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マネージングディレクター 黄 傑龍氏

感動をもたらすダイニング経験で香港と日本の絆を深める


 「牛角」、「MouMouClub」、「温野菜」などの香港進出を手がけた同社の代表・黄氏に、日本料理に対する想いや香港で運営する上でのこだわり、今後の展望を伺った。


中華の老舗が日本料理を展開


 父は香港で40年以上の歴史を持つ中華飲食グループ「叙福楼集団」の経営者でした。広東料理を中心とした中華レストランを幾軒も経営しており、幼い頃からそれを傍らで見てきました。しかし、父はやりがいを感じる一方、飲食業会の苦労も味わい尽くしているため、息子には敢えて飲食業を継がせようとはしませんでした。私は大学で土木工学を学び、その後も技術士として仕事をしてきました。家族事業を手伝うことになったのは約10年前、叙福楼が低迷期に陥った時です。90年代には30以上あった店舗が6店舗にまで減り、革新の必要に迫られていました。グループに参画してからは、結婚披露宴専門店など差別化を図るブランディングに力を入れ、同時に香港でブームになりつつある日本料理の事業にも注目していました。

 香港人は日本料理に対して特別な思い入れがあります。特に2000年代に入ってからは、居酒屋やラーメン屋が次々と進出し、徐々に成熟した日本料理の市場が形成されました。中華だけでなく、日本料理の事業も展開したいと考えていた時に縁あって、友人を通して日本で一番大手の焼き肉チェーン店「牛角」を知り、香港進出のお話を持ちかけました。進出に至るまでは簡単ではありませんでしたが、最後は40年以上の歴史がある老舗であることに信頼を得て、当社が香港支店の運営権を獲得しました。もちろん、当社もその信頼に裏切らないよう努力し、結果5年目にして香港で7店舗を展開しました。中でも、尖沙咀にあるLCX店は、2016年に全世界の牛角支店の中で売場面積1平方メートル当たりの最高販売額を記録し、本社から代表が直々に訪問したこともまだ記憶に新しいです。

「専門店」で差別化を図る


 当社で手がける日本料理はどれもある分野に特化した「専門店」です。例えば、
 「牛角」は焼き肉、「MouMouClub」と「しゃぶしゃぶ温野菜」はしゃぶしゃぶの専門店です。香港には数多くの日本料理店があります。消費者も簡単に日本を訪れることができ、本格的な日本料理を味わっているため、舌が肥えています。たくさんの選択肢を提供するのも重要ですが、当社はお客様により本格的な日本の味を届けることを最優先しています。一つの料理に特化することで他店と差別化をはかり、その分野で最高の味を届けるという方針を徹底しています。
 その取り組みの一環として、当社は店舗で使用する食材にこだわりを持っています。例えば、肉ひとつでも、日本の異なる地域、ブランド、そして異なる部位を取り寄せ、香港のお客様に提供しています。また、しゃぶしゃぶ温野菜では日本の野菜にも力を入れており、全国各地の上質な野菜を用意しています。食材の品質はもちろん、食卓を通して日本各地の食材の特徴や食文化をお客様に紹介するのも、香港で日本料理を営む者の使命ではないかと考えます。

ダイニング体験に感動を

 最初に焼き肉「牛角」を香港に持ってきましたが、ご縁を感じたというだけでなく「感動創造」という企業理念に打たれました。感動できるダイニング体験には、美味しさ以外の要素がたくさんあります。どうやってお客様に喜んでいただけるか常に考えなくてはなりません。日本では当然のことですが、それを香港で実践するにはそれなりの努力が必要です。例えば、おもてなし重視の日本では、注文を聞く時お客様に威圧感を与えないようスタッフがかがんだり、片膝をついたりしますが、香港ではそれが卑屈な態度だとみなされます。もちろん、文化によって「心地良いサービス」は異なりますが、そのような姿勢をとる理由や、お客様に対する日本式の気遣いをスタッフにじっくり説明するようにしています。おかげで、当社では「おもてなし」に共感するスタッフが集まり、日本のきめ細かなサービスを日々実践すべく尽力しています。
 もう一つ重要な取り組みとして、当社では日本のアニメキャラクターやマスコットなどとのコラボレーションを積極的に行っています。多くの香港人は日本のアニメを見て育ちました。その思い出が香港人の日本と日本料理に対する強い思い入れに繋がっていると考えます。例えば、牛角は2016年末に 『マジンガーZ』のテーマキャンペーンを実施しました。私自身、『マジンガーZ』を見て育ち、子ども時代のアイドルだったと言っても過言ではありません。アニメの放送自体は終了しましたが、こういった作品は今でも形を変えて息づいていると思います。自分や同年代の方々に感動をもたらしてくれた日本文化を次世代にも紹介したい、この強い想いから始まったプロジェクトです。実際、来店客からの反響も良く、特に同じ年代のお客様には、「懐かしい!」と大変喜ばれました。中には自分の子どもをつれてわざわざ来店する方もいました。今後とも、飲食を通して香港のお客様と日本文化との絆を深めて行けたらと願っています。


日本料理や日本酒の普及にも注力し、2016年末に 「香港日本食品及料理業協会」を立ち上げたほか、2017 年2月に日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会 (SSI)から  「名誉唎酒師酒匠」に任命された。


PROFILE

ウォン キッロン

豪州ニューサウスウェールズ大学工学部卒。技術士。政府部門やコンサルティング会社での勤務を経て、2007年に飲食グループ「叙福楼集団」に参画し、ディレクターに就任。2008年に株式会社有限公司を設立し、「牛角」、 「MouMouClub」、  「しゃぶしゃぶ温野菜」などの日本の飲食店の香港進出・運営を手がける。



<黄さんを知るキーワード>

毎日を大切に過ごしたい


東日本大震災の時は視察ツアーで鹿児島県にいました。無事に帰国はできましたが、このような大きな災害を近くで経験し、生死は紙一重だと感じました。震災の記事はいまでもオフィスにあります。「毎日を大切に」という自分へのリマインドです。


日本料理店としての使命感


東日本大震災の際は、募金活動はもちろん、日本食材に対する信頼を立て直すキャンペーンを企画しました。昨年に起こった熊本地震の後も、新店舗10日間の売り上げを寄付しました。香港の日本料理店として、役に立てることは常に力を尽します。


子供時代のアイドルとコラボ


 『マジンガーZ』は子供の頃に一番好きなアニメでした。まさか、自分の大好きなキャラクターと共に仕事ができる日か来るなんて、夢にも思いませんでした。グッズもたくさん用意しましたので、ファンの方にたくさん来店していただければ幸いです。





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電話 852-3962-1100

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