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183日ルールを再考する

中国滞在日数が183日に満たない場合でも、個人所得税の納付義務が生じる場合に注意が必要です。

 1年以内に中国で183日を超えない日数で作業する日本からの出張者は、中国の法人が給与を負担しない限り中国での個人所得税の納税が免除される、いわゆる短期滞在者免税規定は皆さんのよく知るところであると思います。ただし、中国において恒久的施設あるいはP Eとよばれる「設備設置などを提供する場所」や「技術コンサルティングなどの役務」があると税務局に判断されれば、設備設置や技術指導のために出張してきた日本人社員の中国滞在日数が183日に満たない場合でも、個人所得税の納付義務が生じることに注意する必要があります。

 大連地区の税務局も近年、出張者の行っている内容と中国現地法人からの送金とを絡めて問題視することが多くなりましたので、日系企業の皆さまは十分注意するようにしてください。

 日中租税条約の第15条には給与所得に関する事項が定められており、第2項に定められる課税免除の要件を解釈すると下記のようになります。

① 外国籍人員が暦年で183日を超えな 

     い期間中国に滞在すること。

②  給与が中国の企業あるいはその代理人

   から支払われないこと。

③ 給与が中国の恒久的施設や固定的施設
     によって負担されないこと。

 よって、居住期間が183日未満であるだけでなく、②、③の条件を充足しているかに注目しなければいけません。

 ②、③の条件を満たしているかの判断基準は日中租税条約に規定されているわけではなく、中国税務当局の独自の判断に基づく通達【国税発(1994)248号】があります。ここでは、恒久的施設がみなし利益率課税方式で企業所得税を納付している場合、あるいは営業収入がないために企業所得税を納付していない場合において、中国で当該恒久的施設に関連する業務を行う個人が中国滞在期間中に所得する給与については、中国の企業や恒久的施設の帳簿に計上されていなくても、中国国内企業や恒久的施設が負担したものとみなす、と規定されています。

 また、【国税発(1995)155号通達】では、恒久的施設がプロジェクト単位の帳簿を有して実際所得を計算する方式で企業所得税を計算したり、みなし利益率を用いて企業所得税を計算したり、あるいは経費額から利益額を推定計算する方式で企業所得税を計算する場合、恒久的施設が当該個人の給与を負担するものとみなしています。

 日本からの出張者が中国でなんらかの役務を提供し、それが恒久的施設を構成し、みなし利益率課税方式で企業所得税を納付する場合において、出張者の給与負担は恒久的施設でなされたと推定されますので、免税の条件③を満たさないとなり、個人所得税の納税義務が生じます。

 中国税務当局が恒久的施設を認定する場合、多くの場合はみなし利益率を用いて企業所得税を課税計算するため、当該恒久的施設の判断の基礎となった日本人出張者の給与にかかる個人所得税も中国での納税が必須となります。

 出張者の税金である個人所得税の担当が地方税務局であり、恒久的施設の税金である企業所得税(および増値税)の担当が国家税務局であることから、個人所得税の納税を免れてきた面がありましたが、現在、国税局と地税局の一体化の流れの中で、恒久的施設の個人所得税の徴収がより厳格になる兆候にあることに注意しておきましょう。

上海衆逸企業管理諮詢有限公司 米国公認会計士

安光勝

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