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中国著作権法の手引き(14)
前回は直接侵害の主体およびその認定の方法について説明しました。
今回は間接侵害について説明します。
【①間接侵害の概要】
この概念は、英米法理論にある「indirect infringement」「contributory infringement」または「secondary infringement」を翻訳したものです。
【(1)法的根拠】
中国の民事上の権利侵害の枠組みにおいて、「著作権法」および司法解釈には間接侵害の概念がなく、人民法院は通常、共同侵害の関連規則を用いて間接侵害の問題を処理しています。2009年、中国は「権利侵害責任法」を公布し、「民法通則」および司法解釈の関連条文を取り入れ、また意思の連絡のない複数の者が権利を侵害した場合の権利侵害責任の分担についても規定しました。こうして、広義の意味での共同侵害行為の各種類型が大方において法的根拠を持つようになりました(「権利侵害責任法第8・9・11・12条」)。
【(2)間接侵害の主な類型】
間接侵害の態様は多様ですが、主な間接侵害行為には以下のものがあります。
(1)権利を侵害する活動に用いる著作物の複
製品または侵害ツール等を直接侵害者に 提供すること。
(2)著作権を侵害する複製、発行、実演、放 送、展示等のために場所を提供すること。
(3)著作物を侵害する複製品の保管・輸送・ 販売・輸出入等の流通活動に関与すること。
(4)商業活動にて侵害商品を保有すること。
(5)著作権を直接侵害する行為のためにネッ トワークサービス等を提供すること。
【(3)間接侵害者の責任範囲】
共同侵害とみなされる権利侵害の誘引または教唆についても、「権利侵害責任法」第9条に基づいて、連帯責任を負わなければなりません。直接侵害者と間接侵害者が連帯責任を負う状況において、権利者がそのうちの一方のみを提訴した場合には、人民法院は、権利侵害で訴えられた者がすべての賠償責任を負う旨の判決を下すでしょう。
【②間接侵害の構成要件】
第二に、間接侵害行為者に主観的な過失が存在しなければなりません。すなわち、権利を間接的に侵害した行為者が、他人の行為が著作権侵害を構成することを明らかに知り、または知り得るべきであるが、なおも他人が直接侵害行為を行うことを誘引またはその者のために実質的な幇助を提供することを指します。
第三に、間接侵害者による直接侵害行為に対する誘引またはは幇助が、実質的な程度に達し、実際に因果関係があると判断されなければなりません。具体的には、直接侵害行為(損害の結果)と間接侵害行為との間の主観的過失を証明する以外に、行為者の誘引または幇助が直接侵害の結果に対して相当因果関係があることを証明しなければなりません。
張 継文 パートナー
北京中諮律師事務所
zhangjiwen@zhongzi.com.cn
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