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中国特許法の手引き(14)

    前回は発明特許権の帰属に関する概要と共同発明による特許権の帰属について説明しました。

    今回は職務発明についてご説明します。

    中国においては、職務発明にかかわる法規には「契約法」と「特許法」があります。上記2つの法律ではそれぞれ「職務技術成果」と「職務発明」といった2つの概念が使用され、「契約法」における「技術成果」には「特許法」の「発明」を含むとし、その他の非特許技術成果も含みます。ただし、本文では「職務発明」に統一して使用することにいたします。

①構成要件
    一つの発明が職務発明を構成するには、以下のような満たすべき条件があります。一つ目は、発明者と単位との間に一定の雇用関係(労働関係)があることです。そして二つ目は、当該発明が、発明者が所属単位の任務を遂行し、または主として所属単位の物質的条件を利用して完成されたものであることです。

②職務発明の権利の帰属
(1)一般的な規則
 「契約法」においては、職務発明の帰属について明確な規定はなされていません。但し、職務発明の成果の使用権および譲渡権が法人またはその他の組織に属している場合には、「法人またはその他の組織は当該成果につき技術契約を締結することができる」ことを認めており、かつ法人およびその他の組織に義務を設定しています(「契約法」326条第1項)。
 「契約法」と異なり、「特許法」(2008年改正)は第6条において、職務発明の権利帰属について以下のように明確に規定しています。「所属単位の任務を遂行し、または主として所属単位の物質的、技術的条件を利用して完成された発明創造は、職務発明創造とする。職務発明創造の特許を出願する権利は、所属単位に帰属し、出願が認可された後、当該単位が特許権者となる」。
(2)契約の約定
 「特許法」第6条第3項は、「所属単位の物質的、技術的条件を利用して完成された発明創造に関し、単位と発明者または創作者が契約を締結し、特許を出願する権利および特許権の帰属について約定している場合は、その約定による」と規定しています。

③職務発明の奨励及び報酬
 「特許法」第16条は次のとおり規定しています。「特許権を付与された単位は、職務発明創造の発明者または創作者に奨励を与えなければならない。発明創造特許の実施後は、その普及と応用の範囲およびその経済的効果と収益に応じて、発明者または創作者に合理的な報酬を与える」。ここにおける奨励と報酬の意味は異なり、発明において特許権を付与された際は「奨励」を受ける権利があり、特許がビジネス化された後は、「報酬」を得る権利があります。
 「特許法実施細則」(2010年)第6章(76〜78条)は上述の第16条についてさらなる規定をしており、第76条は当事者が奨励および報酬につき約定することができることを認めています。第77条および第78条は当事者間に約定がない場合、奨励および報酬の支払基準を確定します。

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