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中国著作権法の手引き(12)
著作権侵害は、直接侵害と間接侵害の2種類に分けられます。
中国では、著作権侵害責任の負担方式として民事、行政そして刑事の3種類があります。
【①著作権侵害の概念】
著作権の侵害は、著作者またはその他の著作権者の授権を得ず、また法的根拠もなく著作権者の排他的権利を無断行使する違法行為です。注意点は以下になります。
一つ目は、著作権侵害は事実行為であり、権利侵害者に主観において過失があるのか、また営利目的であるかを問いません。実務において、他人の著作物(特に海外の映画・テレビドラマ)を無断で翻訳する行為や他人の美術素材を使用し「商用禁止」の注意書きを記載し、営利目的はなく著作権を侵害していない、と主張する事例が見られますがこれは理に適っていません。
二つ目は、主観的に見て過失があるか、損害の結果を招いたかどうかが侵害責任の重さを判断する基準となる点です。
【②著作権侵害の種類】
著作権侵害は、直接侵害と間接侵害に分けられます。直接侵害は、著作権者のあらゆる排他的権利を直接的に不法に行使する行為です。一方、間接侵害とは直接侵害のために間接的に著作権を侵害する行為です。具体的には、著作権侵害を教唆、誘引、幇助する行為、または当該行為を制止しなかったことにより直接侵害の発生または直接侵害の損害拡大を招くことがあり得る行為を指します。
特筆すべきは、中国の学問上の通説によれば、間接侵害は直接侵害に従属するという点です。直接侵害と認定されなければ、当該行為の教唆、誘引、幇助行為も間接侵害と認定されません。
【③権利侵害責任の負担方式】
中国では、著作権侵害責任の負担方式は、民事、行政および刑事の3つです。民事上の責任のみを負う行為は次のとおりです。
①著作権者の許可なく著作物を公表。②共同著作者の許可なく単独で創作した著作物として公表。③創作に加わっていないにも関わらず、個人的な名誉利益のために他人の著作物に氏名を表示する。④他人の著作物を歪曲、改竄する。⑤他人の著作物を盗用。⑥許可なく著作物を使用、または改編、翻訳、注釈等の方式によって著作物を使用(別途定めがある場合は除く)。⑦他人の著作物を使用し、報酬を支払わない。⑧著作物、コンピュータソフトウェア、録音・録画製品の著作権者または著作権に隣接する権利者の許諾を得ずに賃貸(別途定めがある場合は除く)。⑨許可なく出版した図書、雑誌の割付を使用。⑩許可なく実演を実況中継、もしくは公開で伝達、または実演を記録。
民事上だけでなく、行政上、刑事上の責任を負う可能性のある行為は次のとおりです。
①許可なく著作物を複製、発行、実演、放映、放送、編集し公衆に伝達。②他人が排他的出版権を共有する図書を出版。③許可なく実演の録音・録画製品を複製、発行、または情報ネットワークを通じて公衆に伝達。④許可なく録音・録画製品を複製し発行、公衆に伝達。⑤許可なくラジオ、テレビ番組を放送または複製。⑥許可なく権利者がその著作物、録音・録画製品等のために講じた著作権または著作権に隣接する権利を保護する技術措置を故意に回避、破壊する。⑦許可なく著作物、録音・録画製品等の権利を管理する電子情報を故意に削除または改変する。⑧他人の氏名を冒用した著作物を製作、販売する。
これらは、著作権者の利益侵害が深刻であり、かつ文化市場の管理における秩序を乱し公共の利益も損なうため、厳重な責任を負うことになります。
張 継文 パートナー
北京中諮律師事務所
zhangjiwen@zhongzi.com.cn
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