもしたものですが、新規路線の開拓はまさに賭け。路線の50%を弊社が買い取り、ツアーを組みます。エアラインは黒字が確約され、安心して飛ぶことができます。お客様が求めるものは何かを見極め、新たなツアーを企画しています。最近のキーワードの一つは「大自然」。雄大な自然やその季節ならではの風景を訪ねる期間限定のツアーや、地元のボランティアガイドが案内してくれるハイキングツアーが人気です。また、家族親戚も同行しての「ウェディングツアー」。これはときに数十名規模の団体で移動し、閑散期である平日にチャペルを利用するため、会場やエアラインにとっても価値のあるツアーです。おかげさまで、弊社の団体ツアー実績は、2018年上半期も前年同期比増となっています。
 また、2017年には、ホテル事業の第一号として大阪に「大阪逸の彩ホテル」をオープンしました。さらに、現在那覇空港で第二滑走路が建設中の沖縄にも、2020年に第二のホテルをオープン予定です。

ものごとを進める「臨機応変」さ

 
 今年の夏は近畿地方の台風や北海道地震など、日本にとって辛い自然災害の多い年でした。台風で関西空港が一カ月閉鎖と聞き、翌日には最も近い岡山空港、徳島空港への振替えを提案しました。しかし、関係各所の協議や諸々の手続きに時間がかかるとのことで、実現は叶いませんでした。同様に、北海道地震の際にも旭川、函館空港を提案しましたが、こちらも難しいとの回答。現地で足止めされているお客様や旅行を楽しみにしていたお客様、航空会社、そして何より地方の観光業の皆さんを助けられるのに、と歯がゆく、残念でした。
 慎重な議論は大切ですが、ものごとの時宜を得るには同時に臨機応変さも重要だと考えます。日本式の「おもてなし」は弊社の基礎です。お出迎えやお見送り、気配りや心遣い、それらはすべて日本で感銘を受け、取り入れてきたものです。日本の丁寧さ、細やかさ、そういった素晴らしい文化に、より柔軟な臨機応変さが加われば、今後さらに訪日観光のチャンスも拡がるだろうと期待しています。


 北海道地震では、他空港経由の帰国便を最速で手配するとともに、自ら北海道へ向かい、搭乗する皆さんをお出迎えしました。大変な目に遭ったお客様の気分が少しでも晴れるよう、100ドルずつ「お年玉」を配りました。

PROFILE

ユン・マンイン

1972年、日本へ留学し、その後日本で観光ガイド業に従事。1987年、ガイド仲間とランドオペレーションの事業を立ち上げる。1995年、香港で「東瀛遊EGL Tours」を創業。同社は97年から香港の日本向けツアーでトップシェアを占める。

EGL Tours Company Limited
HKEX Stock Code 6882
(東瀛遊旅行社有限公司)
香港聯合交易所主板上市:股份代號6882


<えんさを知るキーワード>


心に留める座右の銘

心に留めている言葉の一つが「力賤得人敬,口賤得人憎」。努力する人は尊敬され、余計なことを言う人は疎まれる。愚痴や文句を言う前に、相手の気持ちや考え方を理解しようという気持ちを持って接すれば、お互いに楽しく仕事ができます。


朝の運動で心身ともに健康

毎朝5時半に起床し、仕事へ行く前に1時間ほど運動をするのが日課です。自宅近くの海沿いの遊歩道をウォーキングしたり、軽くジョギングをします。身体の健康のためにもいいですし、頭がすっきりとし、心と精神の鍛錬にもなっています。


手書きのメッセージカード

人との関わりはとても大切なものだと思っています。毎日、お客様や取引先、社員たちに、手書きのメッセージカードを贈ります。きっと喜んでもらえるかな、と思って一枚一枚書いています。2017年には、10,086枚を送りましたから、一日27枚の計算ですね。

東瀛遊 EGL Tours

住所 15/F, EGL Tower, 83 Hung To Rd, Kwun Tong, KLN MAP
電話 852-3692-0888

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