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北京陸通印刷有限公司
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中国でのラベル印刷 独自のビジネス眼と 信念を未来につなぐ

北京陸通印刷有限公司

董事長 越智 博通氏


「チャイナドリーム」の先駆者であり、30年以上の長きに渡り中国ビジネスの第一線で活躍する越智氏に、ラベル印刷の現状と今後の展望を語ってもらった。


創業時の苦労があり、今がある

「ほら、あなたのノートPCの裏を見てみてください。これもこれもラベルですよ。」落ち着いた物腰と顔に深く刻まれた皺が印象的な越智氏。92年に中国北京にて創業、94年に「北京陸通印刷有限公司」を立ち上げ、ラベル印刷に特化したビジネスを展開してきた中国日本人社会における開拓者だ。当時、いかに「ラベル印刷」というニッチなビジネスを立ち上げたのか。「ある方との出会いがあり、『自分は名刺や封筒の印刷をやるから、ラベルは越智さんやってよ。』の一言がきっかけでした。工場を立ち上げたものの、クライアントもいない状況からスタート。トップ営業で駆けずり回り、もう1人の技術スタッフと2人で発注書を書くところからすべて自分自身でやり、少しずつ発展してきました。」自分のふところから毎月資金をつぎ込み、胃から血がでそうな状態にまでなったこともあるそう。もうだめかと思ったその時に、大口のクライアントから受注が入った。「頑張った結果が結実した瞬間だと思いました。大きな機械を購入した際もご好意で分割払いにしてもらえ、結果印刷のスピードや生産量が上がり、それから徐々に売上も伸びてきました。波乱万丈の中国ビジネスでしたが、あえて順風満帆だったと言いたいですね。」自身で乗り越えてきた苦難があったからこそ、今の会社の発展があるのだという自信が覗く。


高品質・高付加価値のラベル印刷で勝負

90年代、中国でのラベル印刷は技術が低く、競合他社と言える企業も少なかったが、現在、簡易な機械も出回るようになり、今後はいかに高品質・高付加価値のラベル印刷が出来るかが鍵となってくる。「現在、法規制も厳しくなっており、特に電子関係のメーカーは、ISO認定を受けている工場からしかラベルを購入してくれません。ラベルは『部品』扱いですから、メーカーからはコストダウンを迫られますが、品質が悪かろう安かろうでは、ラベルが剥がれてクレーム、など大きな問題となるリスクを背負います。そこは高品質のラベル印刷にこだわるべきです。」すぐに剥がれても問題ないスーパーの価格用ラベルなどは、ターゲットにしないと決めている。「某酒造メーカーと協力し、『真偽確認ラベル』というニセモノ防止ラベルを作った結果、偽酒の撲滅に貢献することができました。そのような、高付加価値のラベルこそ自分たちが目指すべき方向だと思っています。」

 このラベル業界における競合他社と比較した際の強みを聞くと、即答で「納期と品質」という答えが返ってきた。「製造業においてもっとも大切なこと、それは『納期と品質』です。各メーカーは、多くの部品の納期によって仕事の流れが決まっている。ひとつの部品が納期を守れなければ、すべての仕事が止まるという危機感を持つことを社員には徹底させています。例え営業担当が変わっても、会社の信用において必ず同じ品質が保証される。それが当社の強みになります。今年の社内スローガンは『プロになれ』です。」


次の世代へラベルビジネスをつなぐ

これまで中国ビジネスの第一線をひた走ってきた越智氏もすでに66 歳。これからの役割を「次の世代にこのラベルビジネスを引き継いでもらう移管プロセス。」と語る。「このラベルビジネスは、今後中国で大きな伸び代のあるビジネスだと思っています。1人当たりのラベルの年間消費量を平米数で比較しますと、中国は日本と比べてもまだ約1/6程度です。劇的な技術革新によりラベルが不要にならない限り、このビジネスは今後も大きな発展の可能性があります。」現在、上海、天津にも工場がある。自身のビジネスプラン通りではないが、今はその計画を次の世代が引き継いでくれればと思っている。「当初、17年までに工場を10カ所立ち上げる計画でした。製造業の多い地域をピックアップして進出する。
03年に上海工場を立ち上げてから、3年で収支の帳尻を合わせ、3つ目の拠点ができればそこからは2年半ごとに1拠点増やす。結果としては、09年にようやく天津工場を立ち上げ、今はその3拠点で止まっています。なかなか計画通りには行きませんね。」と屈託なく笑う。

 越智氏は、その長い中国ビジネスのキャリアの中で大切にしていることが2つある。ひとつは、日本人はこうだ中国人はこうだと絶対言わないということ。もうひとつは、その国の言語でマネージメントすることだ。「私はオーナー社長でしたが、1人だけ得をしようとは思いませんでした。皆で成長していきたいというマインドが強かったですね。社員との間に溝を作らないために、積極的に自分から話しかけてきました。そのためには、その国の言語を自分自身がしっかり話すことも大切ですね。」現地でビジネスをして生きていこうと思うなら、その国の言葉をきちんと操れるようにならないと本当の意味でのマネジメントはできないとも語る越智氏。02 年のある時、奇しくも「チャイナドリーム」という言葉を使ったことがあるそう。そのドリームは、次の世代へと着実に受け継がれる。


高品質・高付加価値のラベル制作にこだわり、多くの日系企業から信頼を得ている。「ラベルといっても種類はさまざま。普段皆さんが気づきもしないラベルも当社で制作しています。」と越智氏。


PROFILE

おち ひろみち

1949年岡山県生まれ。73年三重大学工学部卒。同年タケダ理研(現アドバンテスト)入社、アジア担当。75年展示会で初めて中国上海へ。79年、不二紙工(現リンテック)に転職、貿易部門に配属。87年に退社。92年(株)博通行設立。94年、北京に「北京陸通印刷有限公司」を設立。現在董事長。


越智さんを知るキーワード

常に「自然」を心がける


座右の銘ではありませんが、常に「自然」ということを心がけてます。判断に困った時もどの答えが一番無理がないかを考えるようにしています。


20 年来の欠かせないアイテム


この「日経ビジネス手帳」はサイズ的にも機能的にも使い勝手が良く毎年購入しています。大小セットで、今まで使用した手帳すべてストックしてます。


自分の居心地のよい場所はオフィス


ニックネームは、「年中無休、24時間営業」(笑)。オフィスは、横との関係が見えやすいようにオープンな空間をつくることにこだわりました。


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朝陽区南皋草場地126号
TEL:010-6432-9991
URL:http://www.lutongprint.com


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住所 北京市朝阳区南皋草场地126号 MAP
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