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中国著作権法の手引き(7)
著作権の制限は、主に合理使用と法定許諾、強制許諾に分かれます。合理使用は著作権者の同意と使用料は不要ですが、法定許諾と強制許諾は一定の使用料を支払う必要があります。
権利の制限(1)
【①個人的な学習、研究または鑑賞のために、他人の公表された著作物を使用する場合】まず、この「個人」とは、本人のみに限定されておらず、家庭内やこれに準ずる比較的小さな範囲も含まれています。個人に該当するか否かは、人数の多さと特定されるか否かで判断可能です。
次に、使用方法に関してですが、これについて特別な規定はありません。つまり、個人は著作物を複製、改編、翻訳等の形で使用できます。ただし、賃貸、展示等の使用方法は個人的な使用の範囲を明らかに超えているため、これらの使用方法は認められていません。また、使用するものは他人の公表された著作物でなければなりません。
自身の著作物の中で引用が著作権法で認められているのは、その主な目的が他人の著作物を単純に使用するためではなく、他人の著作物を使用することで自身の観点を説明するためであるからです。適当な引用と認められるには、以下の条件に注意する必要があります。
(1)ある著作物を紹介し、批評し、またはある問題を説明していること。例えば、書家が書いた文字を本の表紙の書名とした使用した場合、引用に該当しない。
(2)引用部分が引用者の著作物の主要部分または本質的な部分を構成していない。
(3)引用するものが既に公表された著作物であること。
(4)引用著作物の出所の明示を行うこと。
時事ニュースは、公衆が国内外の重要な出来事を知る重要な経路であり、当該合理使用方法の追加がなければ、公衆の視野は大きく制限されていることでしょう。この場合の引用は、次の4つの条件を満たさなければなりません。
(1)引用の目的が時事ニュースを報道することにあること。
(2)引用する著作物がすでに公表された著作物であること。
(3)引用著作物の出所の明示を行うこと。
(4)引用は「不可避的に」再現しまたは引用する場合に限ること。
この場合の時事的な文章とは、主に報道されるものが中国の政策、方針の文章であり、政府の文書と同様に、比較的強い政治性があり、多くの民衆が知らなければならないものです。そのため、著作権法にかかる著作物を合理使用の範疇に組み入れています。
注意すべき点は、この場合の著作物が既に公表された政治、経済、宗教問題に関する文章に限定されており、全ての時事的な文章が対象とならないこと、そしてもう1つは、著作権法は著作者の意思を十分に尊重していることから、著作者が掲載、放送を禁じる旨の声明を出した場合には、この合理使用の例外となる点です。
張 継文 パートナー
北京中諮律師事務所
zhangjiwen@zhongzi.com.cn
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