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中国特許法の手引き(8)
前回までは特許の実用性、新規性、進歩性および十分な公開についてご説明しました。
今回からは、発明特許を例に挙げて特許出願の手続についてご説明いたします。
1. 出願書類
1つの発明が特許法による保護を受けるためには、まず発明者が特許局に特許出願を提出しなければなりません。特許出願書類一式には発明特許の願書、明細書およびその要約並びに特許請求の範囲などの書類が含まれていなければなりません。
発明特許の願書には特定の特許出願の手続上の情報を記載します。「特許法」第27条によれば、願書の内容には、「発明または実用新案の名称、発明者の氏名、出願人の氏名または名称、住所およびその他の事項」が含まれます。特許明細書とは発明の具体的な内容を説明する技術的な書類です。「特許審査ガイドライン」(2010年)第17条によると、明細書には技術分野、技術背景、発明の内容、添付図面の説明、具体的な実施方法といった内容を含めなければなりません。また、「特許法」第26条によれば、発明者はかかる書類を通じて、その発明について、「その属する技術分野の技術者が実現できることを基準とする、明瞭で完全な説明」をしなければなりません。
特許請求の範囲は、出願者が提出する特許の保護範囲を確定する中心的な書類です。「特許法実施細則」第20条によれば、特許請求項は、独立請求項と従属請求項の2種類に分かれています。独立請求項は「発明または実用新案の技術案を全面的に表現しなければならず」、従属請求項は、「付加的な技術的特徴を用い、引用する請求項をさらに特定しなければなりません」。
2. 出願日
「特許法」第28条には、「国務院特許行政部門が特許出願文書を受け付けた日を出願日とする。出願文書が郵送される場合には、差出の消印日を出願日とする」と規定されています。当然のことですが、特許出願は受理要件に合致しなければならず、受理要件に合致したものについて、特許局は受理手続に従って出願日を決定します。出願日は、特許権法において重要な意義を有します。出願日は、先行技術の範囲を確定する時間的な境界であり、権利の帰属、権利の保護期間の確定においても大変重要となります。
3. 先行出願の原則
「特許法」第9条によれば、「同一の発明創造には1つの特許権のみ付与することができ」、「2つ以上の出願人が同一の発明創造について個別に特許出願を行った場合、特許権は先行出願人に付与する」とあります。これがいわゆる「先行出願の原則」です。2人以上の出願人が同日に同一の出願を提出した場合について、「特許法実施細則」第41条によれば、「国務院特許行政部門の通知を受領した後、当事者間で協議し、出願人を確定しなければならない」のです。
4. 出願の単一性
「特許法」第31条において、1件の特許出願は、1項目の発明、実用新案または意匠に限らなければならないと要求されています。これが「単一性の要件」です。当該要件は主に以下の2つの理由により設けられています。1つ目は経済上によるもので、出願人が1件の特許の費用を支払っただけで、2つの異なる発明または実用新案の保護を受けることを防止するためです。2つ目は技術上によるもので、特許出願の分類、検索および審査をしやすくするためです。
張 継文 パートナー
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