わかる税務

上海衆逸企業管理諮詢有限公司
  • ビジネス記事
  • わかる税務

上海衆逸企業管理諮詢有限公司

不正、コンプライアンス違反 不適切会計を考察(6)

今回は不正と直接あるいは間接的に関係する意図的な不適切会計を解説します。

意図的な不適切会計では、負債を過少計上、売上を過大計上、費用を過少計上するなどして財務諸表を実態よりもよく見せようとします。

負債の過少計上

意図的な負債の過少計上の例としては、取引先に支払いあるいは発票の発行を遅らせるように依頼することで、買掛金を過少計上することが挙げられます。オフィス、社宅等の使用が開始されているにもかかわらず、発票の入手まで未払賃貸料を計上しない。または毎年賞与を支給しているにもかかわらず、年度末において未払賞与を計上しないなどの方法で負債を過小計上します。

売上の過大計上

売上の過大計上は、売上至上主義(予算達成主義)の弊害、売上にリンクした役職者の報酬制度が主な要因として挙げられます。リーマン・ショック後の4兆元の固定資産投資というカンフル剤により、2012年頃までは10〜20%の売上増を経験し、その実績に基づき予算を策定していた会社では、2013年頃から潮目が変わりました。表向き成長を維持するために、信用枠の緩和、支払期間の延長などを行い無理に顧客へ販売しました。その結果、一部の売掛債権が回収不能となり、会社の資金繰りが悪化しています。

費用の過少計上

費用の過小計上では以下の方法を用いて費用計上を先送りします。
•経費の支払いにも関わらず、その他未 収金として計上する。
•期末の棚卸残高を過大計上する。
•標準原価差額(不利差異)の未配賦に よる売上原価を過小計上する。
•期間費用と計上すべきものを資産化し 費用計上を繰延べる。
•固定資産の改良により、機能向上、耐 用年数が延長されたにも関わらず、修 繕費として処理する。
•貸倒引当金の未計上あるいは過小計上、
 棚卸資産および固定資産の減損処理を 繰延べる。
 特に期末在庫の過大計上は操作が容易であり、典型的な売上原価の過小計上の方法となります。例えば、原材料の端材などの廃棄処分時期を先送り、不良品を仕掛品計上するなど、在庫の帳簿価格を実態よりも多く見せることで売上原価(製造原価)を過小計上することが可能です。
 期間費用と計上すべきもの、例えば人件費などをその他未収金として資産化し、費用を過小計上する方法もあります。
 また、固定資産の修繕費においても、名目上「大修理あるいは固定資産の機能向上」が行われたとし、修繕費を資産化することで費用の繰延べが行われることもあります。
 意図的な不適切会計は、不正と密接に関わっており、そのほとんどが売上目標達成、予算の達成のために起こります。当初は会社にとって良かれと思って始めますが、次第に不正会計へと変化し、事態が深刻化して発覚します。不適切会計の防止には本社と現地の財務部門が密に情報交換を行い、中国の会計・税務制度の理解が不可欠となります。本社の財務部門が現地の経営陣に不適切会計をなかなか指摘できない場合は、第三者の意見として外部の専門家から是正を促してもらうのも一つの防止方法となります。

上海衆逸企業管理諮詢有限公司 米国公認会計士

大城 哲辞

上海衆逸企業管理諮詢有限公司

ピックアップ

Concierge
コンシェルジュ公式App

CCG Concierge

上海・大連への
便利な街案内&生活情報アプリ!

ダウンロードはこちら
  • App Store からダウンロード
  • Android からダウンロード
  • App Store からダウンロード
  • Android からダウンロード

ピックアップ

Concierge 公式SNSアカウント
Concierge 公式SNSアカウント
最新の情報を
タイムリーにお届け!
QR

公式WeChat公众号:conciergesh